C-8 『位置指定道路』と『隅切』の奇妙なお話


『隅切』という言葉をご存じでしょうか?
こんなんです。

道路と道路の接続部をナナメに切っているものです。
これがある事で、見晴しがよくなり、車両の通行の安全性が高まります。
公道と公道の交差点には多くの場合、隅切がありますが、
広い道路と狭い道路の交差点などでは、一部隅切がない場合もあります。

位置指定道路』の場合でも公共の通行に利用される前提がありますから、
道路の指定を受ける為には、2mの隅切を設ける必要があります。
制度の初期に申請された位置指定道路には、隅切がないものもあります。
その場合であっても、市道として寄附をするためには、新たに隅切を設ける必要があります。

位置指定道路だからといって、寄附をすればそのまま市道になる訳ではない。
…というのは注意が必要な部分ですね。
現に『道』になっている部分と新たに『隅切』になる部分の所有者が違う場合には、
容易に『隅切』の部分の土地を寄付してもらうことは難しいかもしれません。

さて、それでは私が経験した、案件のうち『隅切』に関する奇妙な事例をご紹介しましょう。
地主のAさんが所有する土地は、市道①と私道②に挟まれた角地にあり、隅切はありません。

さて、Aさんはこの土地を分譲するにあたって、道路の位置指定を受けたい。
赤い部分がAさんが位置指定道路にしたい部分です。
前半でお話した通り、位置指定道路の指定を受ける為には、隅切が必要です。
…と、いう訳で、
…と、こんな風になると思うでしょう?
しかし、位置指定を受けるにあたって、札幌市からはこのような条件が出されたようです。
市道①と市道②の間の隅切がない部分に新しい隅切を指定するように求められたのです。
結果、赤い部分が一体の位置指定道路として指定されたのです。
位置指定を受けた部分については『道』ですから建物を建てられません。
更に、この飛び地の部分、登記上は緑色の土地と同一の土地という事になっているのです。

例えば将来、緑色の土地を売買しようとする場合に、角の隅切部分が位置指定道路になっていることが分かっていなければ、
建物を建てられない『道』の部分について、差額分の損害賠償請求を受ける可能性があります。

このように、由来の古い不動産ほど、訳のわからない取扱いがされている事があります。

古い物件に限らず、不動産を処分する際は、綿密に調査をし、慎重に書面を作成できる専門家に依頼する事が、最良のリスクヘッジと言えるかと思います。

当記事は2013年12月16日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

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