札幌市外の『道道(どうどう)』について知りたいとき


当記事は2014年06月19日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

今日は北海道が管轄する道、『道道』の調べ方を紹介しましょう。

北海道ではテレビやラジオで『どうどう』という音を聞くことは日常的ですが、
『道道』と文字として書くと、かなり違和感があるように感じるのは私だけでしょうか?
PC上で変換をする際も誤変換が目立つので『みちみち』と打っています。

本題に入りましょう。
札幌市内の『道道』については、札幌市が管理を行っています。
これは、政令指定都市に与えられた行政権限の委譲によるもので、
これによって市内の『道道』については、札幌市役所で調べることが出来ます。
調べ方については、『A-6 市道・道道の詳細を知りたいとき』で紹介しています。

札幌市外にある道道については、各自治体に行っても教えてもらえません。
例えば、石狩市を走っている道道のことを石狩市役所に問い合わせても無駄という事です。

道道を調べる窓口は北海道の『札幌建設管理部』という部署です。
ちなみに『札幌建設管理部』は道央圏≒空知総合振興局管轄の場合です。
ほかの地域では『旭川建設管理部』『小樽建設管理部』などになります。

国道を管轄する国の窓口『札幌開発建設部』なので、メチャクチャ紛らわしいですね(; ・`д・´)

“札幌”建設管理部ですが、千歳市や石狩市…空知地域全体を管轄しています。
この役所は札幌に本所があり、各地区に『出張所』があります。

札幌にある本所では、空知振興局のすべての道道を調べる事が出来ますが、
各出張所では、出張所それぞれの管轄地域の道道についてしか、調べられません
・・・と、いう事は札幌市の本所で調べるのが一番確実という事です。
私も通常は本所にしか行きませんが、市外遠方の方もいらっしゃるでしょうから、
各出張所についても紹介してゆこうと思います。

各窓口へ出向き、『道道の台帳の写し頂きたい』と伝え、受付簿に署名すると、
職員が道路台帳のコピーを無料で取ってきてくれます。
希望があればA全版(A4サイズの8倍)やB全版で図面をコピーしてもらえますが、
通常はB4~A2サイズの部分コピーまたは縮小コピーです。

札幌市をはじめとして、各自治体では台帳のコピーは有料ですが、北海道は無料なのです。
(各出張所に電話で問い合わせて調査した結果です。今後変更となる可能性があります。)

さて、各窓口の場所と管轄について紹介していきましょう。

札幌建設管理部 札幌市中央区南11条西16丁目2番1号(011-561-0201)
 管轄:空知総合振興局管轄区域の全域

千歳出張所 千歳市桂木6丁目1番28号(0123-23-4191)
 管轄:北広島市・千歳市・恵庭市




滝川出張所
 滝川市流通団地3丁目1番5号(0125-22-3434)
 管轄:滝川市・芦別市・砂川市・赤平市・歌志内市・上砂川町・浦臼町・新十津川町
    奈井江町・雨竜町石狩川流域下水道・北海道子どもの国・徳富ダム

深川出張所 深川市錦町北4番11号(0164-22-1411)
 管轄:深川市・妹背牛町・秩父別町・北竜町・沼田町

当別出張所 石狩郡当別町栄町192番7号(0133-23-2220)
 管轄:江別市(一部除く)・石狩市(一部除く)・当別町・新篠津村
     真駒内公園・野幌総合運動公園

 ※ 江別市・石狩市の一部については西野にある『事業課』が管轄しているので、
    道路台帳は本所で取得して下さい。




長沼出張所
 夕張郡長沼町市街地(01238-8-2346)
 管轄:夕張市・長沼町・南幌町・由仁町・栗山町・栗山ダム

岩見沢出張所 岩見沢市上幌向南1条2丁目(0126-26-3011)
 管轄:岩見沢市・美唄市・三笠市・月形町・美唄ダム

・・・と、まぁ私も行ったことのない窓口が多数あります。

ところでここまでのリストに、札幌に隣接する『小樽市』が入っていませんね。
これは単純な話で小樽は後志総合振興局の管轄だから、という話です。
いずれは小樽についても取り上げてゆきますが、1日の代休では窓口は回り切れませんでした。

引き続き、札幌市以外での道路の窓口について紹介してゆきます。

高額で成約したマンションを『大島てる』に事故物件扱いされるの巻


当記事は2015年7月13日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

不動産業者の仕事は、取引が終わったからといって完全に終わる訳ではありません。

買主側に付いた場合は、当然その不動産と長く関わって行くことになります。
買主様がお住まいになったり、事務所にしたり、賃貸アパートなら管理受託したり…
お客様との付き合いが続く限り、その不動産とも付き合ってゆくことになります。
最終的には、その不動産を手放す時も、売却を依頼して頂けるなら、
大変光栄なことで、不動産屋冥利に尽きるというものです。

売主側に付いた場合、一旦その不動産とは直接関係が無くなるとはいえ、のちのちのトラブル発生を予見しておく必要があります。
とはいえ、買主側にも業者がいる場合には、こちらから積極的に接触は取りません。
土地を売却した後は、無事に建物が建ってゆくかを見守ります。
建物を売却した場合には、その後問題なく、居住・運営・賃貸しているか、定期的に確認します。

買主側にも売主側にも立つ、『両手』取引の場合には、この両面があるので責任も重大です。

・・・と、毎度毎度前置きが長いですね。

『大島てる』というウェブサイトがあります。
事故物件の情報を広く募っているサイトで、Googleマップから事件事故の情報を閲覧する事が出来ます。

事故物件公示サイト: 大島てる CAVEAT EMPTOR
 http://www.oshimaland.co.jp/

誰でも簡単に投稿出来る為、Wikipediaや2ちゃんねるのようなもの、と言えば分かりやすいでしょうか。
事件事故の情報というのは不動産取引上、不動産屋としては知っておかなければならない事項ですから、
不動産を売買する場合には、出来るだけ見ておくようにしています。

勤め先で管理しているアパートで火災があり、不幸にも入居者が亡くなってしまった事がありましたが、
火災が起こったのが明け方で、朝9時頃にはもう事故情報が登録されていました。
新聞やニュースに掲載された情報に関しては、ほぼ確実に反映されると考えて良いようです。

しかし、事故物件の情報を気軽に投稿出来るという事から、たとえ情報が真実であっても、
不動産価値の下落に繋がる為、掲載して欲しくないという批判もあります
し、
何より、誰でも投稿出来るため、デマやいい加減な情報が多いのも事実です。

既にタイトルに結論は書いてしまっているんですが、
先日、『大島てる』を閲覧していた処、過去に取引したマンションが掲載されていました。

  『平成○○年○月頃  事故のあった部屋を格安で売り出していた』
   ※ 物件が特定出来ないように、細かな言い回しについては若干変更しています。

えっ…もしかして当時、情報を見落としていた…?おかしいなー…
と、よく日時を見てみると、どうやら私が売った部屋の事を言っているらしいのです。

(改めて当時の流通履歴を見直しましたが、その時期に他に売りに出た部屋はありませんでした。)

その物件は、付き合いの古いお客様が所有していたマンションで、
私がこの職業に就いて初めて売却したマンション、かつ、初めて『両手』で成約した物件でした。
(それまでに中古マンション以外の土地や建物の取引経験はありました。)
かなり独特な販売戦略が見事に『当たった』、非常に思い出深い物件の一つです。

では、本当に事故物件だったのかと言えば当然、事実無根です。

まず、前の所有者が貸していた入居者の方は確かにお亡くなりになっていたのですが、
ご病気で病院に入院してでの事ですから、事故物件ではありません。
(通常、事故物件というのは『建物内で』、『自殺、他殺、事故死』されたものを指します。)

また、『格安』というのも大きな誤りで、かなり高額での成約でした。

具体的には当時のの直近の成約実績より2~3割も高額で成約しています。
(これはかなり大々的なリフォームを実施した関係もあります。)
これを機に建築当初からの成約履歴を確認していたのですが、当時築25年のマンションでしたが、成約価格は築10年の頃と同水準でしたから、如何に高額で成約したかが分かって頂けるでしょう。
恐らく、同じマンションの住人が広告を見て相場も分からずに『安い、事故物件に違いない!』と、『大島てる』に投稿したものと思われますが、非常にタチが悪いですね。
『大島てる』は、誤情報で事実確認が出来た場合には削除に応じる事もありますが、ある種の炎上商法で、ないものをないと証明する『悪魔の証明』をわざわざしてゆくのも、火に油を注ぐ行為になりかねないと考え、現在のところ、静観しています。
(時期だけで、号室が明示されていない為、無いものを無いと示しづらい、という面も…)

