『位置指定道路』は、通常では建物が建てられない土地に建物を建てられるようにする目的で指定されるものです。
つまり、こういう土地をこういう風にすることが目的である訳です。
実はこういう事をして良いのは、原則的には不動産業者だけ、と決まっています。
業務としての不動産取引を規制する法律に『宅地建物取引業法』があります。
その中で、不動産業・・・正しくは宅地建物取引業の定義について記載されています。
(宅地建物取引業法第2条2項)
宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。
そして、宅地建物取引業法第3条によって『宅地建物取引業を営もうとする者は(中略)免許を受けなければならない。』と定められています。
ですから、まとまった土地を商売として造成・分譲してよいのは宅地建物取引業者だけなのです。
『商売として』と強調したのは、どっからどこまでが商売なのよ、という話があって、先祖伝来の土地を何区画かに区分して売却したからといって、それがイコール『業』なのか、という問題があるからです。
とはいえ、位置指定道路の制度はやはり通常は免許を持った宅地建物取引業者が利用するものです。
また、実務的には位置指定道路の測量と分筆(区画割り)が必要になりますので、宅建業者も『土地家屋調査士』に依頼しなければ、指定を受ける事は出来ません。
基本的に、個人の方が独力で道路の位置指定を受ける事はありませんので、細かい取扱いを一つ一つ紹介するのではなく、位置指定道路の指定を受ける際の留意点を簡単に3つ箇条書きにします。
①実務作業は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
②位置指定道路は、幅や奥行、舗装の状況など、一定の基準を満たしている必要があります。
③指定を受けるためには、道路となる土地の所有者全員の承諾書と印鑑証明書などを提出する必要があります。
道路の位置の指定(指定道路)について/札幌市
http://www.city.sapporo.jp/toshi/k-shido/douro/shitei/douro-shitei.html
パンフレット付きで、詳細な取扱いが記載されています。
ここでは参考として、位置指定道路の形状に関する基準を見てゆきましょう。
・・・と、まぁ、昔の位置指定道路は他の部分と区分されていなかったり、例外的な取扱いが多かったものですが、現在においては、基準に従って正確に分筆され、形状等も制限に沿ったものしか認められません。
そして、一度位置指定道路の指定を受け、周辺に建物が建ってしまうと、その指定を廃止することはかなり難しくなります。
また、道になってしまった部分は、売却するにあたっても、価格はほぼゼロとなります。
(場合によっては、実態的な価値がマイナスとなる場合もあります。)
土地家屋調査士などへ相談した場合にも同様の注意を受けるかとは思いますが、
特にその後も位置指定道路を所有し続けようとする場合には、くれぐれも慎重に検討して下さい。