旧・調12 真駒内南アートの丘地区


当記事はこの度書き下ろしたものですが、写真は2014年の取材当時のものです。

今回紹介するのは決定番号:95『真駒内南アートの丘地区』です。
市街化区域に編入される前は決定番号:調12『真駒内南アートの丘地区』だった地区です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

住所としては真駒内の番地地区でイメージとして常盤や芸術の森と言った方が市民の方には分かりやすいかもしれません。
ちなみに山を越えて北側には調5『真駒内駒岡団地』が所在しています。

北側からの入り口部分です。

北東側、北側の入口から見て左手側には雨水貯留池があります。

この地区は『真駒内アートパークタウン』という名前で分譲されていました。

ですが、雨水貯留池の名前は『真駒内エー・ビレッジ雨水貯留池』。
・・・なんか、混ざってませんか?(; ・`д・´)

調19『札幌アートヴィレッジ地区直線距離で2kmも離れています。

・・・排水の流路も違いますから、おそらくは単純ミスなのでしょう。

平成14年7月15日に都市計画法に基づく開発許可を得て造成され、
平成15年3月3日に地区計画決定がされました。
比較的新しい造成地で、建物もオシャレなものが多いように思います。
私も新興造成地を色々と見て歩いていますが、道が広いことも併せて個人的に結構好きな部類の街並みです。

さて、普段はここで終わるところですが、少し気になる事があったので航空写真を見てみましょう。
以下は2007年以降撮影の、国土地理院としては最新の航空写真です。
まだ住宅の建築はまばらですね。

同じ位置の昭和60前後の航空写真がこちら。Σ(゚Д゚;え・・・何これ・・・
採石場のような構造物が見えますが、年代的に見て明らかに団地の造成工事ではありません。

この辺りは駒岡清掃工場もある郊外地ですから、土木系の用途で使われていたのでしょうか。
ちょっと昔の住宅地図を調べてみましょう。

こちらが昭和60年=1985年のゼンリン地図です。
丸見産業火山灰採取場』という記載があります。
名古屋に丸“美”産業という会社が現存しますが、同一か否かは分かりません。
兎も角、航空写真の施設は火山灰の採取場だったという訳です。

火山灰の採取場であれば土壌汚染の心配は薄いかと思いますが、
一方で地盤を切り取ったり、上に土を乗せたりといった行為は、
盛土』『切土』・・・まとめて『盛切』と言い、
液状化現象不等沈下の原因になりがちです。

札幌市地図情報サービスのハザードマップを見てみましょう。

少なくとも札幌市のハザードマップでは、震度・建物倒壊・液状化等の評価は悪くないどころか、むしろかなり良好な評価のようです。
ハザードマップの評価がすべてとは限りませんし、心情的な部分もありますから、当社ではその土地の利用履歴については可能な限り調査して告知しています。

不動産の売買は一般の方にとっては非常に難解で、リスクの大きなものです。
我々不動産のプロフェッショナルであっても、完全にリスクを取り去ることは出来ません。
調べて、調べて、調べて、調べて、それでも足りないのが不動産なのです。

・・・さて、最後にお決まりの地区計画概要でも見てゆきましょうか。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図

決定: 平成15年3月3日 変更:平成16年4月6日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

旧・調9 北星置地区


当記事はこの度書き下ろしたものですが、写真は2014年の取材当時のものです。

今回紹介するのは決定番号:113『北星置地区』です。

実はこの地区、以前紹介した決定番号:調9『手稲山口地区の一部が分離して市街化区域となった地区なのです。

1つの地区計画が2つに分離される、という特殊な取扱いが執られるに至った経緯についても、紹介してゆきましょう。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。
前述の通り、元々は手稲山口地区の西側だったものが分離されて市街化区域に編入されたものです。

経緯については第55回の都市計画審議会の議事録から抜粋しましょう。
 第55回札幌市都市計画審議会議事録
 http://www.city.sapporo.jp/keikaku/info/tokeishin/documents/gijiroku55.pdf