また賃貸物件の募集広告『告知事項あり』と記載されていたことを根拠に、
『大島てる』への登録を行なっている方もいるようですが、
『告知事項あり』は必ずしも事件事故による心理的瑕疵物件に限られた記載ではありません。

 

『大島てる』は、非常に意義があるサイトだと考えていますが、
このように、利用する際には、インターネットリテラシーが必要になりますね。

一般の方が不動産の購入をする際に参考にすることも多々あるとは思いますが、
せいぜいWikipediaや2ちゃんねる程度の信憑性、と考えておきましょう。
(まー、Wikipediaの信憑性についてもかなり誤解している方も多いようですが…)

平成27年8月30日追記
『大島てる』氏からの当記事へのコメントでの申し出により、
先方へメールにて物件情報を送信したところ、該当する投稿は削除されました。

削除されるまでにコメントで『大島てる』を名乗る方とやりとりしましたが、
メールとコメントで矛盾する部分が多くあり、
実際に本人だったのか否か、また複数の運営者がいるのか等、
私には判然としない部分が多かったように思われます。

当時非公開だったメールでのやりとりを含め、次の記事に掲載しています。

【関連記事】
◇ 高額で成約したマンションを『大島てる』に事故物件扱いされるの巻
◇ 事故物件扱いされた物件についての『大島てる』氏とのやりとりを公開します
◇ 『大島てる』と『ファンキー中村』は中の島地区の凋落を嗤うか
◇ 事故物件公示サイト『大島てる』への削除依頼の方法とは?

B-8 上水道台帳の見方

A-11 上水道の配管状況を知りたいとき』で取得した『上水道台帳』の見方を紹介していきましょう。

上水道の台帳図は、都市ガスや下水道と異なり、道路内配管の太さが数字で書かれていません。
また、情報量も多く、配管の材質や宅地内での供給設備なども記載されていますから、市役所の記載内容を読み取る前に、個別に読み方を紹介してゆきましょう。

なお、このコンテンツは札幌市水道局の上水道台帳の見方を解説したもので、
他の自治体では、異なる様式の記号・略称となる場合がありますのでご注意下さい。

<配管の種類>

旧ブログのアクセス解析には『DTP』『DKP』に関する検索が多くありました。
これは配管の種類に関する表示で、材質や形状についての記載です。
アルファベットの”D”は『ダグタイル鋳鉄管』を指し、
『DTP』はダグタイル鋳鉄管T形、『DKP』はダグタイル鋳鉄管K形を意味します。
他ではダ『ク』タイルという表記の方が多いのですが、札幌市ではこの表記です。

ダグタイル鋳鉄管の見た目はこんな感じです。

DTPであるとかDKPであるとかは、継手の形状などで決まるようですね。

ダグタイル鋳鉄管は水道本管や引き込み管などに広く利用されています。
鉄管の形状は主に接続部分の形状で、配管の太さや圧力で使い分けられています。

一覧表を見て分かる通り、ダグタイル鋳鉄管以外には、
コンクリート配管、鋳鉄管、鉄管、銅管、鉛管などがありますが、
古くなって劣化した配管から、徐々にダグタイル鋳鉄管に置き換えられています。
(配管の劣化・サビによる赤水・ピンホールや、鉛の漏出が懸念される為。)

ダグタイル鋳鉄管の他に広く利用されているものには、
『Pe』つまりポリエチレン管があり、
戸建住宅だけでなくそれなりの規模の集合住宅や施設の引込管に使われています。
ほかに『VP』…塩化ビニール管などもありますが、
札幌ではあまり見かけず、他の自治体で使われているような気がします。

配管の材質・形状に関する専門的解説は、他のサイトをご参照下さい。

<配管の口径(太さ)>

札幌市の上水道台帳では、道路内の配管口径について、数字での記載はありません。
表のような奇妙な記号で配管の太さを表現しています。

通常、大きな幹線道路ほど太い配管が通っており、住宅地の生活道路に関しては多くが100mm(=10cm)配管になっており、部分的に50mm配管となっている、というようなイメージです。

たった10cmの配管で何十軒もの住宅の使用する水を供給していると考えると、水道管にどれほどの水圧がかかっているか、技術の凄まじさに感嘆せざるを得ません。

写真はΦ2928(直径2.9m)の上水道配管です。
このクラスの配管はかなり大きな幹線道路の道路内で使われています。
市役所の北側、国道12号線の下の配管は300mmですから、国道でもこの10分の1の太さだ、という事です。

この太さの配管に水が満たされていて、かなり強い水圧が掛かっているというのは、ちょっと私の想像力では、どのような状態になっているのか想像出来ません。

<設備記号>

これはあまり利用する機会もなく、一般の方が知っておくべき事柄でもありませんが、上水道台帳の設備記号についても、引用して紹介しておきます。

特に話題になりやすい項目として、建物への水道の供給方法で『直結直圧方式』、『受水槽方式』、『直結加圧方式』といったものがあります。
『直結直圧方式』は、水道管の圧力で建物へ水を供給する方式です。
戸建てや中低層のアパートでは一般的ですが大きな建物には使えません。

『受水槽方式』は、一旦屋上などに汲み上げた水を重力で建物に供給する方式で、近年は『不潔』だと、あまり評判がよくありませんが東日本震災で水が止まった時には貯まった水をしばらくの間利用することが出来た為、重宝されました。

『直結加圧方式』ブースターポンプ(VP)という機械で、大きな建物でも受水槽を使わずに水を供給します。
その他にも細かく色々な方式がありますが、建物固有の事情になりますから、説明は省略します。

<札幌市役所本庁舎の上水道台帳>
さて、一通りの説明が済みましたから、札幌市役所の上水道台帳に戻りましょう。

敷地内の引込については、小さく数字で書かれていますから、拡大図を見てみましょう。


凡例と照らし合わせると北側の国道12号線の道路内配管の口径は300mmです。
そこから敷地内に引き込まれ、DKP(100)を通って、DTP(75)[M]と続いていきます。
DKPとDTPという事は、配管の材質は『ダクタイル鋳鉄管』ですが、途中でK型管とT型管を切り替えているという事です。

括弧書きは引込み管の太さ、これがあまり細いと大きな建物への水道供給は出来ません。
配管の太さも100mmから、途中で75mmと細くなっていますね。

配管が太ければ太いほど、大きな水圧が掛かっており、高層階への供給が可能です。
戸建の場合20mm以上大規模な建物は100mm以上が目安と言われています。
水圧不足を補うためには、受水槽やブースターポンプの設置が必要となります。

古い戸建では13mmの引込管も多いですが、水の使用量によって不便が生じる場合があります。

[M]は、メーターの事で、右下の『受』は受水槽方式数字『187280』はメーターの番号です。
札幌市役所は19階建の建物ですから、受水槽方式で水圧をカバーしている訳ですね。

つまり、この『上水道台帳』から分かることは以下の通りです。
市役所の北側には300mmの上水道配管が通っており、市役所には100→75mmの引込管がある。
引込管から供給された水は、受水槽方式で市役所内に供給されている。

下水道は市役所の北側を通らず、西・東・南に通っていましたが、
上水道は逆に、市役所の北・南を通っていますが、西・東には通っていません。
道路内配管や敷地との接続方向は、インフラによって違うのです。

<その他の記載>
その他、『予定栓』、『未工事』、『散水栓』、『水飲み場』などの記載がある場合もあります。
『予定栓』は、メーターを接続する事が出来る、引き込み管です。
新規に宅地造成されたような地域では、予め引き込み管まで設置している場合があります。
『未工事』は、過去に建っていた建物の水道メーターが撤去されていない状態です。
『散水栓』『水飲み場』は言葉通りの意味ですね、公園などにあります。

上水道の道路内配管は比較的簡単な調査項目ですが、敷地内の配管・メーターの取り扱いについては様々な規定があります。
また、上水道の手続・工事は、札幌市の指定業者しか行うことが出来ません。

