E-8 市街化調整区域と『私道』

繰り返しになりますが、『市街化調整区域』とは際限ない開発を抑制する為に、その名の通り、市街化を調整する区域です。
市街化調整区域では、一部の例外を除き、原則的に建物を建築する事ができません。
『一部の例外』とは『E-4 市街化調整区域と『地区計画』』で紹介した地区計画が代表的です。

目的としては乱開発を防ぎ、自然環境を守るというお題目もありますが、道路整備や上下水道などのインフラや行政サービスを最小限に絞る、という目的もあります。
建物が密集しているのも問題ですが、あまりバラバラに建ってしまうと、さまざまな行政サービスの費用がベラボーにかかってしまいますから、自治体としては、ある程度まとまった区域に住んでいてもらった方が効率的なのです。

市街化調整区域は札幌のどの区にもあり、山奥や郊外の過疎地の地区が指定されています。
既に住宅街や商店街になっている地区は、一般に『市街化区域』に指定されます。
最初に書いた通り、『市街化調整区域』では、札幌市から建物建築の許可が下りません。
プレハブ小屋などが建築されている場合もありますが、それらの大半は建築基準法違反の建物です。
実質的に『建物が建てられない土地』ですから、市場価値はとても低くなります。

建物が建てられないとはいっても、取引が禁止されている訳ではありません。
不動産流通の世界では、建物を建てない前提の土地『資材置き場用地』とか『作業場用地』『家庭菜園用地』として売られています。
最近では『太陽光発電用地』なんていうのも、ちらほら出てきています。

そんな事情がある『市街化調整区域』、実は
公道がとっても少ないのです。

道路整備や上下水道配管を整備・維持する費用もばかになりませんから、通行の為の、昔からある最低限の公道だけが残り、新たに整備されることはまずありません。

とはいえ、そこに土地を所有する人は、自分の土地に行くための『道』が必要です。
ですから、『市街化調整区域』には『私道』がとても多いのです。
これらの『私道』は、一般的には民有地で、民間の個人や法人が所有するものです。
公道ではありませんから、当然、冬の除雪も自前、砂利やアスファルトでの道路整備も自前です。

そして、大原則では『私道』を通行するには、その私道の所有者の許可が必要です。

しかし、郊外の過疎地ですから、実際には誰彼構わず自動車で通行しているのが実情です。

法律上、建物が建築出来ない土地にプレハブ小屋が建っていたりと、『市街化調整区域』は、人の目が少ない事もあって、無法地帯になってしまっている面があります。

ただし、建物の建築も、私道の通行も、あくまでも慣習で咎められていないだけです。

市街化調整区域に建物を建築すると、札幌市から取り壊し命令を受ける事がありますし、私道についても、看板や柵などで通行禁止にされてしまう恐れがあります。

滅多にある事ではありませんが、可能性はゼロではありません。
『市街化調整区域』の土地建物を購入・売却・貸借しようとする場合には、リスクがあるという事を覚悟しておきましょう。
私は、実際に建築基準法違反の取壊し命令や通行禁止の事例を目にしています。
宅建業者は取引の際の『重要事項説明書』で、こういった事を説明する義務がありますが、

お客さんを安心させるためなのか、宅建業者の担当者が、
『実際、建物取壊し命令なんて絶対にありませんよ』だとか
『囲繞地通行権があるので、自動車で通行しても全然問題ありませんだとか、
書面の外で無責任な事を言う場合もままあるようです。

同業者として恥ずかしい限りですが『とりあえず成約させて、仲介手数料が貰えればそれでいい』という不動産業者は、とても多いのです。
特に営業成績だけを気にするような営業マンの場合には要注意ですね。

市街化調整区域に限った事ではありませんが私道については、その所有者の所在や、私道の範囲法的性質について慎重に調査・告知する必要があります。
無責任に大丈夫だと言うのではなく、法律に則ってどういう事になるのか、ということを誠実に説明する必要があります。
また、私道の所有者がどこの誰でいつどのように取得したのかによって、その私道の性質は大きく変わって来ます。
例えば、私道の所有者が明治から登記されていないのであれば、現代になって権利を主張してくる、という可能性は非常に低い一方で、私道の使用許可を得る必要があるような局面では、対応が難しくなります。

この辺りをきちんと調査・告知出来る不動産業者でなければ、特に難易度の高い市街化調整区域の土地の取引を任せるには値しないと言っていいでしょう。

不動産の取引は信頼できるプロからしっかりと説明を受け、進めていきましょう。

当記事は2013年11月10日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-7 市街化調整区域と『昭和の世界観』

『市街化調整区域』について定期的に紹介しているために、『市街化調整区域』の処分に困った皆様がよくご覧になっているこのブログですが、そもそも皆さんが『市街化調整区域』を何故持っているのかというと、大きくは下記のいずれかの理由によるものでしょう。

◇先代や先々代などの親族が過去に購入したものを相続した
◇法人が過去に事業として買ったものが残り続けている

だって、自分で買ったものなら覚悟か諦めがあるでしょうから。

E-6 市街化調整区域の土地を捨てたい!』で紹介したように、不動産の所有権を放棄するというのは実はとっても面倒な事だったりする訳で、そうすると『何でこんなものを買ったんだ!』という恨み節も出てくる訳です。