平成12年大規模開発制度により開発許可を受ける。

平成12年12月8日、南側の商業施設群『パストラル星置』開業。

平成13年、開発業者である岩倉土地開発民事再生法の適用を受ける。
 これにより、手稲山口地区の造成がストップする。

平成16年、開発が再開される。

ホーム企画センターが北側の住宅地を『アンジェリアの街』として造成分譲。

平成22年4月6日市街化区域に編入され、同時に地区計画『北星置地区』が設定される。

・・・と、まぁ随分と波乱万丈な経緯を辿ってきた地区です。

商業施設『パストラル星置』は株式会社ラルズが土地を所有し、中核となって運営しているとの事です。

・スーパーアークス星置店(平成25年まではビッグハウス星置店)

・lala hair/海の風歯科/西松屋パストラル星置店

・カインズホームFC星置店(平成25年まではビバホーム)
・ファッションセンターしまむら星置店
・ゲオ札幌星置店 

・メガネのプリンス星置店/エンパイアークリーニング星置店

・アベイル星置店/シャンブル星置店

・ダイソー 手稲山口ショッピングタウン店/ツルハドラッグ手稲星置店
・ラーメンさんぱち星置店/auショップ星置店
北側の『アンジェリアの街』は小さな住宅街という風で、三角屋根の建物が多いように見受けられます。

この地域は穴抜き市街化調整区域としての『建物が建てられる市街化調整区域』だったものですね。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図
(この地区では解説書は公開されていません。)


決定:平成 22年4月6日の地区計画資料を基に記述しています。

今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

旧・調13 新琴似南地区

当記事は2014年6月24日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:96『新琴似南地区』です。
市街化区域に編入される前決定番号:調13『新琴似南地区』でした。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

こちらも先日紹介した『新川新琴似地区』と同様の経緯を辿っていますが、
動きには若干の相違がありますから、やはり時系列順に経緯を追ってゆきましょう。
何故かは分かりませんが、新川新琴似地区と比較すると、資料に詳細が記述されていません。

・昭和45年の都市計画法施行に伴う『線引き』で、市街化区域に指定される。

・昭和60年、土地所有者からの営農継続の意向により、市街化調整区域に編入された。
 この際残されていた用途地域は、『新川新琴似地区』と異なり、
 一旦『廃止』となるのではなく、現在の用途地域への『変更』を行うという手続きが取られています。

・何らかの事情で所有者から札幌市へ宅地開発の意向が示された。
 (新川新琴似地区では所有者が相続で変更になったと記述がありますが、こちらには一切説明はありません。)

平成15年5月15日、札幌市より開発行為の許可がされ、同年7月17日及び9月4日に一部完了した。

・平成15年9月3日、市街化調整区域内の地区計画として『新琴似南地区』が決定される。

・平成16年4月6日の第5回線引き見直しで市街化区域に編入された。

…と、随分アッサリとした書き味ですが、それだけスムーズに開発が進んでいったという事です。
開発許可から1年を待たずに市街化区域になったのですから、
(かなり複雑な事情があるとはいえ)開発許可が出て約15年経っても調整区域のままの『手稲山口地区』西側と比べると、
やはり、かなりのスピード感で開発行為が進んでいったというのが実際の所のようです。

都市計画の『線引き』見直しは数年に一度ですから、タイミングの問題はあるとしても、平成15年のワンシーズンで開発行為が許可からほぼ完了までいくというのは、もちろん周辺事情や造成面積、予算などの兼ね合いもありますが、凄まじい事ではあります。

さて、現地については写真を見ながら紹介してゆきましょう。

市道『新琴似2条通』に面し、新琴似地区センターとコープさっぽろ新琴似店に挟まれた範囲です。
沿道には以下の中規模の店舗が立ち並び、その北側・裏手が住宅街となっています。

 ・サッポロドラッグストアー


 ・回転寿司まつりや


 ・新琴似温泉壱乃湯


 ・シュープラザ新琴似一番通店


 ・名古屋名物赤から

サッポロドラッグストアーの他は飲食店・銭湯・靴屋と、かなり異色の構成です。
これまで紹介してきたように市街化調整区域の地区計画による開発の場合の商業用地の構成は、
アークスグループ等のスーパーや西松屋、ドラッグストア、衣料品店というのがパターンですが、
元々コープさっぽろ(市民生協)があるためか、スーパーの新規出店はありません。
それにしても小売店舗よりも銭湯と飲食店というのはちょっと毛色が違うように見えてしまいます。