水道メーターや加入料に関しては、知識のない不動産業者が担当すると数十万円単位を平気で損をしてしまいますから、水道メーターの取扱いについては、技量の確かな不動産業者か、市の水道工事指定業者に相談した方がよいでしょう。

当記事は2013年10月18日および2014年12月15日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-7 下水道台帳の見方


今回は、『A-10 下水道の配管状況を知りたいとき』で取得した『下水道台帳』の見方を紹介します。
まず、最初に触れておきたいのが『合流式』『分流式』の違いです。
両者の違いは『汚水』『雨水』を合わせて流すか、分けて流すか、という事です。 

『汚水』…トイレ、風呂、台所等から出た生活排水
『雨水』…雨水、雪解け水、屋根の雨どいから落ちた水など

分流式では、雨水はそのまま川へ流しますが、合流式では処理施設まで流れます。
札幌市では市内中心部はほとんどが合流式、郊外などの比較的新しい配管は、分流式であることが多いようです。
市のHPによると、その割合は処理区域面積の60%が合流式、残り40%が分流式との事ですが、人口のカバー率でいえば、合流式の方がもっと多いはずです。

画像をクリックするとフルサイズの画像がダウンロードされます。

札幌市の『下水道台帳』は『合流式』はピンクの線、『分流式』赤(汚水)青(雨水)の線で表されます。
上にある市役所の下水道台帳はピンク色ですから、周辺の配管は『合流式』と分かります。
そして、ガス管などは通っている北側道路(国道12号線・北1条通)には下水管は通っていないんですね。
見づらいと思いますが、西側にある下水道が60~70cm(600~700mm)、東側が80cm(800mm)です。

そして下水管と敷地との接続は通常『公共枡(ます)』で行われています。

『札下』と書いてあるものですね。札幌市下水道の略で、市の所有物です。

下水道台帳ではで表されますが、市役所の敷地に『公共枡』はないようです。

代わりに市役所の東側に小さくあるのがのマーク『私設枡』です。
『10』と書かれていますから道路へ接続する配管は10㎝(100㎜)ですね。
公共枡は札幌市の持ち物ですが、私設枡は民間の持ち物、故障があった場合、自己負担となります。
…札幌市の持つ土地にある枡が『私設枡』の扱いだなんて妙な話ですが、
古い建物に関しては実際の権利関係と資料の不整合はよくある話です。

台帳図の内容をまとめると、以下のようになります。
札幌市役所には、生活排水と雨水が一緒に流れる西側600~700㎜と東側800㎜の下水管があり、敷地からは10㎝(100㎜)の『私設枡』で東側の下水管と接続されている。
(本当は南側・大通にも下水管30cmの下水管が通っていますが用紙に入りきりませんでした)

ちなみに、『大雨でトイレやお風呂が逆流!』というのは、殆どが合流式での事故です。
近年は、大雨が増えてきていますから、下水の逆流等の問題が大きくなっていくのかもしれません。
だからといって、すぐに分流化することは札幌市の算的には難しいかと思いますが、
最低限の覚悟として、『この地域は合流式なんだな』という認識を持っておく必要はあるかと思います。

当記事は2013年10月14日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-6 都市ガス導管図の見方


さて、『A-9 都市ガスの配管状況を知りたいとき』で北海道ガスにお願いした、『都市ガス供給照会依頼書』と『道路内導管図』が戻ってきました。

『道路内導管図』はこのようになっています。

『都市ガス供給照会依頼書』には、こちらから送った依頼書に、回答の担当者名などが書かれてきます。

『道路内配管図』の見方では、図面よりも一番上の枠の内容がすべてと言って良いかもしれません。

 前面道路→あり・西150mm・北250mm
引込み管→あり・150mm
対象地区のガス種→13A

『前面道路』欄では、道路内の配管の有無と太さが記載されています。
『引込み管』というのは、道路から敷地内へ接続する配管があるかどうか、その配管の太さの事です。
どちらの道路の配管から引込んでいるのかは、図面を見ましょう。図面では北側から引込んでいますね。

『対象地区のガス種』の13Aというのは、天然ガスの規格です。
ガスは成分によって種類が定められていて、コンロなどの機材もガスの種類に合わせなければなりません。
(プロパンガス用のコンロは都市ガスで使うと事故の元になりますし、逆も同様です。)

図面の内容を読み解いてまとめると、
市役所の回りには西に150mmと北に250mmの道路内配管があって、
市役所には北側から150mmの配管で13Aというガスが供給されているよ。
という意味なのです。
配管の太さや引き込み位置については、北ガスや設備業者さんの領分になります。

さて、札幌市役所は都市ガスが使える事が分かりましたが、
その他、イレギュラーなケースも見ていきましょう。

①道路内に都市ガス配管があっても、引込み管がない場合
 前面道路→あり・西100mm
引込み管なし
対象地区のガス種→13A

・・・という回答が返ってきた場合には、敷地へのガスの供給がないという事です。
道路内に配管があっても、この『敷地への引き込み』がない場合は、すぐに利用する事は出来ません。
自費負担で敷地への都市ガス配管の引き込み工事が必要になります。
既に建物が建っている場合は、建物のガス設備をプロパン用から都市ガス用に変更しなければなりません。

新しい建物でも、オール電化住宅の場合には、都市ガスの引き込みはありません。
見た目だけに騙されてはいけない例ですね。

②その近辺に都市ガス配管がない場合
道路内に都市ガス配管がないエリアの場合には、返信のファックスに配管図面がついてきません。
『都市ガス供給照会依頼書』に、このような文言がスタンプされて返ってきます。
ガス導管図のない地域となります。
ご照会場所の付近に都市ガス管はありません。

これが返ってきたらそのエリアでは都市ガスの供給はまだまだ先・・・とあきらめるしかないでしょう。

③道路内には都市ガス配管はないが、近隣に配管がある場合
都市ガスの供給エリアではあるのだけれど、その道路の中に配管がない場合には、一番最初の画像の左側にある文書にチェックがされた図面が返信されてきます。
ガスの引込が可能ですが、本管延長工事(有料)が必要です
つまり、自分の土地の目の前の道路までの引込費用を負担してね、という事です。
・・・とはいえ、道路を掘って管を埋めるというのは、ベラボーに費用がかかります。
分譲業者が行う大規模な開発でもない限り、個人レベルでやる事ではありません。
よっぽどの事がない限り、すぐには都市ガスは通らないと考えてよいでしょう。
北ガスは徐々に供給エリアを広げていますから、そのうち通ってくれるのを祈りましょう。
まぁ、もし道路に配管が通っても①の状態になるだけの場合もありますが・・・
(造成工事などで、敷地までの引込費用を負担してもらえる事もあります。)

・・・だいたいこんなところでしょうか。
インフラの供給工事については、技術的な問題があるので、出来る・出来ないをすっぱり言えない場合があります。
例えば①のケースで前面道路の幅が20mくらいあって、自分の土地の側ではなく、
道を挟んで向かい側の歩道の中にしか都市ガス配管がない場合には、
道路を20mも掘って引き込み工事を行わなければならないので、
道路管理者の許可を取ったり、どの程度費用負担するか決めたりと、大変です。

都市ガスの有無は土地建物の価格に、比較的ダイレクトに影響する要因ですから、入念に調査しましょう。

当記事は2013年10月11日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-5 道路台帳図の見方


さて、今回は『A-6 市道・道道の詳細を知りたいとき』で取得した、『道路台帳図』の見方を例によって『大通』を例にして紹介します。

早速ですが、取得した道路台帳図を見てゆきましょう。


うーん、見づらい!
(クリックすると大きな画像が見られますが、それでも見づらいです。)
角度や縮尺の調整でもう少し見やすいように出力することも出来るのですが、まずはありのままの状態でお見せした方が分かりやすいでしょう。

まずは道路台帳図の性質を知るために枠外に書かれている注意から紹介してゆきましょう。

<注意>
1.この図は札幌市管理の道路台帳図の一部分を複写したもので、道路法上の道路区域を表示してあります。
2.道路区域線は、土地所有権の境界線ではありません。(官民・民民を含む)3.現地の道路区域位置とは必ずしも一致しません。
4.道路区域及び幅員・延長以外の記載事項は参考です。法的根拠を有するものではありません。
使用する場合は個々にご確認の上使用してください。
5.この図に関するお問合せは、電話ではお受けできませんので、窓口まで直接お越しください。
(所在 札幌市中央区北1条西2丁目 札幌市役所6階 道路認定課)