…と、言う訳で、過去の人々が市街化調整区域の購入に至った背景を紹介しましょう。
特に札幌市内において分散して保有されている市街化調整区域は、昭和30年代から昭和40年代にかけて分譲されたものが大半を占めます。

後になってみれば、いわゆる『原野商法』そのものなのですが、昭和50年代以降、バブルの頃の原野商法とはまた毛色が違い、単純に詐欺と断ずる事が出来ない側面もあります。

どんな風に分譲がなされたかと言うと、当時の広告媒体は新聞広告が主だったようです。
新聞や交通機関の吊広告を見て、分譲業者の営業マンに会うと、

と、こんな風な公図と地積測量図を見せられて、

『こン辺もそんうち道路が通って街ンなって値上がりすっべ』
とか何とか言っちゃって、財テク的に買ってしまったケースもありますし、
『今はサいるけど、老後は札幌サ引っ越すべ』
というように、市外にお住まいの方が老後の為に購入したというケースもあります。
この場合、現地を見たことがないケースも多々あったようです。

どちらにせよ、それらの分譲地は当時から原野だった訳で、市街化による値上がり期待があったことだけは間違いありません。

現に原野や田畑であった土地が市街化されて財産を築いた方も多くいる以上、正直、売り手に悪意があったのか否かは当人でなければ分かりませんし、当時の時代性を考えると、何が正しかったのかという事は、断言出来ません。

特に昭和30年代の取引については、都市計画法制定の以前ですから、分譲を行った側も騙そうという意識はあまりなかったのではないかと思います。

しかし、そういう場合であっても、位置指定道路は申請されている場合が多いので、位置指定道路の申請や整地を行なっておらず、ただ分筆だけして分譲したものについては、個人的には若干意図的にやったんじゃぁないかなーという感想もなくはありません。
勿論、平地ではなく山林や急斜面の土地を長方形に区画している場合には、時期がどうだろうが詐欺でしかないのですが。

また、札幌周辺では昭和43年施行の都市計画法に基づき、昭和45年には線引きが実施されていますから、その前後に取引がされたものについては、犯意のある『原野商法』か、購入者が安易に『市街化出来る』と思い込んでいたケースです。

ここで購入者の責任をとやかく言うつもりはないのですが、インターネットの登場までは地方と都市、プロとアマの情報格差は凄まじいものがありました。

都市計画法に関する周知の徹底にはかなりの時間がかかった背景がありますし、議員に言えば市街化区域に出来る』というような与太話は未だに耳にします。
ですから、ある程度の割合において、購入者の勘違いというケースもあるのではと思います。

さて、犯意ある『原野商法』によって、まったくの原野を購入した場合であっても実際に財テクが功を奏して、大きな財産となった例も、ないではありません。

手稲区の住宅地は、元々畑だったものを画像のように区割りして販売したものがあります。
清田区などは、元々畑でも、羊ヶ丘通りや国道36号線の関係で、そのような例があったらしいという例を耳にしたことがあります。

結局のところ、昭和の土地がらみの財テクは運による部分が強かったと言えるのかもしれません。

 ※ 画像は本文の内容とはあまり関係ありません。

当記事は2014年07月04日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-6 市街化調整区域の土地を捨てたい!

『市街化調整区域の土地を売りたい』をテーマにして一連の記事を書いてきましたが、やっぱり処分が難しい土地が多い訳です。

まー、だからこそ敢えて分類していこうという趣旨な訳ですが、どうしても、どうにもならない場合には『土地を捨てる』という選択肢が頭に浮かぶはずです。
管理費、修繕積立金がかかる分譲マンションについても同様ですね。
老朽化した分譲マンションやバブルの頃建築されたリゾートマンションが安値で売りに出ている、なんて話題も多く聞きます。

自分自身が買ったものであればまだ諦めが付きますが、親族が昔勝手に買ったものの後始末をする、というのは心情的に大きな負担となります。
売りに出そうにも難しい・・・不動産を捨てるにはどうすればいいんでしょうか?

・・・あ、相続登記しなければいいんだ。

・・・という事にはなりません。
不動産登記法における登記義務と民法における相続発生による所有権移転は、
別問題ですから、相続登記をしなくとも、民法上の所有権は移転してしまいます。

民法第167条2項で『債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。』と定める通り、所有権には消滅時効がない訳で、どんなに放っておいても、どんなに手続きや納税をしなくとも、所有権はなくなりません。
(他人に時効取得された場合や他者に差し押さえ後、競売された場合は、所有権が移転します。
また、債権は民法167条で10年の消滅時効が定められています。)

また、民法239条2項では『所有者のない不動産は国庫に帰属する』とされていますが、国は寄附や放棄に応じてくれず、所有権移転登記を受けてくれませんから、自分が『放棄した』と意思表示をしたとしても、まったくの無意味なのです。

とはいえ、固定資産の課税や自治体からの各種通知は、通常、登記された内容に従って郵送で送達されますし、あくまで聞いた話ですが、市役所のレベルではそれ以上に所有者を調べはしないようです。
(恐らく、同じ自治体に居住している等で住民票等から相続人の所在が明らかな場合は対応も違うでしょうが…)

