A-17 私道の課税について知りたい② 贈与税・相続税・譲渡課税


今日は相続税と贈与税で『道』がどのような取り扱いになっているか、紹介します。

そもそも、相続税や贈与税はどのような場合にかかる税金なのかというと・・・
贈与税・・・生きている人が生きている人に財産を貰うときにかかる税金
相続税・・・亡くなった人の財産が生きている人が引き継ぐときにかかる税金
(これはざっくりとした説明で、亡くなった方から亡くなった方への相続、というのも例外としてありえます。
 亡くなった人からの贈与『遺贈』には相続税が課せられますから、上記の法則に準じます。)

字面からよく誤解があるのですが、贈与税は贈与される人が支払う税金なのです。
贈与する人が支払う税金ではありません。

また、『相続税法』という法律はありますが、『贈与税法』という法律はありません。
二つの税金は、どちらも『相続税法』に定められたもので、税率などは異なりますが実質は同じものです。

相続税・贈与税では、もらった財産の金額を元に、税金の計算をしていきます。
現金であれば金額がはっきりしていますが、それ以外の場合には、金額がハッキリしません。
(比較的金額が分かりやすい上場株式や金相場だって、毎日価格が変わる訳ですから)
そのために、土地建物や株券(有価証券)、自動車や生き物(牛馬)などあらゆる物について、原則的に国税庁が決めた一定のルールに従って税金計算のもとになる金額を計算します。
このルールを『財産評価基本通達』といい、国税庁のHPからも確認する事ができます。

土地の場合には、原則的に『路線価評価』か『倍率評価』で金額を計算(評価)します。
よく、ニュースなどで『路線価』が上がっただの、下がっただの言っているアレです。
(『路線価』についても、国税庁が決めて、発表しています。)
細かい計算方法について紹介しても、あまり意味がありませんので、省略します。

それでは、『道』『路線価評価』か『倍率評価』で計算(評価)するのでしょうか?
答えはイエスでもあり、ノーでもあります。

一般の人が誰でも通っている道には、相続税・贈与税がかかりません。
それが『私道』であっても『公共に通行されているもの』は財産価値を評価しないとするとされています。
財産価値がゼロな訳ですから、それを元に計算される税金もゼロという訳です。
また、『特定の者が通行するもの』については7割の評価減、つまり通常の3割の評価額で計算する事になっています。

ただし、通行する者の範囲が非常に狭い場合にはこの評価減の対象とはなりません。
自分だけしか通らない『道』や扉などが設置してあって一般の方が通らない道などは、通常の土地と同じ評価額となります。

国税庁 No.4622 私道の評価
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4622.htm

『公共って何だ?』『特定の者ってどの程度だ?』という事について、これ以上に明文的な規定はありません。
私道の利用状況や税務署・税理士の見解によって評価方法が大きく変わる場合があります。
同じ私道についてであっても税理士によって評価額が異なる事も実務上では頻繁にあるのです。
実際に税金の申告が必要となった場合には、私道の評価方法について、税理士に確認するとよいでしょう。

<おまけ 譲渡課税について>
ところで、『道』になっている土地を他人に売った場合は、どのような課税の特例があるのでしょう?
・・・答えは『一切の特例はない』です。利益が出た場合には通常の土地を売却した時と同様に、個人の場合は所得税が、法人の場合は法人税が課税されることになります。注意しましょう。

(国や自治体に売った場合に、特例がある場合がありますが、『道』に限った話ではありませんので、説明は省略します。)

当記事は2013年09月28日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

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