裏手の住宅街については、ここ10年の造成という事もあり、やはり新しい住居が立ち並んでいます。
住民の年齢層もまだまだ若いですから、中古物件として売りに出される事も少ない地区です。
JR駅『新川』『新琴似』ともに徒歩30分程度かかってしまいますが、自動車で移動する分にはそこそこ便利ですし、地下駅方面へのバスも複数系統出ています。
周辺は市街地に囲まれていますから、周辺の動向によって地価も変動してゆく可能性があります。
まぁ、これはどんな土地についても言える事ですが、そこだけが良くてもダメ、という事ですね。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、本市の都心部より北西へ約6kmに位置し、北東側は都市計画公園「新琴似二番通公園」、
 南西側は都市計画道路「新琴似2条通」に接する地区であり、現在、民間の宅地開発事業が進められている。
 そこで、本計画では、当該宅地開発事業の事業効果の維持・増進を図り、
 事業後に予想される建築物の用途の混在や敷地の細分化などによる居住環境の悪化を未然に防止し、
 緑豊かでうるおいのある良好な住宅市街地の形成を図ることを目標とする。

実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

(市街化区域内の地区計画に『解説書』は添付されません。)

決定:平成15年9月3日 変更:平成16年8月19日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

旧・調10 新川新琴似地区


当記事は2014年06月17日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:94『新川新琴似地区』です。
ちなみに、市街化区域に編入される前決定番号:調10『新川新琴似地区』だった地区です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

『札幌市都市計画審議会』の議事録で取り上げられている経緯をまとめました。

・昭和45年、都市計画法の施行に係る『線引き』市街化区域に指定されました。

・昭和60年、第2回『線引き』見直しの際、土地所有者から札幌市へ、営農を継続する旨の強い申し出があり、そのため、市街化調整区域への編入=『逆線引き』が行われました。
 通常、『逆線引き』の際には用途地域の指定も同時に解除されるのですが、畜舎など、市街化調整区域に建築出来る建物が、市街化区域の住宅などへ悪影響を及ぼさないよう、用途地域の指定が残されたままの市街化調整区域という特例的な取り扱いになっていました。
 (昭和57年建設省の通達によって、この『用途地域が指定された市街化調整区域』が実現したようです。)

・その後、この土地で農家を営んでいた方がお亡くなりになった後、
 相続をした方から札幌市へ、農家を辞めて開発行為を行う旨の意思表示があったようです。
 それを受けて札幌市では平成13年7月12日の第7回札幌市都市計画審議会で、まずは残っていた用途地域の指定を外し、純粋な市街化調整区域としました。

 第6回・第7回の都市計画審議会では、この用途地域の解除について、北区選出、社会党の伊与部 敏雄市議会議員(選挙通称・伊与部年男氏)かなり食ってかかっています。
 地主さんの個人情報に関する事情まで挙げて批判をしたようで、
 個人情報に関する部分については議事録から削除されています。
 どんな内容の発言をしているか、興味がある方は、議事録を参照してみて下さい。
  → 第6回議事録 ・ 第7回議事録

 北区の案件という事で、何か個人的禍根でもあったのか、勘ぐってしまうレベルです。
 ちなみに伊与部 敏雄氏はこの記事の初出当時、民主党の市議会議員として平成23年から9期目を務めていました。
 ※ 2016年2月2日付で伊与部 敏雄氏の訃報が出ています。

 あんまりウダウダ五月蠅いものですから、審議会の座長・辻井 達一氏(当時・北星大学教授)から
 『できるだけ簡潔にお願いしたいのです。この場は都市計画審議会で,市議会ではございません。』
 などと言われてしまっていて、失笑してしまいました。
 議会や審議会などの議事録に目を通す機会も多いのですが、文字に起こすとある種異常な議事は多いものです。
 (とはいえ、当の辻井氏も故人ではありますが、色々と評価の分かれる人物のようです。)

・その後、平成13年10月25日に開発行為の許可を受け、
 平成14年7月24日に開発行為が完了しています。
 (こういった大規模開発制度の活用は手稲山口地区に次ぎ、二番目の事例だったとのことです。)

