B-4 地積測量図の見方


今回は『全部事項証明書』、『地図に準ずる図面』に続いて、第三の法務局資あ料『地積測量図』を見てゆきます。

用語解説でも紹介していますが、『地積測量図』は『全部事項証明書』に記載される面積の根拠となる図面です。

つまり、地積測量図は土地がその形・その大きさになった際に作成されます。
多くの場合、『分筆』または『合筆』を行った場合に作成されたものが殆どです。
『分筆』というのは一つの土地を複数に切り分ける作業(法的行為)です。
『合筆』というのは、複数の土地を一つの土地に統合する作業(法的行為)です。
登記された不動産の単位『筆』と言い、それを分けたり・合わせたりするから『分筆』『合筆』と言うのです。
他にも、登記されている面積を変更する『地積更正登記』などで作成された地積測量図もあります。

地積測量図については最新のものが取得出来るほか、過去の変遷を追ってゆくことも可能です。

今回も例に出すのは大通り北側・市役所前面の道路『中央区大通西2丁目10番1』の最新の地積測量図です。


画像をクリックするを大きなサイズでご覧いただけます。
さて、まずは画像右下にある法務局の受付印を見ましょう。

『札幌法務局 処理 37.3.12 第   号』と書かれています。
昭和37年3月12日に分筆の受付をしましたよ、という意味です。
『第  号』という部分については、本来は受付番号が記入されるのですが、
記入漏れなのか、当時の札幌市の処理で記入不要なのか、ちょっとわかりません。
1つの土地について複数の地積測量図がある場合には、この日付と受付番号が一番新しいものが有効な図面です。
平成の世になっても、昭和37年のものが最新の図面だというのですから、すごい話ですね。

このように、まずは日付を確認するようにしましょう。

次に、図面上には地積測量図には申請した人(申請人)、測量し図面を作成した人(作成者)が書かれています。
右下に記載の申請者は札幌オリンピックを誘致した札幌市の『原田 与作』市長です。
左下に記載の作成者は『札幌市技師 ○○○○』と書かれています。(公人でない為、指名は削除しています。)
過去の地積測量図には技師とか測量士といった肩書で作成者が記載されていることがあります。
現在は法改正によって、土地家屋調査士だけが、登記に使う図面を作成出来ることになっています。
この図面を作成した人、登記を申請した人を見ることで、どのような権利関係にあったのか、類推することが出来ます。

ここから図面の内容に移ります。
右下の市長の名前の下に『尺貫法による表示』とある通り、昭和41年までの図面はm単位で記載されていない事が多いです。
有名な話ですが、昭和26年に施行された計量法によってメートル法の使用が義務付けられたものの一向に普及せず、昭和41年以降、かなり強権的に移行させた経緯があります。
詳細な換算法については『尺貫法』で検索して下さい。

この土地は『B-2 全部事項証明書(謄本)の見方』で調べたように、
『昭和37年3月12日に10番という土地を10番1、10番2、10番3の3つに分けたよ』という土地で、今回紹介した地積測量図は、まさに昭和37年に分筆した際の記録なのです。
長方形だった『10番』の土地が『据置地 10-1』『10-2』『10-3』に分けられています。
それぞれの辺の長さが記載され、下の部分で面積が計算されています。
計算式はだいたい小学生レベルの加減乗除で『10-2』3畝10歩『10-3』4畝19歩となっています。
そして『据置地 10-1』は元の『10番』の面積から『10-2』『10-3』の面積を差し引いて
4反4畝という面積で計算されています。
1反≒300坪≒991.74㎡、1畝はその1/10ですから、現在登記簿に書かれている面積
『4363㎡』4.4畝×991.74㎡という換算式で計算されている事がわかります。

ここで一連の計算を見て分かると思うのですが現在の登記簿上の面積である4363㎡『4反4畝』の根拠となったのは『10番』の頃の面積からの差し引きで、昭和37年の段階で、『据置地 10-1』についての測量を行っていないのです。
これを『据置計算』といい、確かに作業は楽なのですが、誤差が大きくなってしまうので、現在では原則的に、分筆する前の土地『10番』と分筆後の土地それぞれを測量して面積を計算することになっています。

地積測量図は新しいものになるにつれ信頼性が増してゆきますが、古いものについては殆どアテにならないものと受け取って下さい。
登記全般に言える事ですが、地積測量図に書いてある内容が真実であると、公的に証明されている訳ではありません。

私は賭けてもいいのですが、この土地を現在測量すると、かなり大きな面積の誤差が発生します。
そのくらい、登記されている面積と実際の面積との相違は、不動産業者にとってはありきたりな事なのです。

その他の地積測量図では、いろいろなメモが記入されています。
『地図に記入済み』とか『住所変更』とか『○年○月○日 合筆済』とか…
更には作成した調査士のメモや法務局が後で付け足したイレギュラーな書き込みもあり、注意が必要です。

地積測量図については時代によって様式も代わり、特に古いものについてはかなり自由に作ってあるので、かなりの注意を持って利用するのがよいでしょう。

当記事は2013年09月03日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

 

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