つまり、図面は道路の認定幅員を示すもので、実際の幅(現況幅員)や建物や舗装、植栽の状況や登記の内容との整合性は保証しない、と言っています。
また、所有権や登記上の境界線は必ずしも一致していないことも明記されています。
所有者や、登記上の形や面積を知りたい場合には、法務局で登記を調べましょう。
A-8 道路の拡幅について知りたいとき』で紹介したように『市道』として認定されていても、所有権が個人にある『私有地』の場合もあるのです。

さて、それでは図面を拡大して、見てゆきましょうか。


(これもクリックすると大きな画像が見られます。)
今回は全体像から徐々に拡大してゆく、という方法をとりたいと思います。
道路に沿って、番号とともに名称が書いてある部分(赤い下線部分)は『道路番号』と『路線名』です。
実は大通は『10-0001 大通南線』と『10-0002 大通北線』の2つの道路からなっていることが分かります。
しかも、『10-0002 大通北線』には、大通公園の敷地が含まれています。
つまり、大通公園は道路法上の道路敷地なのです。

では、いわゆる『公園』ではないのか、というとそうではありません。
いわゆる『公園』の法的根拠は『都市公園法』とそれに関連する政令によりますが、大通公園は札幌市が告示する『特殊公園』に該当する為、いわゆる『公園』でもあり、道路法上の『道路』でもあるという、重複的な立ち位置にある、と言えます。

道路番号のハイフン前の最初の2桁(10-)は札幌市が管理する『区番号』で、中央区は『10』です。

次に、赤い○を付した部分、道路に対して直角に線が引かれている隣に数字が書かれているのがその部分の道路『認定幅員です。
前の画像では細かい数字までは読み取れませんから、図面中央下部を拡大してみましょう。

ここまでは市役所手前の北側を見てきましたが、北側の道路区域には大通公園が含まれていて、大変大きくなっているので、今回は例外的に南側(丸井今井の北側の道路)を見てみましょう。

太線で○を付けた部分には『20.00』と書かれていますね。
ここから、この部分の『認定幅員』は20.00mであることが分かります。

その両脇に、細線で○を付けた2ヶ所には『10.00』と書かれています。
これは『道路中心線』から道路境界までの幅員で、道路の片側の幅員を示します。
10.00mが2つで20.00mの認定幅員である、という事です。
単に道路幅員の半分の数値が書かれている訳ではありません。
例えば、7.27mの道路であれば、半分の3.635mとなるのか、と言えばそうではなく、3.64mと3.63mとなっています。
道路幅員は小数点2位(センチメートル)までの記載となっていますから、どちらかが1cm多い表記となる訳です。

また、都市計画の設定や、道路の拡幅は『道路中心線』を基準に行われますから、道路の左右で拡幅計画が異なる場合も出てきます。
全体の幅員は勿論のこと、片側の幅員についても確認をしておきましょう。

そして、道路幅員の確認が終わったら、同じ道路に確認した幅員以外の数字の記載がないか、確認しましょう。
大通は道路幅員が一定ですが、太くなったり・細くなったりしている道路の場合には、当然、その箇所によって認定幅員が変わって来ます。
道の幅が狭い部分と広い部分で変化している場合には、正確な認定幅員を算出することは出来ません。
その場合には例えば『10.21m~11.43m』といったような幅のある表記になります。

平面図の他に、タッチパネル端末では、『断面図』や『告示図』『標高図』などを閲覧できる場合があります。
『告示図』や『標高図』は特殊な図面で一部の道路にしか存在していませんが、『断面図』についてはすべての道路に用意されていますから、内容を紹介してゆきましょう。

断面図では、車道・歩道での幅員の内訳や舗装の材質と厚さをみる事が出来ます。

画像の丸井今井正面道路の幅員は20mですが、うち6mが歩道、12mが車道、2mが(大通公園側)歩道という内訳がわかります。
下に記載してあるのは舗装の厚さと、舗装を構成する材料、ロードヒーティングの有無などです。
ざっくり言えば舗装は厚ければ厚いほど耐久性があり、薄ければ剥がれて砂利が露出してしまう危険性が高くなります。
一般に幹線道路については舗装が厚く、住宅地の入り組んだ道路などでは舗装が薄いと言われています。

予算の関係上、舗装のランク付けがされています。
大通は交通量も多い札幌の象徴的道路ですから『高級舗装』で施工されています。

さて、ここまで道路台帳が読めれば、まぁ宅建士の最低水準程度には達していると言えるでしょう。
(まー、その最低基準を満たさない宅建士も世の中には沢山いる訳ですが。)

更に詳細な内容については、道路認定課の窓口で聞くように書かれていますが、実際には各道路センターや市役所7階の管理測量課に回されてしまう事が多々あります。
また、役所との交渉についてはある程度のコツが必要になってくる局面もありますから、専門家に依頼するのも一つの手段かと思います。

当記事は2013年09月08日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-4 地積測量図の見方


今回は『全部事項証明書』、『地図に準ずる図面』に続いて、第三の法務局資あ料『地積測量図』を見てゆきます。

用語解説でも紹介していますが、『地積測量図』は『全部事項証明書』に記載される面積の根拠となる図面です。

つまり、地積測量図は土地がその形・その大きさになった際に作成されます。
多くの場合、『分筆』または『合筆』を行った場合に作成されたものが殆どです。
『分筆』というのは一つの土地を複数に切り分ける作業(法的行為)です。
『合筆』というのは、複数の土地を一つの土地に統合する作業(法的行為)です。
登記された不動産の単位『筆』と言い、それを分けたり・合わせたりするから『分筆』『合筆』と言うのです。
他にも、登記されている面積を変更する『地積更正登記』などで作成された地積測量図もあります。

地積測量図については最新のものが取得出来るほか、過去の変遷を追ってゆくことも可能です。

今回も例に出すのは大通り北側・市役所前面の道路『中央区大通西2丁目10番1』の最新の地積測量図です。


画像をクリックするを大きなサイズでご覧いただけます。
さて、まずは画像右下にある法務局の受付印を見ましょう。

『札幌法務局 処理 37.3.12 第   号』と書かれています。
昭和37年3月12日に分筆の受付をしましたよ、という意味です。
『第  号』という部分については、本来は受付番号が記入されるのですが、
記入漏れなのか、当時の札幌市の処理で記入不要なのか、ちょっとわかりません。
1つの土地について複数の地積測量図がある場合には、この日付と受付番号が一番新しいものが有効な図面です。
平成の世になっても、昭和37年のものが最新の図面だというのですから、すごい話ですね。

このように、まずは日付を確認するようにしましょう。

次に、図面上には地積測量図には申請した人(申請人)、測量し図面を作成した人(作成者)が書かれています。
右下に記載の申請者は札幌オリンピックを誘致した札幌市の『原田 与作』市長です。
左下に記載の作成者は『札幌市技師 ○○○○』と書かれています。(公人でない為、指名は削除しています。)
過去の地積測量図には技師とか測量士といった肩書で作成者が記載されていることがあります。
現在は法改正によって、土地家屋調査士だけが、登記に使う図面を作成出来ることになっています。
この図面を作成した人、登記を申請した人を見ることで、どのような権利関係にあったのか、類推することが出来ます。

ここから図面の内容に移ります。
右下の市長の名前の下に『尺貫法による表示』とある通り、昭和41年までの図面はm単位で記載されていない事が多いです。
有名な話ですが、昭和26年に施行された計量法によってメートル法の使用が義務付けられたものの一向に普及せず、昭和41年以降、かなり強権的に移行させた経緯があります。
詳細な換算法については『尺貫法』で検索して下さい。

