『夕張市石炭博物館』の問題点と改善に関する提言

さて、前回『夕張市石炭博物館』についてレビューしましたが、
総評としてはまだまだ課題が多い博物館であると締めくくりました。

夕張を応援する、というのは社会正義であって、私も応援しています。

財政が厳しい夕張市と今年から指定管理者となったばかりのNPOが、ようやくリニューアルオープンを達成した石炭博物館について、外部の人間がしたり顔でああだこうだと文句を付ける、というのは、いかにも『弱い者いじめ』的で憚られる、という心情もありす。

とはいっても、前回指摘した通り、現状のままで運営を続けても、
結局のところジリ貧になっていくのでは?という気がしますし、
まー、郷土史マニアや鉄道マニアなどの人々もSNSなどで、
既に意見を表明していますから、場末のブログがあれこれ言っても、
大した問題にはならないでしょう、という事であれこれ言って行きます。

問題点① 施設への導線が悪すぎる

駐車場の件は既に2度に渡って指摘をして来ましたが、
これってかなり問題が大きいと思うんですよね。

①の公道からの入口には幟が立っていますが、そこから先には幟はなく、③まで何の案内も(少なくとも私が見た範囲では)見当たらなかったので、②の駐車場に駐車するべきであろう、という判断をする方が多いはずです。
②の駐車場に車を停めて、③の看板を見て、車に戻って・・・
・・・というのは、あまりに手間が掛かるし、イラッと来るものです。

③の看板の位置や大きさにも大いに不満があります。
運営側や市民の方は既に④の位置が駐車場だと分かっているのでしょうが、初見の観光客には、駐車場の位置が非常に分かりづらい。
運営側に『第三者目線』が欠如していると言わざるを得ません。

これは②の位置ですが、連休中にこんなガラガラの駐車場を見れば、
知らずに帰ってしまう観光客だっていると思うんですよね。

①の地点の写真を見てみましょう。


今風で雰囲気重視のオシャレな看板は新設されたもののようですが、
オシャレさよりも、分かりやすい表示が必要なのではないでしょうか?

せめて①~②の位置に、④の位置を示すような表示をして欲しいと思います。
或いは、②の位置にある看板に『一般車両はゲートの奥に駐車場がある』と大きく記載をして欲しい、というのは私の独善はないと考えます。
折角の新しい看板の見栄えは悪くなるかもしれませんが、
A4用紙で①の看板にその旨の掲示するなどした方がよいでしょう。

指定管理者の公式サイトの駐車場位置図も非常に分かりづらい事からも、運営側としては来場者が現在の駐車場の位置を知っているのが前提になってしまっているようです。

更に、2階のパネル展示の導線も、なかなかに独創的です。

この写真パネルの裏に、文字で詳細が記されたパネルが並んでいる訳ですが、これが両面にあるので順番に見ようとすると、パネルの周りを何度も行き来する事になります。
正確な記憶ではありませんが、図に示すとこんな感じでしょうか。


で、極め付けは図で上方にある前回紹介した人口と採掘量の折れ線グラフです。

どのタイミングで見ればいいやら・・・一通り見た後引き返すのでしょうか。

どういう導線を想定しているのか、正直まったくわかりません。

ドイツの博物館を参考にした、という言葉を指定管理者のブログで目にしましたが、ドイツには導線という概念がないのでしょうか。

何かこの配置に合理的な意味があるのであれば、教えて貰いたいと思います。

問題点⓶ 展示が文章主体なのに内容が分かりづらい

旧来多くあった展示物を整理・スリム化して、空間演出をした、との事です。
マニアの方からは『展示品が少なくなって寂しい』という声も聞かれますが、
私はこれはこれでいいのではないか、と思います。

物を多くしろ、とは言いませんが、この展示はちょっと直感的ではないな、というのが私の感想。
ハッキリ言ってしまうと、文章が冗長で理解しづらい。

『大きな色付きの文字を拾い読むと概要が分かる』との事ですが、
まぁ、個人個人の感じ方はあるでしょうが、私にはそうは思えません。

まるで90年代のテキストサイトのノリじゃないですか。
(まぁ、私もそのノリを未だに引きずっている訳ですが。)

文字が小さく反転色で老人には読みづらく、漢字が多くて子供にも読みづらい。
学生時代国語の成績が非常に良かったおじさんである私にも、正直読みづらい。

では、具体的にどうすればいいのか、という処ですが、
私の理想とするところの博物館展示は『江戸東京博物館』です。

あれは首都東京の集客力でベラボーに潤沢な予算で運営していますから、学芸員も一流でパネルや模型の一つ一つが超豪華で、地方の一郷土資料館が容易に模倣できるレベルではないのですが、一つ一つの展示の『重さ』というか、ストレスを計算した分量で構成されていますから、見ていて疲れないのです。