あとは例えば父Aと母B、子Cがいて、複数の財産があるような場合、父Aが所有する土地を一旦母Bが相続して、母Bが亡くなった際に相続放棄してしまう、という手法もそこそこ有名です。
その場合、その土地は最終的には国有地になりますが、相続人全員が相続放棄をするのって、結構手続きが面倒臭いんですよね。
何より、他の財産がある場合には、『相続放棄』は使えません。
わざわざそこまでして捨てる必要があるのかというと、疑問です。

一番合法的かつ合理的な方法として『欲しい人に捨て値で売る』というのもあります。
近隣で土地を使用しているような方に売り払ってしまう。
ただし、安易に贈与してはいけません。
大抵の場合、所有権移転を登記する為に、費用が発生するからです。
また、贈与の場合には、受け取る人に贈与税も掛かってしまいます。

その土地の所有者として登記されている内容が、現在の自分の氏名住所であれば問題ありませんが、もし異なる場合には『相続登記』『住所変更登記』が必要です。
自分自身で必要書類を集めて申請するのであれば実費は数千円ですが、プロである司法書士に依頼すると数万円の費用が必要になります。
まぁ、それも廃物処分費用と捉えて、タダであげてしまうというのもアリです。

買取り出来る物件は限られていますが、『捨て値でも良い』と割り切っていただけるのであれば、当方でもこちらの問い合わせフォームから具体的に地番を記載の上、ご連絡頂ければ対応致します。
ご自身で『相続登記』や『住所変更登記』を行なうコツなどをお知らせして、支出を最小限にするお手伝いをしています。

『捨て値で売る』・・・これが一番平和裏な方法なのですが、そこまでして手放したい土地というのは、はたして欲しいという人がいるのか、という問題も出てきてしまいますよね。

中学校の歴史の授業でも習う通り、フランス革命以後、『私有財産の保護』つまり『財産権の保障』は市民の権利として重要な位置を占めますが、日本では特に明治以後、さらに戦後GHQの政策により土地の所有権は強く保護されており、分化し過ぎた土地の権利は、ある意味『田分け』的状況に陥っていて、整理する事が不可能なところまでいってしまいました。

イギリスをはじめとした各国では、土地はあくまで国家のもので、各所有者はその利用権を一時的に借りているという考え方のようですが、今更、日本でその考え方に沿った改革を行うことは困難でしょう。
永久的所有権から限定的利用権に切り替えようという学者さんは多いですが、民主主義をとる限り、これを改めるというのは現実的ではないように思います。

遠くない未来、戦争や大恐慌があれば国家による強制収用なんてことになるかもしれませんね。
或いは国家という体制が破綻した場合には、そんなことになってしまうかもしれません。

当記事は2014年05月27日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-5 市街化調整区域にある土地を売却したいとき

市街化調整区域についての検索サイトの順位が少しずつ上がってきました。
まぁキーワード単体ではまだまだですが、何かしら引っかかってくるでしょう。

さて、市街化調整区域の土地は多くの人にとっては不要なものです。
『断捨離』ではありませんが、処分したいとお考えの方も多いようです。
それが何十万円にでもなれば、儲けモノという発想も合理的です。
しかしまぁ、これがなかなか難しいもので、『いくらでもいいから売りたい』で売れないのが不動産。

マンションなどは典型的で、毎月管理費と修繕積立金がかかりますから、タダでも引き取り手がいないマンションが多くあります。
中古建物の場合でも、固定資産税や将来の解体費用の負担がありますから、タダでも収支がマイナスになる事も少なくはありません。

ただ、土地の場合であれば、固定資産税さえかからない土地なら、本当に数万円の手取りになってもよい、という覚悟が本当にあれば、処分をする事自体は需要のない築古マンションよりはまだ可能性があると言えます。
ただし、往々にして『いくらでもいい』というのは言葉の綾で、本心ではないですからね、なかなか上手くいかないものです。
(固定資産税の取り扱いについては『A-16 私道の課税について知りたい① 固定資産税・都市計画税』で紹介しました。)

さて、それでも処分の可能性を知りたいという方、多くいらっしゃいます。
しかも、インターネットを使って、自分で調べたい、という方が多いのが現代的ですね。
だって不動産屋に相談するの気まずいし、逆に営業にあったら面倒だし、『E-2 不動産業者は市街化調整区域を扱いたくない』という記事もあったし・・・

そういうニーズに応えたいと思います。
私も暇な時、時間をたっぷり頂いて、という事であれば全く問題ないのですが、繁忙期、結論を急いでいるお客様に市街化調整区域を持ち込まれると、正直、笑顔で対応する自信がありません。
(繁忙期が過ぎるまでお待ち頂ければ、それでいいんですけどね。)

市街化調整区域の土地について、『売れる/売れない」の『クラス分け』『場合分け』の目安として『市街化調整区域の土地 処分難易度ランキング』を策定しました。

私の私見による場合分けですが、まぁ、誰も文句は言わんでしょう。
だって市街化調整区域だし。

これにプラスして、旧ブログでは、自分の所有する土地の市場的な位置を診断する為に、簡単なYES/NO形式で、調査方法も併せて紹介する『市街化調整区域の土地の処分のためのフローチャート』を紹介していました。

しかし、実はこれが欠陥品で、重要な項目が漏れていたのです。
いやはや、ブログを移転して改めて思うのですが、当時不動産歴1年程度でかなり知識が不足していた、というのが実感出来ます。
取引件数を重ねた今となっては、かつてのコンテンツは面映ゆい部分もあります。

