高額で成約したマンションを『大島てる』に事故物件扱いされるの巻


当記事は2015年7月13日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

不動産業者の仕事は、取引が終わったからといって完全に終わる訳ではありません。

買主側に付いた場合は、当然その不動産と長く関わって行くことになります。
買主様がお住まいになったり、事務所にしたり、賃貸アパートなら管理受託したり…
お客様との付き合いが続く限り、その不動産とも付き合ってゆくことになります。
最終的には、その不動産を手放す時も、売却を依頼して頂けるなら、
大変光栄なことで、不動産屋冥利に尽きるというものです。

売主側に付いた場合、一旦その不動産とは直接関係が無くなるとはいえ、のちのちのトラブル発生を予見しておく必要があります。
とはいえ、買主側にも業者がいる場合には、こちらから積極的に接触は取りません。
土地を売却した後は、無事に建物が建ってゆくかを見守ります。
建物を売却した場合には、その後問題なく、居住・運営・賃貸しているか、定期的に確認します。

買主側にも売主側にも立つ、『両手』取引の場合には、この両面があるので責任も重大です。

・・・と、毎度毎度前置きが長いですね。

『大島てる』というウェブサイトがあります。
事故物件の情報を広く募っているサイトで、Googleマップから事件事故の情報を閲覧する事が出来ます。

事故物件公示サイト: 大島てる CAVEAT EMPTOR
 http://www.oshimaland.co.jp/

誰でも簡単に投稿出来る為、Wikipediaや2ちゃんねるのようなもの、と言えば分かりやすいでしょうか。
事件事故の情報というのは不動産取引上、不動産屋としては知っておかなければならない事項ですから、
不動産を売買する場合には、出来るだけ見ておくようにしています。

勤め先で管理しているアパートで火災があり、不幸にも入居者が亡くなってしまった事がありましたが、
火災が起こったのが明け方で、朝9時頃にはもう事故情報が登録されていました。
新聞やニュースに掲載された情報に関しては、ほぼ確実に反映されると考えて良いようです。

しかし、事故物件の情報を気軽に投稿出来るという事から、たとえ情報が真実であっても、
不動産価値の下落に繋がる為、掲載して欲しくないという批判もあります
し、
何より、誰でも投稿出来るため、デマやいい加減な情報が多いのも事実です。

既にタイトルに結論は書いてしまっているんですが、
先日、『大島てる』を閲覧していた処、過去に取引したマンションが掲載されていました。

  『平成○○年○月頃  事故のあった部屋を格安で売り出していた』
   ※ 物件が特定出来ないように、細かな言い回しについては若干変更しています。

えっ…もしかして当時、情報を見落としていた…?おかしいなー…
と、よく日時を見てみると、どうやら私が売った部屋の事を言っているらしいのです。

(改めて当時の流通履歴を見直しましたが、その時期に他に売りに出た部屋はありませんでした。)

その物件は、付き合いの古いお客様が所有していたマンションで、
私がこの職業に就いて初めて売却したマンション、かつ、初めて『両手』で成約した物件でした。
(それまでに中古マンション以外の土地や建物の取引経験はありました。)
かなり独特な販売戦略が見事に『当たった』、非常に思い出深い物件の一つです。

では、本当に事故物件だったのかと言えば当然、事実無根です。

まず、前の所有者が貸していた入居者の方は確かにお亡くなりになっていたのですが、
ご病気で病院に入院してでの事ですから、事故物件ではありません。
(通常、事故物件というのは『建物内で』、『自殺、他殺、事故死』されたものを指します。)

また、『格安』というのも大きな誤りで、かなり高額での成約でした。

具体的には当時のの直近の成約実績より2~3割も高額で成約しています。
(これはかなり大々的なリフォームを実施した関係もあります。)
これを機に建築当初からの成約履歴を確認していたのですが、当時築25年のマンションでしたが、成約価格は築10年の頃と同水準でしたから、如何に高額で成約したかが分かって頂けるでしょう。
恐らく、同じマンションの住人が広告を見て相場も分からずに『安い、事故物件に違いない!』と、『大島てる』に投稿したものと思われますが、非常にタチが悪いですね。
『大島てる』は、誤情報で事実確認が出来た場合には削除に応じる事もありますが、ある種の炎上商法で、ないものをないと証明する『悪魔の証明』をわざわざしてゆくのも、火に油を注ぐ行為になりかねないと考え、現在のところ、静観しています。
(時期だけで、号室が明示されていない為、無いものを無いと示しづらい、という面も…)

また賃貸物件の募集広告『告知事項あり』と記載されていたことを根拠に、
『大島てる』への登録を行なっている方もいるようですが、
『告知事項あり』は必ずしも事件事故による心理的瑕疵物件に限られた記載ではありません。

 

『大島てる』は、非常に意義があるサイトだと考えていますが、
このように、利用する際には、インターネットリテラシーが必要になりますね。

一般の方が不動産の購入をする際に参考にすることも多々あるとは思いますが、
せいぜいWikipediaや2ちゃんねる程度の信憑性、と考えておきましょう。
(まー、Wikipediaの信憑性についてもかなり誤解している方も多いようですが…)

平成27年8月30日追記
『大島てる』氏からの当記事へのコメントでの申し出により、
先方へメールにて物件情報を送信したところ、該当する投稿は削除されました。

削除されるまでにコメントで『大島てる』を名乗る方とやりとりしましたが、
メールとコメントで矛盾する部分が多くあり、
実際に本人だったのか否か、また複数の運営者がいるのか等、
私には判然としない部分が多かったように思われます。

当時非公開だったメールでのやりとりを含め、次の記事に掲載しています。

【関連記事】
◇ 高額で成約したマンションを『大島てる』に事故物件扱いされるの巻
◇ 事故物件扱いされた物件についての『大島てる』氏とのやりとりを公開します
◇ 『大島てる』と『ファンキー中村』は中の島地区の凋落を嗤うか
◇ 事故物件公示サイト『大島てる』への削除依頼の方法とは?

“高額で成約したマンションを『大島てる』に事故物件扱いされるの巻” への3件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です