この土地は『B-2 全部事項証明書(謄本)の見方』で調べたように、
『昭和37年3月12日に10番という土地を10番1、10番2、10番3の3つに分けたよ』という土地で、今回紹介した地積測量図は、まさに昭和37年に分筆した際の記録なのです。
長方形だった『10番』の土地が『据置地 10-1』『10-2』『10-3』に分けられています。
それぞれの辺の長さが記載され、下の部分で面積が計算されています。
計算式はだいたい小学生レベルの加減乗除で『10-2』3畝10歩『10-3』4畝19歩となっています。
そして『据置地 10-1』は元の『10番』の面積から『10-2』『10-3』の面積を差し引いて
4反4畝という面積で計算されています。
1反≒300坪≒991.74㎡、1畝はその1/10ですから、現在登記簿に書かれている面積
『4363㎡』4.4畝×991.74㎡という換算式で計算されている事がわかります。

ここで一連の計算を見て分かると思うのですが現在の登記簿上の面積である4363㎡『4反4畝』の根拠となったのは『10番』の頃の面積からの差し引きで、昭和37年の段階で、『据置地 10-1』についての測量を行っていないのです。
これを『据置計算』といい、確かに作業は楽なのですが、誤差が大きくなってしまうので、現在では原則的に、分筆する前の土地『10番』と分筆後の土地それぞれを測量して面積を計算することになっています。

地積測量図は新しいものになるにつれ信頼性が増してゆきますが、古いものについては殆どアテにならないものと受け取って下さい。
登記全般に言える事ですが、地積測量図に書いてある内容が真実であると、公的に証明されている訳ではありません。

私は賭けてもいいのですが、この土地を現在測量すると、かなり大きな面積の誤差が発生します。
そのくらい、登記されている面積と実際の面積との相違は、不動産業者にとってはありきたりな事なのです。

その他の地積測量図では、いろいろなメモが記入されています。
『地図に記入済み』とか『住所変更』とか『○年○月○日 合筆済』とか…
更には作成した調査士のメモや法務局が後で付け足したイレギュラーな書き込みもあり、注意が必要です。

地積測量図については時代によって様式も代わり、特に古いものについてはかなり自由に作ってあるので、かなりの注意を持って利用するのがよいでしょう。

当記事は2013年09月03日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

 

B-3 地図・地図に準ずる図面の見方


『地図』または地図に準ずる図面では、土地のだいたいの形と、地番、隣接関係を調べることが出来ます。
『地図』とだけ言うと紛らわしいですから、『地図に準ずる図面』という呼称にまとめます。

『地図に準ずる図面』って何よ?という疑問については用語集を参照。

早速、図面を見てゆきましょう。

これだけではイメージが掴めないでしょうから、Googleマップと照らし合わせてみましょうか。

『10-1』が今回調べている、大通の北側部分です。
その北側が『10-3』札幌市役所の入り口付近、さらに北側『10-7』は市役所庁舎と駐車場部分です。

西側にある『9』と『10-2』は札幌大通郵便局(NTT東日本ビル)です。
東西には『道』と書かれていますね。
(『道』と書いてある部分については『A-12 登記がない・地番がない土地ついて知りたいとき』で紹介しています。)

実際の住宅地図やブルーマップと、地図に準ずる図面を照らし合わせて、所在を調べます。
1つ(=1筆といいます)の土地に複数の建物が建っていたり、1つの建物が2筆以上の土地にまたがって建築されている事も多々ありますので、注意が必要です。

そして、地図を準ずる図面を見る上での最大の注意点ですが、『9番』(郵便局)『1-7』(市役所)の線の上に記載されている『● ● ●』です。

これは『字界(あざかい)』といって住所の切れ目を表記するものです。

具体的には郵便局は『大通西2丁目』なのですが、お隣の市役所は『北1条西2丁目』なのです。
同じ区画で隣同士なのに、字(住所の区切り)が異なる事があるのです。不思議ですよね。

『字界』についてもはっきりとした決まりはなく、ケースバイケースというのが現状のようです。
区画整理を実施したせいで、4丁目のはずの区画の土地が登記記録では5丁目になっている『飛び地』があったりと、
整理したのか散らかしたのか訳がわからないような事例も結構あるのです。
このような場合、『B-1 ブルーマップの見方』でも書いていますが、ブルーマップや地番図では微妙な『字界』が間違って表記されている事があります。

公務員の皆さまにはその辺、きちんと考慮して業務を執行してもらいたいものですが、一度役所が決めた事については、現状に合わせて変更する事は難しいようです。
国の機関である法務局と、札幌市とで見解が異なる事もあり、公式な書類で住所が二重になっている例もあります。

住所の境界である『字』については、近年でも、割と曖昧な取り扱いが多いような印象を受けます。
毎度毎度で申し訳ないのですが、トラブルになった場合には個別に協議する以外の方法がないのです。
詳細な調査や問題解決の為の業務についてはプロにご依頼下さい。

当記事は2013年08月30日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-2 全部事項証明書(謄本)の見方


さて、『A-3 道の所有者を知りたいとき』で取得した書類の中身をもうちょっと詳しく見てみましょう。

大通の北側部分『札幌市中央区大通西二丁目10番1』の全部事項証明書の内容を一部写したものです。

全部の内容について網羅的な説明はやっていくとキリがありませんので、他のサイトを見て頂くとして、ここでは最低限の謄本の読み方と『道』を調べる為に必要な部分を解説していきます。

<表題部(土地の表示)>…上から1つ目の枠
①地番
そもそもこれが分からなければ全部事項証明書を取る事が出来ませんので、取得した時点では判明していると思いますが、この書類には 『10番』と『10番1』の2つの地番が記載されています。
左下の部分に『*下線のあるものは抹消事項であることを示す。』とある通り、
下線のある『10番』は現在無効な地番で、有効な地番は『10番1』ということです。

②地目
地目とは、その土地の用途を登記する項目です。
不動産登記法で定められた23種の地目のうちのどれかが記載される事になっています。
公道の場合は『公衆用道路』、私道の場合には『公衆用道路』『雑種地』『原野』『宅地』などが多いでしょう。
この例では、郵便局敷地になっていますね。
これは、この土地が道路になる前、札幌郵便局・電報局の敷地だったことに由来します。

古い登記には現行のルールが適用されず、修正しなくても罰則など殆どありませんので、昔のまま放置されている場合が多いです。
しかも、『郵便局用地』は不動産登記法に定められている23種類の地目に該当しない、レアな地目です。

札幌で一番有名な公道がイレギュラーの塊だったりする事からも分かるとおり、登記されている内容がアテにならない事はとても多いのです。

また『公衆用道路』という地目でも、『公道』ではない事も多々あります。
公道』か否かは、登記ではなく、各役所で確認しましょう。

③地積
これも下線があるものが、無効な内容。下線のないものが有効な内容ですから、
4363㎡が現在の登記上の面積ということになります。
宅地・鉱泉地の場合は1/100㎡未満で切捨、それ以外の場合は1㎡未満を切捨します。
この例では4363.○○○…というところを、1㎡未満で切捨しているのです。

また、この面積の計算は登記を行った時点で測量した結果に基づくもので、
現在の面積と一致している保証はどこにもありません。
最近登記を行った土地であれば信頼性は高いですが、古いものでは尺貫法からの換算なので、まったくアテになりません。
B-4 地積測量図の見方』で触れますが、4363㎡の換算前の数字は『4反4畝』です。
・・・単位からしてアテにならなそうな気配がひしひしと伝わってきませんか?