そのうち、増補改訂を加えた『市街化調整区域の土地の処分のためのフローチャート』を公開出来れば・・・と考えています。

当記事は2014年03月31日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-4 市街化調整区域と『地区計画』

市街化調整区域は『原則建物を建てる事が出来ない土地』だ。
・・・何度も繰り返しそのように書いてきました。

市街化調整区域では農業漁業用の施設や学校などの公共施設、特別な事情が認められた工場など、特別に認められた種類以外の建物は建築出来ませんから、農家以外の一般の方が住宅を建てる場合などは、もってのほかです。

しかし、例外措置として、一般の住宅を建築出来る市街化調整区域もあるのです。
それが『地区計画』によって建築可能と定められた地区です。

『地区計画』は都市計画法 第12条に詳しく定められたもので、自治体が都市計画において別途規定する事ができるものとされています。

ざっくり言えば自治体は都市計画とは別に『こんな町づくりをしろ』と決められる、という事です。
市街化調整区域の場合は『市街化調整区域だけど、もう住宅街化してるから、特別に建物建ててもいいよ』というものが大半です。
また、『これから市街化区域にする予定だから、先行して建物を建ててもいいよ』というパターンもあります。
もちろん、地区計画の定められた市街化調整区域であれば住宅を建てられるかというとそうではなく、
『決定番号:調19 札幌アートヴィレッジ地区』などは、芸術の森近辺の地区計画について定めたものですが、一般住宅を建築出来る訳ではありません。
地区計画の内容によっては一般住宅の建築も可能、ということです。

従来、市街化調整区域の建築に関しては『既存宅地確認制度』というものがありまして、これは昭和45年以前から宅地であった事を自治体が確認した土地については、市街化調整区域内であっても、例外的に建築物を新築することが出来る、というものです。
不動産業者としても役所としても、調査が面倒で、詐欺の温床ともなっていた制度です。
これが平成13年に廃止になったことに伴って、
市街化調整区域に建物が建築可能となる地区計画が定められた、という事情があります。

市街化区域内にも勿論地区計画はあり、建物の形状等に細かな制限が加わっている事があります。

さて、具体的には、札幌にはどのような地区計画があるのでしょうか。
平成29年11月現在、札幌市が決定している地区計画の件数を紹介しましょう。
通常の地区計画 122件
市街化調整区域の地区計画 18件
再開発等促進区を定める地区計画 14件
その他緩和型の地区計画 3件
防災街区整備地区計画 1件
合計150件もの地区計画が現在有効なものとして決定されているのです。

平成26年3月から3年半で通常の地区計画は8件も増えました。
(それ以外の地区計画に増減はありません。)

市街化調整区域の地区計画18件の内訳は下記の通り。

現役の不動産営業マンである私も有名ドコロしか覚えていませんが、地区計画の該当地区については『札幌市 都市計画情報提供サービス』
調べることができますので、150件すべてを抑えていなくとも、簡単に調べられます。
有名どころとしては前述のアートヴィレッジのほか、厚別区のテクノパークや、
札幌ファクトリー周辺、札幌駅、桑園駅、苗穂駅や創成川の再開発関係の地区計画があります。

それにしても、『わざわざ地区計画で市街化調整区域に建物を建築できるようにするのではなく、その地区を市街化区域にしてしまえばいいんじゃないの?という考えもあるかと思います。

これには複数の理由があるようですが、大きな理由は以下の2つです。
第一に、地区計画の場合は、非常に狭いエリアでの指定が可能で、かつ、市町村によって弾力的な運用を図る事が可能な分、都市計画よりも小回りが利くということ。

第二に、地区計画については、住民の申し出による計画策定が可能ですから、
札幌市としては積極的に市街化したくなくとも、住民(やそこに地盤を持つ議員)の働きかけによって、市街化調整区域でも建物が建築可能という内容の地区計画が策定できること。

…とはいえ、何もない原野にそういった地区計画を設定する事は出来ません。
地区計画の策定のためには『すでに良好な居住環境が形成されている区域』である必要があり、先ほども解説したように『既存宅地確認制度』の代替措置にという性格から、昭和40年代から引き続き古い住宅群が林立している区域が原則となります。
 ※ ただし、『穴抜き市街化調整区域』と呼ばれる例外もあります。

また、地区計画で建物が建築可能とされた場合でも、永遠にその地区計画が変わらないという保証はどこにもありません。
(とはいえ、既得権は保護されるものですから、あまり変な事にもならないとは思いますが。)
ですから、不動産流通の現場では、市街化調整区域の土地でも、地区計画で建築が可能なら、そこそこの評価額で査定されますが、市街化区域内の土地ほどの安心感はない、というのが正直なところです。
概ね郊外にある関係もありますが、だいたい相場の2割減・3割減という感覚です。
安価に買い求める事が出来ますから、割り切って購入されるのであればオススメです。

最後に、地区計画でどういった制限があるのか、具体的な内容の調べ方をご紹介しましょう。

前述の通り、地区計画のエリアに該当するかどうかは、『札幌市 都市計画情報提供サービス』で、簡単に検索できると書きましたが、それで分かるのは『どの地区に該当するか』まで。
『地区計画』でどのような内容なのかは、個々に調べる必要があります。

