・・・というタイトルで、以前は独立したブログを運営し、
札幌の中古マンション流通事情を紹介していたのですが、
多忙につきサイト管理が困難になり、統合する事としました。
他のコンテンツと同様に、記事の再録を進めてゆきます。
さて、最初の記事は売主側と買主側の双方に共通する事項を紹介してゆきます。
何を紹介するかと言えば『中古マンション売買における不動産業者の立場』についてです。
中古マンションを取り扱う時、不動産業者はどのような立場で行ない、
どのような責任を負うのか、という事です。
中古マンションの取引で登場する不動産業者の立場は大きく分けて下記の3つがあります。
① 売主
② 買主
③ 仲介
①の売主とは、不動産業者が一般の方から買い取ったり、
競売で落札した物件を、一般顧客に向けて転売する立場です。
不動産業者が売主となる場合、消費者保護の為に、法律によって取引条件に厳しい制限が課されます。
一般人同士の取引よりも物件の保証内容が厳しかったり、手付金の扱いに制限が加えられます。(詳細は別途解説)
一方で、いくらで仕入れていくらで売るかは業者の自由であり、法的な制限はありません。
③の仲介では業者の利益が法律で制限されていますから、ざっくりと言ってしまえば、
業者にとっては『売主』になる事はハイリスク・ハイリターンな商売、と言えます。
②の買主とは、文字通り一般の方や不動産業者から、購入する立場です。
業者がマンションの買主となった場合、通常は①のように転売をして利益を得る事が目的です。
例外的に、そのマンションを賃貸して利益を得る、という場合もありますが、
前述の通り、不動産転売は大きな利益を生む取引形態ですから、あくまでも例外的な取扱いとなります。
こちらの形態では法律的な制限は課せられていないものの、
業者が買主となった時は、売主に対して、不具合などのクレームがほぼ認められません。
つまり、難がある物件であっても、プロである業者が購入した以上、
それは業者の自己責任であって、プロではない売主に責任は追及出来ないのです。
一般の方にとっては、中古マンションの売却相手が業者であれば、
後々の面倒がないというのが業者が買主となる場合の大きなメリットです。
③の仲介、というのが現在のところもっともポピュラーな業者の立場です。
売主と買主の間に立ち、双方の調整を行なって取引をスムースに進める役割です。
契約書の作成や、取引対象となるマンションについて調査を行なうのが主業務です。
契約の当事者ではありませんから、業者は取引自体についての責任は原則負いません。
ただし、物件に関する調査内容や書面、契約内容が誤っていた場合には、
『調査義務違反』として、業者の責任を問われることになります。
その場合であっても業者が売主である場合よりは、若干責任が軽いと言えます。
また、一方で業者の利益…いわゆる『仲介手数料』については、法律で制限されています。
この制限を上回る仲介手数料を得た場合には超過報酬と言い、行政処分を受けますから、
業者の裁量で利益を決定出来る売主の立場より、仲介の立場の方が、儲かりません。
このような事情から、仲介という立場は不動産業者にとって、
相対的にはローリスク・ローリターンであると言えるでしょう。
仲介というのはあくまで間に立つだけであって、取引の当事者となる訳ではありません。
だからこそ買取の場合と比べて安価な手数料で業務を遂行してゆく、という側面もあります。
私は通常、中古マンションの売却の相談を受けた場合には、
最終的な手取りが多くなる『仲介』の方式をお薦めしていますが、
業者がしっかりとした知識と責任感を持って仕事をしない場合には、
買取の場合と比較して、売主としての責任を問われるリスクが高くなってしまいます。
不動産業者が仲介として取引に関与するからといって、
すべての責任を負ってくれる訳ではないという事は肝に銘じておくようにしましょう。
また、だからこそ仲介はきちんとした業者に依頼しなければリスクが高い、という事なのです。
当記事は2015年7月6日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。