原因及びその日付
この項目には登記をした内容と、その日付が記録されています。
不動産の売買や相続、差押のほか、複数に分けたり(分筆)、1つにまとめたり(合筆)といった記録が書かれています。
この例に書いてある『①③10番1ないし3に分筆』というのは、
『昭和37年3月12日に10番という土地を10番1、10番2、10番3の3つに分けたよ』という意味です。
『ないし』は『…から…まで』という意味で、『いずれか』という意味ではありません。

その下の欄の『昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記』というのは、
紙媒体の登記記録をコンピュータの記録に移し替えました、という意味で、通常は気にする必要はありません。

<権利部(甲区)>…上から2つ目の枠
こちらは、シンプルで『昭和33年に札幌市が所有者として登記されました。』という意味です。
『移記』についても表題部の取り扱いと同じです。
『順位1番の登記を移記』と書かれていますが、この番号によっては、
昔の権利関係を知る為に紙媒体の頃の登記簿を調べなければならない場合があります。
一般の方が現在の登記内容を知りたいだけであれば、気にする必要はありません。

2つめの枠の下に『登記記録の乙区に記載されている事項はない。』と書かれている通り、
3つ目の枠『権利部(乙区)』という記載がある場合があります。
『道』の調査の場合にはあまり出てきませんが、私道の場合には、稀にみられます。
内容としては『借金のカタになっている』『担保不動産である』という記載です。
機会があれば解説しますが、今回は省略します。
私道については借金のカタになっている事、割とありますが、その解決策については機会があれば・・・

最後に、最終段落の文章がとっても大事です。
『これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。』
つまり、『この書類の内容は登記にある内容と全く同じですよ』、と保証しているのです。
現実の権利関係と全く同じですよ、とは保証していません。

登記記録と、所有者や面積、借金のカタになっているかという現状については、法務局は関知していません
ので、ご注意下さい。

さらに、インターネットの『登記情報提供サービス』で取得する登記データには、この一文がありません。
電子データについては登記内容の保証もしませんよ、という事なので、公的な手続は電子データで行えない事が殆どです。

登記の役割や効力はどんなものなのか、感覚として理解して、有効に活用しましょう!

当記事は2013年08月29日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-1 ブルーマップの見方


A-3 道の所有者を知りたいとき』などで紹介した通り、法務局で土地の手続きをしてゆくときには『地番』が必要になります。
『地番』とは、法務局における土地の登録番号です。
札幌では、いわゆる一般生活でイメージする『住所』と登記の世界の『地番』は多くの場合、異なります。

『札幌では』と言いますが、北広島や江別、石狩といった近隣自治体の場合には、『地番=住所』である場合も多くあります。
また、札幌市内でも中央区の中心部の一部では、いまだ『地番=住所』となっています。
(あとは、郊外の『市街化調整区域』も地番=住所です。
また、小樽市は古い街なので、『地番≠住所』の場合が多いですね。)

『地番』というものは明治時代から順番に付けられて行ったもので、土地を分割する度に枝番号が増えてゆきますから、地図を見た場合に法則性を掴みづらいという難点があります。
特に旧来から発展してきた人口密度の高い街ではその傾向が強く、戦後には住所から場所が分かりづらい、という問題が発生してきます。
そこで昭和37年に施行されたのが住居表示に関する法律です。

『住居表示』を実施することで、住所に地図上の法則性が生まれ、管理も容易になりました。
『住所』が『地番』なのか『住居表示』なのかを見分ける方法としては、
『札幌市中央区南○西○丁目』という記載ならば、『住居表示』実施地区です。
『札幌市中央区南○西○丁目×××番地×』という記載ならば、『地番』です。
数字でハイフン表記されると、よく分かりませんよね。
インターネット地図などからでも、地番と住居表示を見分ける方法はあるのですが、また機会があれば紹介しましょう。

『地番』と『住居表示』の違いが理解出来ていない不動産屋も結構いるのですが、そういう担当者には高額の取引を任せてはいけません。

札幌市の場合、一般の方が普段利用するのは『住所』であって、『地番』ではありません。
ですから、自分の住んでいる土地であっても『地番』が分からない事は往々にしてあるはずです。
(事実、不動産のプロを自任する私ですら、現在の居住地や実家の地番は覚えていません。地番は全部で4~8桁あるのが普通ですから。)

本来、『地番』を調べるには管轄法務局で公図『地番図』を確認する必要があるのですが、この図は味も素っ気もありゃしない、白黒で線と番号だけが書かれたややこしい図です。

このように、白黒で表記されていて、建物の様子も分かりません。

これだけでは見つけられないだろうという事で天下のゼンリン様が作ったのが、『
地図に準ずる図面』と住宅地図を重ね合わせた、大変ありがたい地図帳です。

一冊3万円程度と非常に高額ですが、『A-3 道の所有者を知りたいとき』で紹介した通り、法務局にはブルーマップが備え付けられていますし、市役所や図書館などで閲覧することが可能です。

まずは目次から探したい土地の住所を見つけましょう。該当するページを開きます。

白黒の『公図』と比較すると、カラーでかなり見やすい事が分かりますね。

建物の様子や道の状況、建物に入っているテナントまで明記されています。
地図の中の黒文字が住居表示(≒住所)、青文字が地番です。

赤で○を付けた青文字の部分が地番です。
また、赤い破線は住所と住所の切れ目である『字界』(あざかい)を表しています。

市役所の入り口の部分は『大通西2丁目』の赤枠にあって『1-7』と書かれているので、地番は『札幌市中央区大通西2丁目1番7』だという風に見ていきます。
これで『おおまかな』地番を知ることができます。

なぜ『おおまかな』と括弧付けしたかというと、これは、あくまでもだいたいの参考地図なんです。
詳細を見てゆくと間違っている事が多々あります。
同じ部分の『地図に準ずる図面』と照らし合わせてみましょう。

札幌市役所の入口部分の地番は『10-3』なのですが、ブルーマップでは『1-7』となっています。
(まぁ、これは『10-3』が道路敷地であるという事情もありますが)
また、住所と住所の切れ目である『字界』(あざかい)についても間違っていますね。
ブルーマップでは、郵便局と市役所入口が同じ住所になっていますが、正しくは地図に準ずる図面の通り、郵便局は『大通』、市役所の前庭は『北1条』です。
同じ区画にある隣同士の建物なのに、住所(字)が違うという事があるんです。

また、ブルーマップでは道路に地番が書かれていないことが大半ですから、道の地番を調べる場合にはブルーマップで目算を付けてから、『地番図』『地図に準ずる図面』で地番を確定させるのが確実でしょう。

『地図に準ずる図面』を取得するのは有料ですが、管轄法務局であれば『地番図』を無料で閲覧する事が出来ます。
管轄法務局で、両者を見比べて地番を探しましょう。

それでは、『地番図』の同じ部分の写真も見てみましょう。
『アレッ?!』と思って頂ければ、ここまで長々と解説してきた甲斐があるというものです。

ここまで解説してきた、市役所の入り口部分の地番にご注目。
何故か『2-3』になっているんです・・・(^^;)
(元記事を書いた当時は気づかなかったのですが、市役所の北側、時計台の東側にある脇道『20』についても、地番図の記載が間違っていますね。)

登記の世界は、このように兎に角複雑怪奇なものなので、
役所に置いてある資料が平気で間違っていたりするのです。

この他に、札幌市役所本庁舎では別の形式の『地番図』を無料で閲覧する事が出来ます。

しかし、こちらについても課税のための図面で、誤りが多くあります。

ブルーマップや地番図は参考図面であって、正解は有料で取得する『地図』『地図に準ずる図面』であるという事は、必ず覚えておいて下さい。

・・・まー、本当に稀に『地図に準ずる図面』すら間違っている、という事があるのですが、そこまで行くとプロの領分ですから、ご相談下さい。

当記事は2013年08月28日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

A-17 私道の課税について知りたい② 贈与税・相続税・譲渡課税


今日は相続税と贈与税で『道』がどのような取り扱いになっているか、紹介します。

そもそも、相続税や贈与税はどのような場合にかかる税金なのかというと・・・
贈与税・・・生きている人が生きている人に財産を貰うときにかかる税金
相続税・・・亡くなった人の財産が生きている人が引き継ぐときにかかる税金
(これはざっくりとした説明で、亡くなった方から亡くなった方への相続、というのも例外としてありえます。
 亡くなった人からの贈与『遺贈』には相続税が課せられますから、上記の法則に準じます。)

字面からよく誤解があるのですが、贈与税は贈与される人が支払う税金なのです。
贈与する人が支払う税金ではありません。

また、『相続税法』という法律はありますが、『贈与税法』という法律はありません。
二つの税金は、どちらも『相続税法』に定められたもので、税率などは異なりますが実質は同じものです。

相続税・贈与税では、もらった財産の金額を元に、税金の計算をしていきます。
現金であれば金額がはっきりしていますが、それ以外の場合には、金額がハッキリしません。
(比較的金額が分かりやすい上場株式や金相場だって、毎日価格が変わる訳ですから)
そのために、土地建物や株券(有価証券)、自動車や生き物(牛馬)などあらゆる物について、原則的に国税庁が決めた一定のルールに従って税金計算のもとになる金額を計算します。
このルールを『財産評価基本通達』といい、国税庁のHPからも確認する事ができます。

