E-6 市街化調整区域の土地を捨てたい!

『市街化調整区域の土地を売りたい』をテーマにして一連の記事を書いてきましたが、やっぱり処分が難しい土地が多い訳です。

まー、だからこそ敢えて分類していこうという趣旨な訳ですが、どうしても、どうにもならない場合には『土地を捨てる』という選択肢が頭に浮かぶはずです。
管理費、修繕積立金がかかる分譲マンションについても同様ですね。
老朽化した分譲マンションやバブルの頃建築されたリゾートマンションが安値で売りに出ている、なんて話題も多く聞きます。

自分自身が買ったものであればまだ諦めが付きますが、親族が昔勝手に買ったものの後始末をする、というのは心情的に大きな負担となります。
売りに出そうにも難しい・・・不動産を捨てるにはどうすればいいんでしょうか?

・・・あ、相続登記しなければいいんだ。

・・・という事にはなりません。
不動産登記法における登記義務と民法における相続発生による所有権移転は、
別問題ですから、相続登記をしなくとも、民法上の所有権は移転してしまいます。

民法第167条2項で『債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。』と定める通り、所有権には消滅時効がない訳で、どんなに放っておいても、どんなに手続きや納税をしなくとも、所有権はなくなりません。
(他人に時効取得された場合や他者に差し押さえ後、競売された場合は、所有権が移転します。
また、債権は民法167条で10年の消滅時効が定められています。)

また、民法239条2項では『所有者のない不動産は国庫に帰属する』とされていますが、国は寄附や放棄に応じてくれず、所有権移転登記を受けてくれませんから、自分が『放棄した』と意思表示をしたとしても、まったくの無意味なのです。

とはいえ、固定資産の課税や自治体からの各種通知は、通常、登記された内容に従って郵送で送達されますし、あくまで聞いた話ですが、市役所のレベルではそれ以上に所有者を調べはしないようです。
(恐らく、同じ自治体に居住している等で住民票等から相続人の所在が明らかな場合は対応も違うでしょうが…)

あとは例えば父Aと母B、子Cがいて、複数の財産があるような場合、父Aが所有する土地を一旦母Bが相続して、母Bが亡くなった際に相続放棄してしまう、という手法もそこそこ有名です。
その場合、その土地は最終的には国有地になりますが、相続人全員が相続放棄をするのって、結構手続きが面倒臭いんですよね。
何より、他の財産がある場合には、『相続放棄』は使えません。
わざわざそこまでして捨てる必要があるのかというと、疑問です。

一番合法的かつ合理的な方法として『欲しい人に捨て値で売る』というのもあります。
近隣で土地を使用しているような方に売り払ってしまう。
ただし、安易に贈与してはいけません。
大抵の場合、所有権移転を登記する為に、費用が発生するからです。
また、贈与の場合には、受け取る人に贈与税も掛かってしまいます。

その土地の所有者として登記されている内容が、現在の自分の氏名住所であれば問題ありませんが、もし異なる場合には『相続登記』『住所変更登記』が必要です。
自分自身で必要書類を集めて申請するのであれば実費は数千円ですが、プロである司法書士に依頼すると数万円の費用が必要になります。
まぁ、それも廃物処分費用と捉えて、タダであげてしまうというのもアリです。

買取り出来る物件は限られていますが、『捨て値でも良い』と割り切っていただけるのであれば、当方でもこちらの問い合わせフォームから具体的に地番を記載の上、ご連絡頂ければ対応致します。
ご自身で『相続登記』や『住所変更登記』を行なうコツなどをお知らせして、支出を最小限にするお手伝いをしています。

『捨て値で売る』・・・これが一番平和裏な方法なのですが、そこまでして手放したい土地というのは、はたして欲しいという人がいるのか、という問題も出てきてしまいますよね。

中学校の歴史の授業でも習う通り、フランス革命以後、『私有財産の保護』つまり『財産権の保障』は市民の権利として重要な位置を占めますが、日本では特に明治以後、さらに戦後GHQの政策により土地の所有権は強く保護されており、分化し過ぎた土地の権利は、ある意味『田分け』的状況に陥っていて、整理する事が不可能なところまでいってしまいました。

イギリスをはじめとした各国では、土地はあくまで国家のもので、各所有者はその利用権を一時的に借りているという考え方のようですが、今更、日本でその考え方に沿った改革を行うことは困難でしょう。
永久的所有権から限定的利用権に切り替えようという学者さんは多いですが、民主主義をとる限り、これを改めるというのは現実的ではないように思います。

遠くない未来、戦争や大恐慌があれば国家による強制収用なんてことになるかもしれませんね。
或いは国家という体制が破綻した場合には、そんなことになってしまうかもしれません。

当記事は2014年05月27日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

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