中古住宅の『住宅かし保険』は新築住宅の場合とどのように違うのか

当記事は2015年1月19日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

シリーズ:『新築』と『瑕疵担保履行』
『新築住宅』ってどういう意味?定義は?
『新築』と判定される具体的ケースと詳細な取り扱い
業界の俗説『登記をすると新築でなくなる』の嘘
新築住宅の『住宅かし保険』の概要を分かりやすく解説します
中古住宅の『住宅かし保険』は新築住宅の場合とどのように違うのか
重要事項説明書の『瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要』ってなんなの?

ところで、これまでの記事で『新築住宅でなくても任意で瑕疵保険に加入する事は可能』と紹介してきましたが、
『新築で義務の保険』と『新築以外で任意の保険』にはどのような違いがあるかも、紹介しておきましょう。

『新築で義務の保険』は1号保険『新築以外で任意の保険』は2号保険と言い、それぞれの特徴は下記の通りです。

義務化保険(1号保険)
 住宅瑕疵担保履行法第19条第1号に規定されている資力確保義務に対応した保険契約。

 被保険者が建設業者または宅地建物取引業者であって、
 未だ人の居住の用に供したことのない住宅で、
 建設工事の完了の日から起算して1年以内に

 発注者または買主(以下「住宅取得者」)に引き渡された住宅を対象とするものです。
 ただし住宅取得者が宅地建物取引業者である住宅は任意保険(2号保険)となります。

任意保険(2号保険)
 住宅瑕疵担保履行法第19条第2号に規定されている1号保険以外の保険契約。
 〈任意保険の例〉
 完成から一年を超えて引き渡された住宅
 建設業の許可の不要な事業者が建設した住宅
 住宅取得者が宅地建物取引業者である住宅

対象となる物件が新築か否かで1号保険、2号保険が分かれてくる訳ですが、
原則的には、保険による保証の内容は同一です。

1点だけ異なる点は1号保険のみ『指定住宅紛争処理機関』を活用できる、という点です。
『指定住宅紛争処理機関』とは業者と消費者の間に瑕疵にまつわるトラブルがあった時、
自身で弁護士へ依頼せずとも、
第三者である弁護士による「調停」または「仲裁」を受ける事が出来る機関です。

『紛争処理機関』に支払う手数料は1万円こっきりで他の費用はかからないとの事です。
通常、弁護士に依頼すれば裁判までゆかずとも
報酬や実費で少なくとも数十万円の費用が発生します。
裁判に至れば更に費用が発生する訳で、
『紛争処理機関』は非常にお手頃な相談先であると言えます。
原則的にはその「調停」に従う事とされていますが、
どうしても不服があるという場合には、
裁判などの手段に訴え出る事も可能です。

2号保険(新築住宅以外)の場合、直接話し合うか、弁護士に依頼する事になります。

『特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律』は、
真面目にやっている事業者にとっては負担となるだけという批判もありますが、
本当にその業者が信頼できるのかどうか分からない消費者にとっては、
ある程度は有意義な制度であるという事が出来るでしょう。

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