『地区計画』の名前と決定番号が分かったら、『札幌市 地区計画決定状況一覧』から、該当する地区名を探し、『計画書』『計画図』を参照しましょう。
市街化調整区域の地区計画には『解説書』があるものもあります。

実際に建物を建てようという場合や、土地を買おうという場合には、宅建取引士や建築士の説明を受けるほか、市役所の窓口でも確認しておきましょう。

市役所の担当窓口は市役所本庁舎5階 都市計画課です。
窓口ではインターネットで配布している『計画書』『計画図』『解説書』を配布しています。

別件の不動産調査で市役所に行ったので、市街化調整区域の都市計画資料、全部もらってきちゃいました。

18件分ですが結構なボリュームですね、これ、全150件分は流石にもらえないなぁ…

旧ブログでは各地区計画の区域を実際18か所、現地を実際に回り、紹介してゆきました。
これがなかなかに好評を博し、定期的に追って紹介する地域もありました。
こちらでも記事を移転し、近いうちに公開をしてゆく予定です。

当記事は2014年03月25日および2014年03月27日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-3 市街化調整区域と『農地』

『農地の売買は難しい』とはよく聞く話です。

・・・ええと、よく聞く話ですよね?

個人的には不動産業界にいる前から知っていた話ですが、法律分野や経営分野の業界にどっぷり漬かってきたせいか、何が一般常識で、何がそうでないのか、いまいち分かっていない自分がいます。

でも、テレビゲームをやる方であれば『桃太郎電鉄』シリーズで農地物件が売買出来ないことは有名ですよね。
とにかく『農地の売買は難しい』のです。

具体的には、農地は原則的に、許可なく売買してはなりません。
許可なく売買をした場合には、その取引は『無効』という取り扱いになります。
(仮に売買をしたとしても、その『効』力は発生し『無』い、という事です。)
売買するにあたっては、原則として、買主が農業従事者である個人または法人である必要があります。
ですから、農地の買い手は非常に限られている、という事ですね。

また、農地以外の用途に許可なく転用する事も禁止されています。

で、この許可を受けるための手続を代行できる国家資格者が、ケースによって多岐に渡るというのも面倒なところです。
一般的には司法書士土地家屋調査士に依頼すればOK。
(両方に依頼する必要がある場合でも、連携の必要があるので、依頼した片方の先生がもう一方の先生を手配してくれるのが通常です。
 どちらかというと司法書士の先生に依頼する方が多いのかな?)

建物を建築する場合や商売をしようという場合などによっては、建築士、弁護士、行政書士などに依頼することもあります。
宅地建物取引士という資格では、農地に関する手続きを代行することは出来ません。
(もちろん、実務上の知識はありますし、専門家を紹介する事も出来ますが、
 国家資格なしに実際の手続きを代行し報酬を得ると、法により処罰されます。)

この場合『農地』か否かは登記簿に書いてある内容ではなく『現況』で判断します。
具体的には、札幌市農業委員会が農地と言ったら農地、それ以外と言ったらそれ以外、なのです。

それでは、札幌市農業委員会で、具体的に『農地』の『現況』について確認する方法を紹介します。


その農地の地図(出来ればブルーマップ)や写真を持参して
市役所本庁舎15階農業委員会の窓口へ行きましょう。

事前予約等は特に必要ありません。

窓口の人にこのように声を掛けます。
「ごめんください、農地の確認をお願いします。」
「地番はわかりますか?」
「○○区○○町××番地×です。(持参した地図を手渡して)この場所です。」
「地図をお預かりしますね。」
職員が市役所のデスクで航空写真のシステム画面から当該地を検索します。
「この土地は札幌市では今のところ農地として認識していませんね。
ただし、本当に農地に該当しないかどうかは、実際に職員が現地を見て判断します。
または
「この土地は札幌市で農地として認識していますね。売買や転用には許可が必要です。」

…と、いった具合です。職員の回答は原則2パターンしかありません。
農業委員会に『農地』だと判断された場合で、その土地の転用や売買を行いたいときは、司法書士や土地家屋調査士に相談しましょう。
お付き合いのある不動産業者がいる場合には、その業者に紹介してもらってもいいかもしれません。

なお、『現況』が農地でない土地の登記簿の地目が農地となっている場合、登記簿の地目変更のための証明書を農業委員会で発行してもらう事が出来ますので、覚えておきましょう。
発行してもらった証明書をもとに法務局で登記簿地目の変更手続きを行います。

たとえばこの土地は、市街化区域内にあり、地目は農地ですが、
札幌市農業委員会には現況『農地』ではないと認識されていた土地です。
このような土地の場合は、地目さえ変更すれば、通常通りの取引が可能です。

ちなみに、現況も地目も農地ではない場合ですが、その場合には完全に農業委員会の管轄外で、通常通りの扱いとなります。

さて、次は農地と認識されている土地の転用について、です。
農地が転用出来るか否か『市街化区域』『市街化調整区域』かで大きく異なります。
市街化区域内の農地であれば原則転用可能で、売買もそう面倒なく可能です。
市街化調整区域内の農地については、正直、かなり難しいと言わざるを得ません。

上記が市街化調整区域内にある農地を転用する際の許可基準です。
見て分かる通り、『原則として不許可』が大半ですね。
特に『農業振興地域』と呼ばれる地域に指定されている場合には、まず転用は不可能です。