・平成14年3月19日に市街化調整区域内の地区計画が定められました。
 これは、現在の地区計画とほぼ同じ内容での決定です。

・平成16年4月6日の第5回線引き見直し市街化区域に編入されました。

現地は札幌市立新川高等学校の北側、市道『西野屯田通』『新琴似2条通』の交差部分です。

『西野屯田通』に面してビッグハウス新川店ガストガソリンスタンドチロリン村などがあります。

『新琴似2条通』側は西松屋新川店のほか、中・小規模な外科、皮膚科、美容院、学習塾などが立ち並んでいます。

住宅部分は、流石にこの10年ちょっとで分譲された造成地ですから、新しい家が並んでいますね。
売れ残りが目立っているという事もなく、密度のある住宅街が形成されています。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、本市の都心部より北西へ約6kmに位置し、北東側は都市計画公園「新琴似二番通公園」、
 南西側は都市計画道路「新琴似2条通」に接する地区であり、現在、民間の宅地開発事業が進められている。
 そこで、本計画では、当該宅地開発事業の事業効果の維持・増進を図り、
 事業後に予想される建築物の用途の混在や敷地の細分化などによる居住環境の悪化を未然に防止し、
 緑豊かでうるおいのある良好な住宅市街地の形成を図ることを目標とする。

実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

(市街化区域内の地区計画に『解説書』は添付されません。)

決定:平成14年3月19日 変更:平成16年4月6日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

平成30年6月29日『札幌市地図情報サービス』の運用が開始されました

従来、札幌市の不動産調査において重要な位置を占めていたシステム、『札幌市都市計画情報サービス』では、都市計画や道路の情報をダウンロードすることが出来ました。

これがこの度、6月29日から『札幌市地図情報サービス』としてリニューアルされました。

札幌市地図情報提供サービス
 http://www.city.sapporo.jp/johoo/it/web_gis/web_gis.html

大きな特徴として従来の都市計画情報サービスで提供していた情報に加え、
ハザードマップの情報が統合された、という事があります。

従来、ハザードマップは各項目ごとにPDFが用意されており、
かなり広いエリアごとの区分けで非常に見づらかったのですが、
これが改善されたという事になりますね。

さて、許諾事項や同意画面を抜けると、このような選択画面となります。

表示するテーマ=レイヤを表示されている中から選択します。
道路区分や都市計画、ハザードマップなどですね。


選択したテーマで、地図が表示されます。
テーマを変更したい場合には左上の『テーマ変更』を選択します。


地図の上半分の画面を占める説明文ですが、どうやら消せないようです。
もしかしたら消す方法もあるのかもしれませんが、
使い方』や『ヘルプ』をざっと読んだ範囲では見当たりませんでした。

というか、ヘルプのリンク(左側)のジャンプ先が滅茶苦茶で驚きます。

『用途地域』や『ハザードマップ』などのテーマを選択時に、
地図をクリックすることで『都市計画図』や『防災情報』をPDF形式でダウンロードすることが出来ます。


このPDFファイルには自動印刷リンクが仕込まれており、
開くたびに印刷ウィンドウをキャンセルしなければならないというクソ仕様です。
→公開から数日でこの仕様は修正されました。

・・・と、まぁいつも通り腐して来ましたが、
ハザードマップが統合され『防災情報』がまとまったのは便利ですが、
実際のところ、慣れるまでに結構な時間を要しそうです。

また、このシステム、Android環境では重すぎる上に上半分の説明文が邪魔で非常に利用しづらく、出先でのスマートフォンによる調査が出来なくなってしまいました。
→公開から数日でこの仕様は修正されましたが、まだ許諾関係が鬱陶しいですね。

今回のシステムには国際航業株式会社が提供する統合型GISアプリケーション『SonicWeb-ASP』を利用しているようです。
私はこのアプリケーションを札幌市地図情報サービスを通してしか知りませんが、汎用のソフトという事でカスタマイズについても融通が利かないのかな、という印象ですね。

実は旧:都市計画情報サービスもまだインターネット上にシステムが生きているのですが、表玄関からは入れなくなっていますし、大きなトラブルがなければいずれ削除されてしまうのでしょう。

そういえば『札幌市下水道台帳情報提供サービス』の情報が見当たらないな、
などと思っていたのですが、こちらは現段階で統合されていないようです。

札幌市下水道台帳情報提供サービス
 http://www.jamgis.jp/jam_sapporostp/html/index.jsp

もう少し使い方を調べた上で、面白い使い方があれば紹介をしますし、過去の記事についても書き換えを行ってゆければと考えています。