シリーズ『東雁来』① 札幌市が分譲する『ウェルピアひかりの』ってどうなの?


当記事は平成26年4月7日の記事を一部改訂の上、再録したものです。
現在、ウェルピアひかりのの札幌市による保留地分譲は完了しており、民間で流通しています。
札幌市の分譲当時の状況を示す資料として、本記事を公開します。

一週間後、平成26年4月14日(月)から東雁来『ウェルピアひかりの』の保留地分譲が始まります。
毎年毎年の恒例行事でもあるのですが、この日から同地区の現地事務所が開き、資料も解禁になります。
『ウェルピアひかりの』札幌市の戸建分野で今最も注目度の高い地区です。

注目度が高い、というのは好評悪評色んな意味で…ですね。

好評としては『札幌市が分譲する新しい街並みで商業施設も充実』
悪評としては『泥炭地でとにかく地盤が悪い、水はけ最悪』
それぞれまったく別のところを見ているので、こればかりは相容れないんですよね。

私は商売柄、交通の利便と収益性・処分価値しか見ない人なので、自分自身が買いたいとは思いませんが、そういう選択肢もアリなんじゃないかな、とは思います。
ただ、自分が納得して購入したものであれば、それで良いのですが、情報を集めずになんとなく買ってしまって後で後悔、というのはあんまりだと思いますので、情報の一つとして『東雁来』『ウェルピアひかりの』について私なりにまとめてみます。

◆事業の概要

『ウェルピアひかりの』は地区計画『東雁来第二地区地区』区域で、平成3年度見直しに伴い市街化区域に編入、平成8年から土地区画整理事業を開始し、平成30年に完了予定です。
現在、札幌市と協賛業者が分譲を行っています。

余談ですが、第一区画にあたる地区計画『東雁来地区』は、昭和53年度見直しに伴い市街化区域に編入、昭和58年から平成元年まで土地区画整理事業により整理されました。

◆地盤の悪さ

さて、批判の対象となっている『地盤の悪さ』ですが、札幌市が提供する地震防災マップ液状化危険度図を見ると、あまり地盤が強いとは言えませんが、周辺にはもっと悪い状況の土地も多く、市内でここだけが極端に地盤が悪い土地である、という客観的根拠はありません。
まぁ、売主である札幌市の出した資料が客観的かは置いておいて、札幌市の公開する各種資料を否定する第三者的資料も公開されてはいませんからね。
(数値が良いのは、泥炭地の上に盛り土をしているから、という見解も聞きますが、それにしたって数値的な調査データを見たことがないのです。
 ただ、建築業・不動産業に携わる人間の経験則としては一考の余地があります。)

とはいえ、当の札幌市自身も、土地の概要に『軟弱地盤』と小さく書いて販売しています。
批判している方は、『札幌市主導で軟弱地盤の土地を売りさばくのか』という、良心的・道義的批判によるところが大きいように思います。

◆ニュータウンゆえの宿命

また『ウェルピアひかりの』の各種広告に記載されているようにこういったニュータウンには『子育てファミリー世代の皆さんが暮らしています』これはもちろん良いところでもありますが、短所ともなり得ます。

私自身がそういう造成地の出身なのでよくわかるのですが、山の中を切り裂いて造った住宅街や、地の果てを埋め立てて造った住宅街は、同世代・同所得層の方が同時期に購入する関係上、20年後、30年後には、地域全体としての高齢化に見舞われ、過疎化と地価下落が発生します。
そして、人口が減れば、民間資本のショッピング施設は容赦なく閉店してゆきます。

札幌市は『ウェルピアひかりの』のバス網を充実させると掲げていますし、高齢者や障碍者に優しい福祉の整った地域とする事も目標として掲げています。
地下鉄からもJRからも遠く離れた地区が、将来的に便利な街であり続けられるのか、どちらかといえば疑問符が付くと感じるのは、私だけではないでしょう。

札幌市主導で行った事業だから大丈夫、という保証も当然ながら出来ません。
札幌市は過去にも都市計画の大失敗と批判されるような事業をいくつも手掛けて来たのですから。

◆とはいえ、当面は便利な状態だと思いますよ

色々悪口みたいな事を書いてしまいましたが、どんな財産にだって不確定要素やリスクは必ず付いて回るものですし、そのリスクは原則、価格に反映しているのが資本主義社会です。
そういった視点から見ると、ウェルピアひかりのの分譲価格は不当に高額と言う事も出来ません。

また、今後、平成30年まで事業が継続してゆきますから、(こういう言い方が適当かは分かりませんが)今よりは便利になってゆくことが見込まれます。
『東雁来流通工業系業務地区』として、軽工業や配送センターも誘致しているところです。
札幌市としても意地と見栄がありますから、当面はこの地区の発展に注力していくのではないでしょうか。
そういった意味で、ここ十数年単位極端に状況が悪化するかと言えば、私はNOと答えます。

いつ大地震が来るか、20年後、30年後の地価がどうなっているのか、そんなことは誰にも保証出来ませんし、そんな事を言っていたら財産なんて持てません。
どのような資産を買うにせよ、『割り切り』『納得』が肝要です。

4月14日の分譲開始に伴い、各種販売資料も公開されますので、何か興味を惹くような内容があれば、またこの地区を取り上げます。

◆個人的には…

ウェルピアひかりのは『スポーツのまち』だそうですが、計5面あるサッカーコート(+2面のフットサルコート)に時代を感じてしまいますね。

1面がコンサドーレ札幌ユース、2面が札幌サッカーアミューズメントパーク、2面が東雁来公園サッカー場だそうで、それぞれに所有者は違うそうです。

これらのコートは平成10年代の後半に開業したようですが、平成10年がコンサドーレ札幌のJリーグ加盟平成14年がワールドカップですから、本当に、時代背景がよく出ているなぁという印象ですね。

昭和の頃にも各地の広場に野球場を造って、現在その野球場がどうなっているのかを考えれば、もうちょっと合理的なものの考え方をしてくれてもよいような気がするんですけどねぇ…

◆シリーズ『東雁来』関連記事

◇ シリーズ『東雁来』① 札幌市が分譲する『ウェルピアひかりの』ってどうなの?
◇ シリーズ『東雁来』② 『ウェルピアひかりの』ではどのような販促がされていたか
◇ シリーズ『東雁来』③ 東雁来『ウェルピアひかりの』の仮換地を売りたい人はどうすればいいの?
◇ シリーズ『東雁来』④ 東雁来の歴史 ~明治から戦前まで~
◇ シリーズ『東雁来』⑤ 東雁来の歴史 ~戦後から平成まで~