土地の場合には、原則的に『路線価評価』か『倍率評価』で金額を計算(評価)します。
よく、ニュースなどで『路線価』が上がっただの、下がっただの言っているアレです。
(『路線価』についても、国税庁が決めて、発表しています。)
細かい計算方法について紹介しても、あまり意味がありませんので、省略します。

それでは、『道』『路線価評価』か『倍率評価』で計算(評価)するのでしょうか?
答えはイエスでもあり、ノーでもあります。

一般の人が誰でも通っている道には、相続税・贈与税がかかりません。
それが『私道』であっても『公共に通行されているもの』は財産価値を評価しないとするとされています。
財産価値がゼロな訳ですから、それを元に計算される税金もゼロという訳です。
また、『特定の者が通行するもの』については7割の評価減、つまり通常の3割の評価額で計算する事になっています。

ただし、通行する者の範囲が非常に狭い場合にはこの評価減の対象とはなりません。
自分だけしか通らない『道』や扉などが設置してあって一般の方が通らない道などは、通常の土地と同じ評価額となります。

国税庁 No.4622 私道の評価
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4622.htm

『公共って何だ?』『特定の者ってどの程度だ?』という事について、これ以上に明文的な規定はありません。
私道の利用状況や税務署・税理士の見解によって評価方法が大きく変わる場合があります。
同じ私道についてであっても税理士によって評価額が異なる事も実務上では頻繁にあるのです。
実際に税金の申告が必要となった場合には、私道の評価方法について、税理士に確認するとよいでしょう。

<おまけ 譲渡課税について>
ところで、『道』になっている土地を他人に売った場合は、どのような課税の特例があるのでしょう?
・・・答えは『一切の特例はない』です。利益が出た場合には通常の土地を売却した時と同様に、個人の場合は所得税が、法人の場合は法人税が課税されることになります。注意しましょう。

(国や自治体に売った場合に、特例がある場合がありますが、『道』に限った話ではありませんので、説明は省略します。)

当記事は2013年09月28日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

A-16 私道の課税について知りたい① 固定資産税・都市計画税

『道』に関する税金の話題、第一弾です。
よく『使ってもない土地なのに税金ばかりかかって・・・』なんて話をよく耳にします。
土地を持っているだけで毎年かかる税金は『固定資産税』と『都市計画税』です。
税金の名前は2つに別れていますが、一緒に課税されます。
一般の方が『固定資産税』と聞いてイメージするのは、『都市計画税』を含んでいる事が大半です。

さて、『位置指定道路』や、郊外の市街化調整区域の通路などでは、非課税になっている場合が大半です。
一方で、住宅街にある位置指定を受けていない私道については、課税されている事が多くあります。
固定資産税の課税については市税事務所の職員が現地を確認して適宜見直しを行っているという事になっていますが、建物の建築状況に関する確認が主眼で、土地については建物と比較すると細かく確認してはいないようです。

①『道』が課税されている場合
大きな金額でなくとも、毎年税金が課税されるというのは、大きなストレスになります。
位置指定道路ではない私道の場合、課税の対象となる場合がありますが、
その場合であっても、通常の評価額から大きく減額がされています。

また、通り抜けのできない(行き止まりの)位置指定道路についても課税扱いとされる場合があります。

課税状況について不服である場合には、一定の時期・期間に限り不服申し立てができます。
(固定資産評価審査申出制度 http://www.city.sapporo.jp/citytax/syurui/kotei_toshi/shinsa.htmlを確認して下さい)
公道に面していない土地なのに通常と同水準で課税されている場合などは、減免の対象となることがあります。

とはいえ、固定資産税は一定のルールのもと課税されていますから、
どうしても減免してもらえない場合もあります。
その場合には、最終手段として、『寄附』してしまうのも一つの方法です。
まぁ、寄付をするにしても様々なハードルがあるのですが・・・

②『道』が非課税の場合
固定資産税が非課税の場合には、2種類のパターンがあります。
『固定資産評価額がゼロ』の場合と『納税者の税額が免税点以下』の場合です。

→固定資産評価額がゼロの場合
一定の要件を満たした私道や国・自治体、宗教法人、学校法人などに無償で貸与している土地は、固定資産税が非課税となります。
位置指定道路も大半はこの非課税の私道に該当します。(通り抜けできないものを除く)
A-17 私道の課税について知りたい② 贈与・相続税』でも解説しますが、相続税・贈与税なども原則非課税となります。

→納税者の税額が免税点以の場合
札幌市では、固定資産税は区ごとに課税されます。
区ごとの評価額の合計が一定以下(土地ならば30万円未満)ですと、税金の請求はされません。
少額の税金のために、多額の事務負担が発生すると、財政上好ましくないという理由から、このような扱いになっています。
少額とはいえ、相続税の申告が必要となった場合には、相続財産の対象となります。
こちらから問い合わせない限り、課税台帳などは送られてきませんので、注意しておきましょう。

それでは、毎回の事ですが、相談窓口と管轄を紹介しましょう。

中央市税事務所  管轄:中央区

東部市税事務所  管轄:白石区、厚別区

南部市税事務所  管轄:南区、豊平区、清田区

北部市税事務所  管轄:北区、東区


西部市税事務所  管轄:西区、手稲区

ちなみに、法務局で取得する登記は誰でも取得できる情報ですが、
固定資産税の課税状況は納税者だけが知る事の出来る情報ですから、
窓口を訪問する場合には、身分証明書や固定資産税の納付書などを持参しましょう。

当記事は2013年09月07日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

A-15 実際の除排雪状況を調べたいとき


札幌で不動産を選ぼうとする際には『除排雪状況』は重要なファクターになるのは言うまでもありません。

賃貸ならば数年我慢すれば…という面もありますが、売買であれば、そうはいきません。
11月中旬~4月中旬の5ヶ月を占める積雪期間の事を考えずに不動産を購入するのは愚の骨頂と言えるでしょう。
3月ともなれば雪が降る日も少なくなりますが、
上がった気温で溶けた雪が道路にシャーベット状の水たまりを作りますから、
それまでの除排雪状況が大きな影響を及ぼすことは言うまでもありません。

さて、札幌市の除排雪が入るか否かについては、
以前『A-14 除排雪の取り扱いを知りたいとき』で紹介しましたが、
今回は個別の物件の除排雪の状況の調べ方の一例を紹介します。

除排雪状況が劣悪な不動産は…
・マイホームであれば、毎日の除雪が大変。
除雪や雪下ろしで怪我や腰痛、筋肉痛の恐れがある。
・投資用のアパートやマンションであれば、入居者の負担が多く、
入居率・定着率への悪影響が懸念される。
・事業用の物件なら、除雪の労力のほか集客力への影響が懸念される。

また、どのような種類の物件であっても
・除雪機械やロードヒーティングの維持費が多くなる。
・雪でスタックする車が多い道で迂回路がないと、自動車での移動が困難になってしまう。
…といった面は共通しています。

◆それでは具体的に、除排雪の状況の一例を写真で見てみましょう。
(それぞれ撮影年度や時期はばらばらなので、あくまでも参考として理解して下さい。)

①とある北海道道、幹線道路だけあって交通量も多く、雪は少ない。

②郊外の市街化調整区域にある法定外道路。
舗装がされていない為、自動車で通った場合かなり浮き沈みがあります。

③道路が角になっている部分には雪が溜まりやすいですが、
この曲がり角は、幅8m以上の市道のため、札幌市の機械除雪が入っているようです。

④殆ど除雪が入っていない市道。幅8m未満の道路には原則、札幌市の除雪は入りません。

⑤某位置指定道路の路面。公共除雪が入らず、かなり路盤が荒れています。
年に何度か、地主さんのご厚意で除排雪をしているようですが、費用はばかになりません。

⑥郊外の市街化調整区域にある市道です。
幅が広く、除雪がないと孤立してしまうからか、毎年きちんと除雪されています。

除排雪の状況は土地によって様々であることが分かって頂けたでしょうか?