高望みかもしれませんが『理解してもらう努力』をして欲しいと思います。

そういう意味では、この先の鉱山体験の蝋人形展示や模擬坑道は非常に直感的で、誰にでも理解がしやすい展示であると言うことが出来るでしょう。


まぁ、これも当時ベラボーな予算を掛けて製作されたものですから、
やはり予算がないと良質な展示を作るのは難しい、という事なのでしょうか・・・

個人的には熱意と技量があればどうにかなるのでは、と思うのですが・・・

問題点③ 運営団体のサイトが貧弱である

指定管理者である『特定非営利活動法人 炭鉱の記憶推進事業団』が運営する『夕張市石炭博物館』のサイトが非常に貧弱である、というのも問題です。

指定管理者になったのが4月1日からですから已むをえない部分もありますが、私の環境ではGoogleやBingで『夕張市石炭博物館』で検索をすると、以前指定管理者だった『夕張リゾート』のサイトが一番上に来て、次に夕張市の公式サイトが表示され、それより下の順位で表示されます。
(検索順位は検索環境や時期によって変動します。)

検索順位はそのうち上がっていくのでしょうが、サイト作りの問題もあります。
まず、先に指摘した通り『アクセス』の駐車場位置図が非常に分りづらい。

初見の人間に理解出来るんでしょうか。私には理解出来ませんでした。

次に、以下のリンクから実際にサイトの博物館概要を開いてみて下さい。
 夕張市石炭博物館|営業日・料金
  https://coal-yubari.jp/info/

上部にコンテンツがカテゴリごとに並んでいますね。
コンテンツをクリックしてみましょう・・・無反応ですよね?

実は、石炭博物館の写真の下でコンテンツは切り替わっているのですが、初期画面がこんな感じでクリックをしても反応がないので、画面が切り替わったのか否か、非常に分りづらいのです。

スマートフォンで閲覧すると、この問題は更に顕著です。

コンテンツ一覧以外に何も表示されない!

まぁ、SEOの問題やスマートフォンでの見やすさについては、このブログも偉そうに他人の不手際を指摘出来る立場でもないのですが、公的な施設が集客をしようというのにこれでは、問題があるでしょう。

これは予算の問題ではなく、単なる『第三者目線の欠如』です。

問題点④ こだわりが感じられない

これは高望みかもしれませんが、石炭博物館は『好きな人が作っていない』という気がしてなりません。
これまで述べて来た現地へのアクセス案内、展示内容、公式サイト・・・
様々な問題点の原因というのは、予算や準備期間の問題ではなく、
『好きな人が作っていない』からであると言うほかありません。

それは、博物館が好き、だとか郷土史が好き、という以前の問題として、『石炭博物館が好き』とか『夕張が好き』という意識が感じられないのです。

この記事で指摘したような問題点は少し考えれば分かる事ばかりでしょう。
他人から見たらどう見えるだろうか?という事を常に意識し、作成したサイトの動作チェックを第三者にしてもらう、それだけでこんな問題は起こらないはずです。

少なからず、貴重な夕張の税金が掛かっているのでしょうから、
もし本当に夕張を良くするという使命感があるのであれば、
この程度の事は、即座に改善をしなければならないでしょう。

また、これも高望みなのですが、巨大な作業機械が実際に動く展示があります。

このすぐ正面、地下1000mというストーリーなのに窓があるというのが、私にはとても気になるのです。

高圧電力で巨大な機械を動かす都合、もしかしたら消防法の兼ね合いなどで窓を設置しなければならないのかもしれませんが、それにしたって目隠しをするなどの方法でストーリーを守る気遣いをしてくれてもいいのではないでしょうか。

エレベータ内でわざわざ映像とナレーションを流して作ったストーリー、
現代では全館禁煙が当たり前なのに、敢えて置いてある『火気厳禁』の看板。

そういったストーリーを大切にして、積み重ねてゆくことで、良い展示が出来上がるのです。
作り手側が子供だましと侮って、そういった事に気が回らないようでは、何処まで行っても単なるハコモノで『バリバリ夕張』の二の舞、三の舞にしかなりません。

非営利活動法人だから、というのではなく意識を改革して、夕張のランドマークたる石炭博物館をしっかりと守って行って欲しいと思います。

まだざっとしか読めていませんが、検索に引っかかって来た内容で、東海大学の『博物館資料論』というテキストが、博物館展示を作る上での心構えや導線の事がまとまっていて、運営側には是非これを参考にして欲しいな、などと思ってしまいました。
 東海大学海洋学部 博物館資料論テキスト
  http://www.dino.or.jp/s_muse/m_material06.html

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