業界の俗説『登記をすると新築でなくなる』の嘘

当記事は2015年1月7日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

シリーズ:『新築』と『瑕疵担保履行』
『新築住宅』ってどういう意味?定義は?
『新築』と判定される具体的ケースと詳細な取り扱い
業界の俗説『登記をすると新築でなくなる』の嘘
新築住宅の『住宅かし保険』の概要を分かりやすく解説します
中古住宅の『住宅かし保険』は新築住宅の場合とどのように違うのか
重要事項説明書の『瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要』ってなんなの?

ええと、もうちょっと『新築』の定義についてもうちょっと掘り下げてみる事にしました。
いい加減しつこいのですが、品確法と公正競争規約での『新築住宅』の定義は『新たに建築されて一年以内の、人が住んだことのない居住用建物』です。

 
で、その『人が住んだことがない』という状況を
客観的に立証するのは非常に難しい
というお話をしました。

例えばその建物に住民票を移していたとしても、
実際に居住していない場合『人が住んだことがない』と判断される、とも解説しています。
 
しかし、私のこの見解には詳細な客観的根拠がありません。
そこで、国土交通省の担当部署:住宅局住宅生産課へ問い合わせてみる事にしました。
問い合わせをするにあたって、こちらも十分な理解がなければなりませんから、
法律や手引きを読むほか、インターネット検索でも色々と文章を読んでみることにしました。
 
すると、不動産業界に勤務するという色々な方のブログがヒットします。
また、Yahoo!知恵袋のような質問サイトにも多く行き当たりました。
それらをじっくりと読んでみましたが…
ホントにこの業界の俗説と都市伝説の多さには、溜め息が出るばかりですね。
 
前回紹介したように、『工事完了日』とは実態として建物が引渡し可能となった日を指します。
建築確認検査済証の交付を受けた日や建築確認検査を実施した日、
建築確認検査済証に記載された工事完了日など、色々な見解がありますが、
まぁこれらは100%正解とは言えませんが、100%誤りでもありません。
 
しかし、まったくもってヒドいのは登記と新築に関する理解。
『表題(表示)登記がされた時点で新築ではなくなる』
『保存登記をした時点で新築ではなくなる』などなど、
俗説をまことしやかに書いている人間が、殊の外多いのに驚いてしまいました。
 
…ひどい話では新築後1年を経過すると表題登記をしなければならない』という、
どこから聞いたの、その話?!というような論もあり、辟易してしまいます。
不動産登記法に定める表題登記の期限は新築後または取得後1ヶ月以内です。
(所有権移転に使う『住宅用家屋証明書』
の期限の1年以内と混同しているのでしょうか?
 原則は一ヶ月で罰則も定められているのですが、
 実務上は諸事情あって、表題登記されないまま何年も経っている建物も多いのです。)

表題登記も保存登記も、その建物に関する権利関係を明白にするためのものです。
(表題登記は土地や建物の性質を記録するものですが、それは権利関係を明白にするための記録です)
 
ざっくり『所有権がある』=『住んでいる』という事にならないなんて事は、
賃貸用戸建や賃貸アパートの登記名義が住んでいる人とは別である事を示すまでもなく、自明です。
 
Yahoo!知恵袋などで一般消費者の方がそのような勘違いをするのは仕方がありませんが、
仮にも不動産業界にいる人間が宅建主任者を名乗って書く文章が、
そのような耳学問の俗説で語られているというのは、同業者としてちょっと恥ずかしいですね。
 
…なーんて言ってますが、当の私もこのブログに書いている内容が、全て正しいとは思っていません。
用語に誤りがあったり必ずしも正しくない言い回しを使っていたりしても、
あえてそのままにしている箇所もあります。
(それは表現上・ニュアンスの分かりやすさを優先した都合であったり、
 文章の一部だけ
直すと収拾がつかなくなったり、事情はいろいろです。)
また、私自身が気付いていない誤りも、おそらく多々あるはずです。
 
だからこそ、一つ一つの案件に沿って法令条文を引っ張ったり、
役所へ問い合わせる事が大事なのであって、
インターネットで気軽に調べたものを回答とするのは、プロの仕事ではありません。
このブログは私がプロとして有償で活動しているものではありませんから、
当ブログの免責事項でも触れていますが、当ブログの内容について、
誤りがあったとしても、私は何の保証も致しませんので悪しからずご了承下さい。

ただし、プロとして有償で業務を委託された場合において、
その調査によってお客様に損害を与えた場合には、当然にその責任を負うものです。
 
当ブログは一般消費者の方だけではなく多くの同業の方にご愛顧頂き、
それ自体は大変うれしく思っていますが、
意図せざるところで都市伝説や風説を流布しかねないと思うと、
少し空恐ろしい思いにもなり、このような駄文を書き連ねてしまいました。
 
 
…と、いう訳で、国土交通省住宅局住宅生産課へ問い合わせた回答は以下の通り。
①新築住宅は『新たに建築されて一年以内の、人が住んだことのない居住用建物』のこと。
②『新たに建築された日』は、実態としての工事が完了した日。
③『人が住んだことがない』かどうかは、実際に人が生活したかどうかで判定する。
建物の表題登記や保存登記は、『新築』の判定とは何ら関係ない
余談ですが、この考え方を適用してゆくと、
モデルルームなどで仮設事務所などのように扱っていた場合でも、
通常はそれを『居住』とは見なさず、『新築住宅』の扱いとなる、という事ですね。
<個人的備忘>
新築住宅とはどういう物件を言うの?その定義とは?│新築住宅購入のポイント・注意点とは?!
 
【新築物件と呼べるのは建物が完成したあといつまで?】│失敗しない中古マンションの見極め方


新築未入居、登記済=中古扱いの物件購入
 http://www.e-mansion.co.jp/bbs/thread/239154/

おしえてください。建築物件(築1年)購入時に「建物表題登記」費用を請求されました。 – 教えて! 住まいの先生 – Yahoo!不動産
 http://knowledge.realestate.yahoo.co.jp/chiebukuro/detail/1079759060/

2 Replies to “業界の俗説『登記をすると新築でなくなる』の嘘”

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