◆雪のない間はどうやって確認すればいいの?
さて、それでは、不動産選びの際、具体的に除排雪状況の確認方法を紹介しましょう。
まずはシンプルに『冬の間の写真はありますか?』と相手方に聞いてみるとよいでしょう。
ただ、売主さんにしても業者にしても、道路の写真までは撮っていない場合も多くありますから、
冬の間の写真がないと言われたからといって疑心暗鬼になる必要はありません。

そんな時は管轄の土木センターや近所の方に『冬の間の除排雪の状況はどのようになっていますか?』と聞いてみるのがよいでしょう。
各区の土木センターでは、市の公共除排雪が入っているか否か等が確認出来ます。
札幌市の除雪のほか、近隣の方が厚意で重機を動かして除雪をしてくれているという場合もありますし、
札幌市の除雪に町内会などが費用を負担する、パートナーシップ除雪制度というものもあります。

もし冬の間の写真を見て、きれいに除雪がされている場合であっても、
『誰が除雪をしているのか』
『誰が除雪費用を負担しているのか』
『どの程度の頻度で除雪が入るのか』
…といったことは出来るだけ確認しましょう。

例えば、売主さんが自主的に近辺を除雪しているような場合で、
その不動産の売買の後、売主さんがその土地を離れるような場合は、
買った後、除雪をする人が誰もいない…などということも十分に考えられるのです。

まぁ、聞き取り調査に行ったところで
『冬の間の事なんか覚えでね』
『自分ちの前以外の事なんか知んねぃよ』
…と言われてしまう事も多々あるので、
結局は自分の目で見て確認するのが、一番確実な方法といえるかもしれません。

◆普通の不動産屋さんは、除排雪の状況について教えてくれるの?

一般的に不動産業者は『積極的調査事項』には該当しないため、
原則的に冬季の除雪状況について買主さんに知らせることはしません。

と、言うのも例えば『札幌市の除雪が入ります』と書類に記載してしまったとして、それが誤りだった場合には、業者に責任が発生してしまいますが、書類に記載すること自体が義務ではない以上何も書かないでいれば、責任も発生しない、という考え方でリスクコントロールをしているのです。
(『積極的調査事項』といって書類に記載することが義務となる項目もあります。
例:不動産の所有者や面積に関する事項や法令上の制限など。)

除排雪の状況を調べようが調べまいが、売上額は変わらず、
苦労とリスクが増える訳ですから、やりたがらない業者さんを責める事も出来ません。
(法律上、別途費用を請求する事は違法ではありませんが、ちょっとやりづらいですよね)

私も含め、一部の業者・担当者がリスクを負ってサービスとして行っている場合があるということで、
現在の除排雪状況について冬季の現地調査や聞取り調査の内容をお知らせするものの、
当然ながら将来的な除排雪状況を保証するものではありませんから、
その点についてはご了承頂ければと思います。

当記事は2014年01月28日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

A-14 除排雪の取り扱いを知りたいとき


近年、札幌市では予算難の関係もあり、除排雪の問題がシビアになってきているようです。
ここでは、『道』の除排雪作業についての原理原則をまとめてみました。

正直、我々一般市民の不満を解消するような内容ではありませんが、
札幌市が提示している除排雪の方策を知っておかなければ、苦情を言っても相手にしてもらえません。

ちなみに『除雪』『排雪』の定義は次の通りで、組み合わせて『除排雪』といいます。
『除雪』…雪を道路から取り除き、近辺に積み上げる事。
『排雪』…除雪で積み上げられた雪を、機械で取り除き、別の場所へ移動させる事。

<公道の場合>

担当部署は各区の『土木センター』または除雪センター(除雪業務委託業者)です。

『除雪』の対象となるのは『道路幅員が8m以上の道道、市道及び8m未満の市道のうち、機械除雪が可能な路線』です。
それ以下の幅員の道路については、市の除雪の対象外とされています。

『排雪』
の対象は『幹線道路』と一部の通学路のみで、『生活道路』は対象となりません。
生活道路…住宅地などの地域に密着した道路幅員10m未満の道路

簡単にまとめると…

8m未満で機械除雪不可の公道 除雪× 排雪×
8m未満で機械除雪可能な公道 除雪○ 排雪×
8m以上で10m未満の公道 除雪○ 排雪×
10m以上の公道 除雪○ 排雪○

『狭い道に除雪が入らない事』
『除雪がめったに入らない事』
『除雪した雪を家の前に置いてゆく事』
『春先に雪解け水で道路が水浸しになる事』
…などについての苦情は、窓口で受けつけられても、その場限りの謝罪の言葉が返ってくるだけです。
実際の除雪作業は民間への外注で事前に組まれた予算に従って発注されているため、改善を望む事は非常に困難です。

また、通常『排雪』のない生活道路については、札幌市と町内会で費用を折半して実施する、
『パートナーシップ除雪制度』というものがあります。
制度の名前は『除雪』ですが、『排雪』に関する制度です。
具体的に対象となる生活道路は、町内会が決定しますから、町内会長等に問い合わせてください。
パートナーシップ除雪についてはこちらをご確認下さい。

<私道の場合>
私道の場合には、たとえそれが位置指定道路であったとしても、原則『除排雪』は入りません。
土地の所有者の負担となりますが、所有者が所在不明である場合には、結局のところ近隣住民の自助努力ということになります。
また、たとえ所有者の所在が分かっていたとしても、強制的に除排雪費用を負担させることは、現実問題難しいでしょう。
なぜなら、どのような除雪を・どの程度するかについて、法的な定めは一切ないからです。

厳密にいえば、その道の管理責任は所有者にある訳ですから、最低限必要な処置をしていないという事になれば、
損害賠償などが認められる可能性もゼロではありませんが、どちらにしろ裁判等の手続きが必要になります。

私道の維持管理は基本的に自費負担となってしまうため、不動産実務でも、公道に面しない土地は評価が低くなります。

私見ですが、多少値が張ろうとも、私道よりは公道に接する土地の方が将来的に扱いやすいと思います。
(ただ、将来的に現状の除雪体制が続いていくかと言われるとそれは微妙ですが…)

当記事は2013年09月24日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

A-13 道が『河川』だったとき

『道』だと思っていた場所が『川』だった、という事はよくある事です。
アスファルトで舗装されていて、周囲には建物も建っていて、場合によっては自動車も通行できて札幌市が管理していても公道』ではない。

到底川のように見えなくとも、暗渠化していて河川区域という扱いになっている土地もあり、登記簿の地目が『河川』などとなっている場合には特に注意が必要です。
他に水に関係する地目は『塩田』『鉱泉地』『池沼』『水道用地』『用悪水路』『ため池』『井溝』などがあります。
海や湖に関しては河川とは別の取り扱いになりますが、札幌は海に面しておらず、道ともあまり関係ないので、解説はしません。

このようなケースは暗渠の場合と、川の周辺の遊歩道の場合の2通りが多いでしょう。

(暗渠の例)

(堤防の例)

(遊歩道の例)

豊平川の周辺も、公道と接続していてアスファルトで舗装されていますし、
いろいろな川の脇にある遊歩道に関しても、『公道』ではなく『河川区域』です。
あくまで『川』ですから公道のように『道路台帳』はありません。
代わりにあるのが『河川台帳』で、河川区域の位置や広さなどの図面が保存されています。
道路と同じように、河川の場合にも、管理者が台帳を持っています。


河川の管理責任者 窓口のフローチャート http://www.city.sapporo.jp/kensetsu/kasen/menu07-02.html

北海道開発局(国土交通省)、北海道、札幌市など、管理者は多岐に渡ります。
周辺を見て、川の名前が入っている看板などに、管理者が書かれていますので、それを探しましょう。
探しても見つからない場合には、とりあえず札幌市の河川管理課に問い合わせてみましょう。
(管轄だけなら電話で教えてもらえます。)

札幌市の河川管理課は豊平区の札幌市下水道庁舎の5階です。

札幌市の河川管理課では、河川台帳の交付を受ける事が出来ます。

暗渠化された河川区域であっても、すでに水が通っていない事もあり、地中の話なので、実態をつかむことが難しいです。
私の専門分野の関係もありますが、道路調査よりも、河川調査の方が難しいと思います。

また、『道』に隣接せず『川』に隣接している土地は、建物を建築する事が出来ませんが、
実際の建築計画によっては建物を建築出来る場合もあります。
詳細な事項については建築士などへご相談することをお勧めします。

当記事は2013年09月13日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。