調14 十軒静和地区

当記事は2014年05月28日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等 は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調14『十軒静和地区』です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

『伏籠川』『赤坊川』に挟まれた地区で、周囲は畑になっています。

一般住宅もありますが、そのほかには内装業などの倉庫、小規模な作業所が多いようですね。
一帯は趣味に走ったアウトドア風の個人住宅や、古い平屋、倉庫などが立ち並んでいます。
道路の舗装はひびが入ったり、路肩は未舗装で側溝があったりと、最低限です。
中には砂利道になっている道も多く、道路の状況は決して良くありません。

何故だろう、と道路の状況を調べてみると、不思議な事が分かりました。

・・・市道(認定道路)になっている部分、少なすぎません?
(青色の線が認定道路、黄色の線が位置指定道路です。)

『建物が建てられる市街化調整区域』として組み込む為の条件は、
札幌市『市街化調整区域の保全と活用の方針』によると、下記の5つ。
 ① 指定道路によって構成される住宅市街地で、区域区分設定以前より存在していること。
 ② 住宅戸数がおおむね20戸以上であり、住民が生活していること。
 ③ 住宅市街地の面積が、おおむね1ヘクタール以上であること。
 ④ 公共下水道が整備されていること。
 ⑤ 道路が適正に配置され、おおむね100%が市道であること。

この地区の道路配置では、どうみても100%が市道という訳ではありません。
うーんオカシイですよね。
この地区計画が決定された際の『札幌市都市計画審議会』でもその点には一切触れられていません。
これ以上深入りする事も可能ではあるのですが、何らかの差支えがあるかもしれないので、詳細については書かないでおきますが、かなり特殊な事例である、という事だけは書いておきます。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より北方約8㎞の市街化調整区域に位置し、
 昭和40年前後に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
 現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
 そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
 現在の良好な住環境の維持増進を図ることを目標とする。
既存宅地制度の代替としての『建物が建てられる市街化調整区域』です。

実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書

決定:平成16年3月9日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

【2017年12月12日追記分】
さて、『調4 東米里東栄地区』や『調11 丘珠藤木川西団地』では、道路が市道ではなく位置指定道路であることで一部分が地区計画のエリアから除外されているにも関わらず、前述の通りこの『十軒静和地区』では、市道の割合が低いにも関わらず地区計画のエリアが設定されているということが特色であります。
この理由については、都市計画審議会などを参照していますが、詳細は分かりません。
理屈としては、南北・東西のいずれかが市道になっているから、という理屈付けなのかもしれませんが、『おおむね100%が市道』という明文規定とは齟齬があります。

さて、平成26年当時の記事では地区計画の範囲内の市道の割合は70~80%といったところですが、3年以上が経過した平成29年時点では市道の整備が成されているのでしょうか?
札幌市都市計画情報提供サービス』から、該当地域を見てみましょう。

Σ(゚Д゚;市道、増えてない! 私道(位置指定道路)増えてる!

都市計画情報提供サービスによると昭和39年8月24日に指定された指定番号『2958-17』の位置指定道路であるとのことです。
『2958-17』というのは、札幌市位置指定道路 第2958号として申請されたもののうち、札幌市が枝番を付けて区分したものです。
枝番が17という事ですから、広大な範囲が位置指定道路として指定されている、という事です。
現存する札幌市位置指定道路 第2958号の範囲を見てみましょう。

赤線でなぞってあるのが、位置指定道路 第2598号です。
推測するに、既に市道(青線)となっている部分についても大半は位置指定道路であったのでしょう。
つまり、位置指定道路 第2598号こそが十軒静和地区の骨格であると言えます。

昭和39年に分譲業者によって指定されたと思わしきこの道路のうち、北東側の一部分・・・つまり『枝番17』は、何故、平成26年にはインターネットに掲載されていないのに、平成29年時点では掲載されているのでしょうか。

位置指定道路にはこういったものが多く、年々整備・追加されていったり、区域についても見直しがかかる場合があります。
平成30年3月から位置指定道路のダウンロードが可能となる予定ですから、私のブログもやりやすくなりますね。
機会があればこの地区についても再度調査し、紹介してゆきたいと思います。

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