A-9 都市ガスの配管状況を知りたいとき


『道路』というものは人や車の通り道であるというのと同等に『インフラの経路』としての役割を持ちます。
側溝から始まり、下水道、上水道、電線、都市ガス・・・様々なインフラが道路を利用して敷設されています。

札幌市の近郊の場合には、インフラの普及は以下のような順番でしょうか。
電気>下水道>上水道>都市ガス

上水道があって下水道がない、であるとかその逆もまた然りですが、上下水道が使えないのに都市ガスだけが使える、という例はまず考えられません。
都市ガスが通っていない区域では、熱源としてプロパンガスや電気、灯油を使わなければなりません。
(熱源に灯油を使う場合、給湯器やストーブは灯油で動いても、灯油コンロというものは一般的ではありませんから、コンロだけはプロパンガスや電気と併用しなければなりません。)

ガス種別『都市ガス』『プロパンガス』の違いを簡単に言うと…

『都市ガス』・・・初期費用が高い、道路内にガス管がないと設置不可、火力が弱い、ランニングコストが安い
『プロパンガス』・・・初期費用が安い、どこにでも設置出来る、火力が強い、ランニングコストが高い
(正式にはLPガスと言いますが、以下わかりやすくプロパンガスと言います。)

ここで比較に述べる『初期費用』とは、建物建築時や設備の導入時にかかる費用を指し、『ランニングコスト』とはガスの利用料金を指します。

また、細かい話になりますが『プロパンガス』にも『個別プロパン』『集中プロパン』の2種類があります。
『個別プロパン』はガスボンベやバルク(タンク)を敷地内に設置し、そこからガスの供給を受ける方式。いわゆる、普通にイメージされるプロパンガスですね。
『集中プロパン』は、道路内に配管されたガス管からプロパンガスの供給を受ける方式です。

・・・って、これじゃあ『都市ガス』と『集中プロパン』の違いが判りませんね。
都市ガスとプロパンガスは供給方法の違いではなく、ガスの種類が違うのです。
ガスを燃やした際に発生する熱量が異なる為、ガス器具もそれぞれ異なります。

集中プロパンはごく限られた地域に敷設されており、費用的には都市ガスと個別プロパンの中間的な性質であるといえます。

最近では情報の普及や節約志向から、賃貸でも売買でも『都市ガス』物件の方が明らかに人気です。
・・・と、いう訳で不動産を考えるにあたっては、ガス種別も大きなファクターなのです。

では、道路の中に都市ガスが配管されているか否かは、どのように調べればよいのでしょうか?
実は北海道ガスに都市ガス供給照会依頼書をファックスするだけで、無料で調べる事が出来るのです。

都市ガス供給照会|北海道ガス株式会社
http://www.hokkaido-gas.co.jp/business/contractor/syokai/

このページから地区に応じて『供給照会依頼書』をダウンロードして記載し、ファックスで送付することで調査が可能です。
しかし、北ガスのHPには具体的な記載方法や、どんな図面が送られてくるのか、書かれていません。

ですから、今回は具体的な『供給照会依頼書』の書き方と実際の『道路内配管図』を見てみましょう。
いつものように、ターゲットは札幌市役所です。
(上記様式は平成29年現在の様式であり、最新の様式と相違がある可能性があります。)

こんな風に書きましょう。
札幌市役所とズバリ書くと怒られそうですがマンションなどの場合は建物名も書きましょう。
インフラの調査の場合には、『地番』ではなく『住居表示』が必要です。
(更地の場合には住居表示はありませんので、地番でも差し支えありません。)
2枚目には、住宅地図に照会場所を示す印をつけて、2枚1セットでFAXします。
住宅地図を添付しないと怒られてしまいますので、ご注意下さい。
ちゃんと送ったのに『住宅地図を添付して下さい』というクレームが入った事もあります。
住宅地図は、インターネットで印刷したものでも、場所が示されていればOKです。

その日か、翌営業日にはFAX番号に『道路内配管図』が送られてきます。
窓口に出向かなくても無料で情報提供してくれるなんて、素晴らしいですね!
ちなみに東京ガスは会員登録すればインターネットで供給照会が可能!すごい!!
(業務上、東京のお客様の土地建物についても取り扱う事があります。)

・・・なんて事を平成25年当時は言っていたのですが、平成29年3月からは北海道ガスでもインターネットからの供給照会が可能となりました。

都市ガス供給照会 – 北海道ガス
https://user.hokkaido-gas.co.jp/Article/

インターネット照会では会員登録が必要ですし、原則的に法人を対象としているため、一般の方が閲覧するためには向きません。

ファックスがなく、インターネット登録も困難という方は、仕方がないので北ガスの庁舎まで行きましょう。

北海道ガス株式会社

このようにして取得した配管図の見方については、『B-6 都市ガス配管図の見方』で紹介していきます。

【余談】
序盤で紹介をした『集中プロパン』については、その供給会社に対して、道路内配管の有無を確認してゆきます。
札幌で多く見る集中プロパンの供給会社は北海道ガスの子会社である『北ガスジェネックス』ですが、それ以外にも集中プロパンの供給業者は存在しますから、近隣にお住いの方や町内会などに問い合わせるのがよいでしょう。

北ガスジェネックス株式会社
https://www.kg-genex.co.jp/

当記事は2013年09月25日および2013年10月06日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。