C-7 位置指定道路と『札幌市建築基準法施行条例に基づく接道義務』


建築基準法に従って合法に建物を建築するためには、
建築基準法上の道路に2mに接している必要があります。
これを俗に『接道義務』といい、土地の価値の重要なファクターの一つです。

前回:C-6 位置指定道路と『筆界』『分筆』『地型』で扱った道路で、
実際に、建物を建てようとした場合、どんな問題があるのか考えてみましょう。

土地Aに建物を建てるためには?
こういった接道形態を『路地状地』といったりします。
路地状地では例え道路との接面が2m以上でも、
路地部分の長さによって建築出来る建物の大きさが制限されます。

逆に考えると、道路との接面が2m未満なら建築不可能
接面が6m以上であれば、路地状敷地でも通常と同規模の建物が建築可能という事です。
接道状況がナナメになっていたり、間で細くくびれている場合、長さは狭い部分で認識します。

とはいえ、路地部分は通路用のスペースになってしまう訳ですから、
除雪も自己負担、建物までの配管埋設費用も自己負担、税金関係も自己負担です。
余分な費用がかかってしまうので、路地状地の市場価格は、
一般的な『整形地』より、何割か安く設定されている事が殆どです。(明確な決まりはありません)

土地Eに建物を建てるためには?
この例では、道路との接面が2m以上か未満かが重要です。

接面が2m以上であれば、若干特殊な接道形態でも、通常と同様に取り扱われます。
(接道義務以外の項目での制限も通常通りありますから、何でもOKという訳ではありません。)

土地Dに建物を建てるためには?
さて、問題となってくるのは土地Dへの建築です。
土地Dは、1つの土地の一部分が位置指定道路の範囲に認定されています。
公道の場合でも、位置指定道路の場合でもこのようなケースが多々あります。

道路となっている部分は、建物の建築が出来ないほか、
道路以外の部分に建物を建築する場合の建物規模の計算の根拠になる面積には加えられません。
いわゆる『建蔽率』・『容積率』がメジャーな言葉ですが、
ざっくり言うと建築できる建物の面積は、敷地の面積を基に計算されるのですが、
道になっている部分は、私有地であっても、建物の敷地として扱われないのです。

私有地ですから、道になっている部分の維持管理は原則自己負担となりますし、
使い道がない訳ですから、持っているだけ損な気分かもしれません。

新規に土地を購入する場合には、一部が道になっている土地について、
どのような価格設定になっているか、注意が必要です。

一見割安に見えても、実際は割高かもしれませんよ。

まぁ、位置指定道路になっている部分は一般的に固定資産税も安くなるので、
そのような取扱いがされていない場合には、各市税事務所に確認してみましょう。
もしかしたら毎年の固定資産税が安くなるかもしれません。

土地Bに建物を建てるためには?
さて、最後に土地Bですが、建築基準法上の道路と面していません。
接道義務を満たさない訳ですから、土地B単体では、原則、建築許可は下りません。

土地Bの上に建築物を建てようとする場合には、
その建築物の敷地を土地C&土地Bとするか、土地A&土地Bとする必要があります。
(もちろん、隣接する他の土地も加えても構いません。)
その場合には、隣地と合算され、通常通り建物の建築が可能となります。

しかしたとえば、これらの土地の所有者がそれぞれ別々だった場合、
土地Bの所有者が土地Bの処分を考えるとき、やはり単体では売却不能です。

そういったケースでは、土地Aか土地Cの所有者に話を持ち込むのが王道ですね。
大抵、近隣の市場価格より大幅に買い叩かれますが、
まぁ、そもそも市場に出した場合に価格が付かないので、やむを得ないと言わざるを得ません。

稀に、近隣市場価格並で売れるようなウラワザ的ケースもありますが、
殆どがそういったケースには該当しません。

⑤おわりに
このように、敷地と道路の関係と建築の可否は、ケースにより様々な対処が必要ですので、
自分で対処する場合には市役所などでじっくりと話を聞き、
業者に依頼する場合には、きちんとした知識を持った業者へ依頼しましょう。

当記事は2014年03月11日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。