例外として市街地内の農地、『第3種農地』の場合には原則許可、
将来市街地になる『第2種農地』の場合には、公益性の高い事業の場合等に許可される、という事です。
まー、調整区域内で農地指定されている段階で、現在市街地だったり将来市街地になるという可能性は、非常に薄いのですが。

そもそも論として、農地の転用が許可されたところで、どーせ市街化調整区域なので、原則建物は建たないのです。
市街化調整区域で建物の建築が許可されるのは、公益性の高い建物やその立地でなければ難しい事業の為の建物に限られていますから、そもそも農地だからどうだ、という話ではない事の方が多いんですよね。
とはいえ、許可されなければ売却は出来ませんから、本当に市街化調整区域の農地というものは難儀なものです。

当記事は2014年03月21日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-2 不動産業者は市街化調整区域を扱いたくない

一般に正規の不動産業者は、市街化調整区域に関わりたがりません。
正直私自身も、ビジネスとしてはさほど大っぴらには積極的に関わっていません。
他の業者の方もお付き合いのある方からの依頼でやむを得ず引き受けている、という場合が多いようです。

その理由はシンプルで2つしかありません。
①売上が非常に低い
②経費と手間は通常と同様かそれ以上にかかる
つまり、利益率が非常に低い。ぶっちゃけて言うと、儲からない

①売上が非常に低い
俗に『3%+6万円』なんて言いますが、不動産売買仲介の手数料は、売買価格に比例して制限されます。

根拠は
昭和45年建設省告示第1552号『宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額』というもので、400万円以上の取引については3%+6万円(+消費税)という、速算式が用いられます。

フツーの人が持っている100坪単位の市街化調整区域の場合、大抵は100万~300万円程度の取引額になりますから、4~5%の仲介手数料になる訳です。

倍額まで手数料の制限が緩和される『代理』という契約形態であれば、8~10%の手数料を頂くことは理論的には可能ですが、ただでさえ少ない売主さんの実入りを更に減らすというのも気が引けます。

100万円の取引して5万円もらえるならいいじゃん!…というのも考え方ですが…
不動産仲介は、売上が上がればいいのですが、売れないまま契約期間が終了して、媒介契約が解約となってしまうと、通常、それまでの経費が回収出来ないのです。

ただでさえ売却の難しい市街化調整区域、いつ解約されるかわからないのに、経費と手間をかけて販売活動を行うのは、ハイリスク・ローリターンと言わざるを得ません。

②経費と手間は通常と同様かそれ以上にかかる
そして不動産仲介の経費というのは、土地だけの場合、大きくは変わりません。
売買価格で手数料が上がるのは交渉の成功報酬や損害賠償リスクによるものです。

具体的な経費と手間を列挙してみましょう。
・登記関係やその他の書類を収集するための費用は、通常と同一です。
・当然、広告や販売活動にかかる費用や手間も、通常と同一。
・過去の使用履歴がわからず土壌汚染や地中埋設物のリスクが高い。
・道路や河川の公共測量が入っていない地区が多く、ひどい場合、どこからどこまでが公道かも不明瞭。
_私有地同士の境界など、分からないのが当たり前。
・多くが郊外にあり、現地まで行くのが手間。
_更にヤブを掻き分けて山中や原野を歩かなければならないことも。
・売れるまでの期間が長いのでランニングコストがかかる。

うーん、性格悪い言い方ですが、率直に言って、市街化調整区域って、大規模な土地でもなければ全然儲からないんですよね。
というか、例え話ではなく本当に、人件費を除いた純粋な原価すら回収できないケースが大半。
まして、売主さんとの従来のお付き合いがなければ、いつ仲介が解約になるか分かりません。

ここまでざっくばらんに書いたのは、『不動産業者』を名乗る詐欺がとっても多いという事があるからです。
通常の不動産業者は、上記のような理由で原則的にあまり積極的に市街化調整区域に関わりたがりません。
(もちろん、例外もあるにはあるのですが・・・)
『市街化調整区域と詐欺的行為』については、また別に記事を設けます。

『調整屋』と呼ばれるような、市街化調整区域を専門に仲介や転売を行う業者も、いるにはいるのですが、100坪程度の土地で動くという話は、あまり聞きません。

例外として挙げるとすれば・・・
・公道に面した大規模な土地で、それなりの取引総額になる。
・『地区計画』により建物の建築が例外的に認められた地域である。

こういった場合ならば、不動産業者も引き受けてくれると思うのですが、一般的にな100坪程度の土地で、公道に面していないものについては、不動産業者としても結構シンドイ思いをしながら媒介活動をしているのです。

そういった事をご了承頂いた上で、安価ではありますが、市街化調整区域の土地を引き取らせて頂く場合もあります。
買取については、可能である物件と不可能である物件、価格が付く物件とそうでないものがありますから、もし希望される方は具体的な地番を記載した上でこちらの問い合わせフォームにてご連絡頂ければ対応致します。

そこで、市街化調整区域について、例外に該当するのか否か、つまりは処分の可能性があるのか、可能な限り自分で調べられるようにする、というのがこの一連のコンテンツの目的であったりもします。

ダメならダメで、何故ダメなのか、知っておいた方が諦めもつくというものでしょう?

