C-6 位置指定道路と『筆界』『分筆』『地型』


『道の範囲を調べるのに法務局行ってどうするんすか!』 
・・・と、当社の建物管理担当のスタッフに何度か注意しているのですが、
どーも法務局に登録されている内容がすべてと考えているようで、困っています。

今日は実務上の実例(当然、そのままではありません)を挙げて、
位置指定道路の奇妙な取扱いについてご紹介しましょう。
札幌市内に実際にある位置指定道路の実例です。

ここまで何度も書いている通り、法務局はその土地がどのように使われているか調べるための役所ではありません。
法務局はその『申請された』権利関係『申請された』不動産の内容を調べるための役所です。
それが『真実の』権利関係や『真実の』不動産の内容なのかを保証するものではありません。
まして、その土地のどこからどこまでが道路なのか、という話は完全に管轄外です。

例えばこんな『公図(地図に準ずる図面)』があります。
 ◇A-3 道の所有者を知りたいとき
 ◇B-3 地図・地図に準ずる図面の見方
さて、どこからどこまでが『道』の範囲でしょうか?
黒線が土地と土地との境界線、細い土地の脇にいくつもの土地が隣接しています。
ちなみにC’別の土地です。

普通、第一印象としてこのようなイメージを抱くのではないでしょうか。
細長い土地Gを『道』と考えるのが、まぁ健康的な考え方です。
しかし、例に挙げるという事は、実際の道の範囲は違う訳です。

札幌市役所の道路確認担当課でその周辺の道路状況を確認しましょう。
 ◇A-2 公道(と特殊な私道)の詳細が知りたいとき

市役所の調査の結果、実際の位置指定道路の範囲は下記の通りと判明しました。
法務局に登記されてる境界線と全然違うじゃん!!Σ(゚Д゚,,)

ええと、C’に関しては道の部分だけ、分離していた訳ですが、
については、『一体の土地の一部だけが位置指定されている』という、
世にも奇妙な取扱いがなされているのです。

つまり、土地の境界線と道路の境界線はまったく関係がない!
という事なんです。ホントですよ?(´・ω・)

しかし、これってあまりにも分かりづらいですよね。

・・・と、言うわけで、新しく位置指定道路を作ろうとする場合には、
きちんとその道路の境界線に合わせて土地の境界線を作らなければならなくなりました。
土地を2つかそれ以上に分けて境界線を作る事を『分筆』と言います。

という訳で、例えば今回の例のような土地に、
今回の例のような位置指定道路を新しく作ろうとした場合には、
このように分筆をして、道の境界線と土地の境界線を一致させて申請しなければなりません。
しかし、既に指定を受けて存在している位置指定道路については、その所有者に分筆をする義務が出来る訳でもなく、そのままの状態になっています。
その為にこのような入り組んだ状態になっているのです。

位置指定道路の実態をつかむのに、法務局をアテにしてはなりません。

位置指定道路だけではなく公道でも『公道供用』『セットバック』といって、
民有地の一部分が公道になっている事だってあるので、
道路の範囲と、その土地の権利の所有者は必ずしも符号しないという事ですね。

結論としては、道の範囲は法務局ではなく市役所で聞け!という事なのです。

当記事は2014年03月06日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。