A-15 実際の除排雪状況を調べたいとき


札幌で不動産を選ぼうとする際には『除排雪状況』は重要なファクターになるのは言うまでもありません。

賃貸ならば数年我慢すれば…という面もありますが、売買であれば、そうはいきません。
11月中旬~4月中旬の5ヶ月を占める積雪期間の事を考えずに不動産を購入するのは愚の骨頂と言えるでしょう。
3月ともなれば雪が降る日も少なくなりますが、
上がった気温で溶けた雪が道路にシャーベット状の水たまりを作りますから、
それまでの除排雪状況が大きな影響を及ぼすことは言うまでもありません。

さて、札幌市の除排雪が入るか否かについては、
以前『A-14 除排雪の取り扱いを知りたいとき』で紹介しましたが、
今回は個別の物件の除排雪の状況の調べ方の一例を紹介します。

除排雪状況が劣悪な不動産は…
・マイホームであれば、毎日の除雪が大変。
除雪や雪下ろしで怪我や腰痛、筋肉痛の恐れがある。
・投資用のアパートやマンションであれば、入居者の負担が多く、
入居率・定着率への悪影響が懸念される。
・事業用の物件なら、除雪の労力のほか集客力への影響が懸念される。

また、どのような種類の物件であっても
・除雪機械やロードヒーティングの維持費が多くなる。
・雪でスタックする車が多い道で迂回路がないと、自動車での移動が困難になってしまう。
…といった面は共通しています。

◆それでは具体的に、除排雪の状況の一例を写真で見てみましょう。
(それぞれ撮影年度や時期はばらばらなので、あくまでも参考として理解して下さい。)

①とある北海道道、幹線道路だけあって交通量も多く、雪は少ない。

②郊外の市街化調整区域にある法定外道路。
舗装がされていない為、自動車で通った場合かなり浮き沈みがあります。

③道路が角になっている部分には雪が溜まりやすいですが、
この曲がり角は、幅8m以上の市道のため、札幌市の機械除雪が入っているようです。

④殆ど除雪が入っていない市道。幅8m未満の道路には原則、札幌市の除雪は入りません。

⑤某位置指定道路の路面。公共除雪が入らず、かなり路盤が荒れています。
年に何度か、地主さんのご厚意で除排雪をしているようですが、費用はばかになりません。

⑥郊外の市街化調整区域にある市道です。
幅が広く、除雪がないと孤立してしまうからか、毎年きちんと除雪されています。

除排雪の状況は土地によって様々であることが分かって頂けたでしょうか?

◆雪のない間はどうやって確認すればいいの?
さて、それでは、不動産選びの際、具体的に除排雪状況の確認方法を紹介しましょう。
まずはシンプルに『冬の間の写真はありますか?』と相手方に聞いてみるとよいでしょう。
ただ、売主さんにしても業者にしても、道路の写真までは撮っていない場合も多くありますから、
冬の間の写真がないと言われたからといって疑心暗鬼になる必要はありません。

そんな時は管轄の土木センターや近所の方に『冬の間の除排雪の状況はどのようになっていますか?』と聞いてみるのがよいでしょう。
各区の土木センターでは、市の公共除排雪が入っているか否か等が確認出来ます。
札幌市の除雪のほか、近隣の方が厚意で重機を動かして除雪をしてくれているという場合もありますし、
札幌市の除雪に町内会などが費用を負担する、パートナーシップ除雪制度というものもあります。

もし冬の間の写真を見て、きれいに除雪がされている場合であっても、
『誰が除雪をしているのか』
『誰が除雪費用を負担しているのか』
『どの程度の頻度で除雪が入るのか』
…といったことは出来るだけ確認しましょう。

例えば、売主さんが自主的に近辺を除雪しているような場合で、
その不動産の売買の後、売主さんがその土地を離れるような場合は、
買った後、除雪をする人が誰もいない…などということも十分に考えられるのです。

まぁ、聞き取り調査に行ったところで
『冬の間の事なんか覚えでね』
『自分ちの前以外の事なんか知んねぃよ』
…と言われてしまう事も多々あるので、
結局は自分の目で見て確認するのが、一番確実な方法といえるかもしれません。

◆普通の不動産屋さんは、除排雪の状況について教えてくれるの?

一般的に不動産業者は『積極的調査事項』には該当しないため、
原則的に冬季の除雪状況について買主さんに知らせることはしません。

と、言うのも例えば『札幌市の除雪が入ります』と書類に記載してしまったとして、それが誤りだった場合には、業者に責任が発生してしまいますが、書類に記載すること自体が義務ではない以上何も書かないでいれば、責任も発生しない、という考え方でリスクコントロールをしているのです。
(『積極的調査事項』といって書類に記載することが義務となる項目もあります。
例:不動産の所有者や面積に関する事項や法令上の制限など。)

除排雪の状況を調べようが調べまいが、売上額は変わらず、
苦労とリスクが増える訳ですから、やりたがらない業者さんを責める事も出来ません。
(法律上、別途費用を請求する事は違法ではありませんが、ちょっとやりづらいですよね)

私も含め、一部の業者・担当者がリスクを負ってサービスとして行っている場合があるということで、
現在の除排雪状況について冬季の現地調査や聞取り調査の内容をお知らせするものの、
当然ながら将来的な除排雪状況を保証するものではありませんから、
その点についてはご了承頂ければと思います。

当記事は2014年01月28日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。