次回以降に続きます。

当記事は2014年03月19日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-1 市街化調整区域とは何か

『市街化調整区域』は『都市計画法』により『原則、建物が建てられない土地』です。

・・・『市街化調整区域』については結構知名度があるので、もう少し詳しく紹介してみましょうか。

昭和43年に施行された『都市計画法』により、日本全土には『都市計画区域』『非線引区域』が区分され、都市計画区域はさらに『市街化区域』『市街化調整区域』に分けられてゆきます。
札幌市周辺では、昭和45年『市街化区域』『市街化調整区域』が設定されています。

そもそも論として、何故このような区分があるのでしょうか?

戦後、昭和21年『自作農創設特別措置法』による農地解放によって、大地主から小作人たちに土地が振り分けられ、その土地が次々と宅地造成されて宅地化してゆきました。
高度経済成長もあって、あまりに急速に宅地化が進むものですから、昭和30~40年代にはそこらじゅうに新興住宅地が広がってゆきます。
札幌市でも、畑の中や山の中にポツンと住宅地が出来ている場所がありますよね。
(これらの孤立した住宅地のその後については、シリーズで個別に紹介してゆきます。)
こういった、野放図な開発によって、市街が収束せずにバラバラになってしまうと、インフラの維持にも多額の予算が必要になりますし、何より、供給過剰によって不動産の価値が下落してしまいます。
これを都市計画用語でスプロール(虫食い)化と言います。

スプロール化を防止するには、『宅地開発が出来る地域』とそれ以外を区分する必要があったという訳です。
また、より踏み込んだ内容として、その中で更に『住宅地』『商業地』『工業地』といった区分を設けることで、市街形成を合理化する必要もありました。

つまり、それが『都市計画法』施行の目的であった、という事です。

札幌市の最新のデータでは、市域に占める面積割合は、非線引区域は49.34%、市街化区域は22.31%、市街化調整区域は28.34%です。

非線引き区域は都市計画区域より広く、市街化調整区域は市街化区域より広いのです。
一般の建物が建てられる住宅地が4分の1にも満たないというのは意外かもしれませんね。
まぁ、非線引き区域はその殆どが南西部の国有林という事なので、
いわゆる一般のイメージでの『札幌市』のエリアからはちょっとずれるかもしれません。

とはいえ、都市計画区域の過半数を市街化調整区域が占めている訳です。
・・・たぶん、取引額では数パーセントにも満たないと思いますけれど。

市街化調整区域では、都市計画法により、原則、開発による市街化をしてはいけません。。
都市計画法 第7条3項『市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。』

『市街化』とは、建物の建築や樹木の伐採などもそうですが、自治体が行うべき道路や上下水などの配管の整備も、現状以上に拡充はしない扱いになっています。
ですから、法律に違反してどうにか住もうと思っても様々な障壁がつきまといます。

市街化調整区域の土地は通常『家庭菜園用』とか『資材置き場用』として売られていますが、
上水道が通ってなかったら野菜の水撒きもできませんし、
資材や車両をちょっと洗おうかとか、休憩に水道水を飲もうかという事も出来ない訳です。
下水道が通っていなければ水洗トイレも使えず、仮設トイレを使わなければなりません。
(もちろん、上下水道完備・電気使用可能な市街化調整区域も一定数あります。)

例外的措置として、『市街化調整区域で認められる建築行為』というのもあるのですが、
フツーの人が持っているフツーの市街化調整区域については、原則、建物の建築は不可能であると考えておいてください。
認められる建築行為の例としては農業漁業用の施設、学校・福祉施設等の公共性の高い施設、採石場や工場などでどうしても市街化調整区域に建築する必要がある施設などなどです。
フツーの人がフツーに持っている市街化調整区域については該当しませんが、フツーの人の先祖がドカッと大量に持っている市街化調整区域については、
工場などの用地としての処分を考えることも可能
です。

許可を得ない場合にはプレハブやコンテナ、物置などの設置も違法とされており、札幌市から撤去を命じられる場合もありますから、注意しましょう。

…自己責任において設置される方は多数いますが、私はお勧めしません。

フツーの人が持っているのは通常100坪程度でしょうから、車や重機、資材を置いておくとか、広いスペースが必要な作業場としては、有用です。
1000坪であるとか、それ以上の規模があるなら、養鶏場だとか、キノコ農園だとか、工場だとか、ちょっとだけ夢も広がりますね。

当記事は2014年03月15日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-8 上水道台帳の見方

A-11 上水道の配管状況を知りたいとき』で取得した『上水道台帳』の見方を紹介していきましょう。

上水道の台帳図は、都市ガスや下水道と異なり、道路内配管の太さが数字で書かれていません。
また、情報量も多く、配管の材質や宅地内での供給設備なども記載されていますから、市役所の記載内容を読み取る前に、個別に読み方を紹介してゆきましょう。

なお、このコンテンツは札幌市水道局の上水道台帳の見方を解説したもので、
他の自治体では、異なる様式の記号・略称となる場合がありますのでご注意下さい。

<配管の種類>

旧ブログのアクセス解析には『DTP』『DKP』に関する検索が多くありました。
これは配管の種類に関する表示で、材質や形状についての記載です。
アルファベットの”D”は『ダグタイル鋳鉄管』を指し、
『DTP』はダグタイル鋳鉄管T形、『DKP』はダグタイル鋳鉄管K形を意味します。
他ではダ『ク』タイルという表記の方が多いのですが、札幌市ではこの表記です。

ダグタイル鋳鉄管の見た目はこんな感じです。

DTPであるとかDKPであるとかは、継手の形状などで決まるようですね。

ダグタイル鋳鉄管は水道本管や引き込み管などに広く利用されています。
鉄管の形状は主に接続部分の形状で、配管の太さや圧力で使い分けられています。

一覧表を見て分かる通り、ダグタイル鋳鉄管以外には、
コンクリート配管、鋳鉄管、鉄管、銅管、鉛管などがありますが、
古くなって劣化した配管から、徐々にダグタイル鋳鉄管に置き換えられています。
(配管の劣化・サビによる赤水・ピンホールや、鉛の漏出が懸念される為。)

ダグタイル鋳鉄管の他に広く利用されているものには、
『Pe』つまりポリエチレン管があり、
戸建住宅だけでなくそれなりの規模の集合住宅や施設の引込管に使われています。
ほかに『VP』…塩化ビニール管などもありますが、
札幌ではあまり見かけず、他の自治体で使われているような気がします。

配管の材質・形状に関する専門的解説は、他のサイトをご参照下さい。

<配管の口径(太さ)>

札幌市の上水道台帳では、道路内の配管口径について、数字での記載はありません。
表のような奇妙な記号で配管の太さを表現しています。

通常、大きな幹線道路ほど太い配管が通っており、住宅地の生活道路に関しては多くが100mm(=10cm)配管になっており、部分的に50mm配管となっている、というようなイメージです。

たった10cmの配管で何十軒もの住宅の使用する水を供給していると考えると、水道管にどれほどの水圧がかかっているか、技術の凄まじさに感嘆せざるを得ません。

写真はΦ2928(直径2.9m)の上水道配管です。
このクラスの配管はかなり大きな幹線道路の道路内で使われています。
市役所の北側、国道12号線の下の配管は300mmですから、国道でもこの10分の1の太さだ、という事です。

この太さの配管に水が満たされていて、かなり強い水圧が掛かっているというのは、ちょっと私の想像力では、どのような状態になっているのか想像出来ません。

<設備記号>

これはあまり利用する機会もなく、一般の方が知っておくべき事柄でもありませんが、上水道台帳の設備記号についても、引用して紹介しておきます。

特に話題になりやすい項目として、建物への水道の供給方法で『直結直圧方式』、『受水槽方式』、『直結加圧方式』といったものがあります。
『直結直圧方式』は、水道管の圧力で建物へ水を供給する方式です。
戸建てや中低層のアパートでは一般的ですが大きな建物には使えません。

『受水槽方式』は、一旦屋上などに汲み上げた水を重力で建物に供給する方式で、近年は『不潔』だと、あまり評判がよくありませんが東日本震災で水が止まった時には貯まった水をしばらくの間利用することが出来た為、重宝されました。

『直結加圧方式』ブースターポンプ(VP)という機械で、大きな建物でも受水槽を使わずに水を供給します。
その他にも細かく色々な方式がありますが、建物固有の事情になりますから、説明は省略します。

<札幌市役所本庁舎の上水道台帳>
さて、一通りの説明が済みましたから、札幌市役所の上水道台帳に戻りましょう。

敷地内の引込については、小さく数字で書かれていますから、拡大図を見てみましょう。


凡例と照らし合わせると北側の国道12号線の道路内配管の口径は300mmです。
そこから敷地内に引き込まれ、DKP(100)を通って、DTP(75)[M]と続いていきます。
DKPとDTPという事は、配管の材質は『ダクタイル鋳鉄管』ですが、途中でK型管とT型管を切り替えているという事です。

括弧書きは引込み管の太さ、これがあまり細いと大きな建物への水道供給は出来ません。
配管の太さも100mmから、途中で75mmと細くなっていますね。

配管が太ければ太いほど、大きな水圧が掛かっており、高層階への供給が可能です。
戸建の場合20mm以上大規模な建物は100mm以上が目安と言われています。
水圧不足を補うためには、受水槽やブースターポンプの設置が必要となります。

古い戸建では13mmの引込管も多いですが、水の使用量によって不便が生じる場合があります。

[M]は、メーターの事で、右下の『受』は受水槽方式数字『187280』はメーターの番号です。
札幌市役所は19階建の建物ですから、受水槽方式で水圧をカバーしている訳ですね。

つまり、この『上水道台帳』から分かることは以下の通りです。
市役所の北側には300mmの上水道配管が通っており、市役所には100→75mmの引込管がある。
引込管から供給された水は、受水槽方式で市役所内に供給されている。

下水道は市役所の北側を通らず、西・東・南に通っていましたが、
上水道は逆に、市役所の北・南を通っていますが、西・東には通っていません。
道路内配管や敷地との接続方向は、インフラによって違うのです。

<その他の記載>
その他、『予定栓』、『未工事』、『散水栓』、『水飲み場』などの記載がある場合もあります。
『予定栓』は、メーターを接続する事が出来る、引き込み管です。
新規に宅地造成されたような地域では、予め引き込み管まで設置している場合があります。
『未工事』は、過去に建っていた建物の水道メーターが撤去されていない状態です。
『散水栓』『水飲み場』は言葉通りの意味ですね、公園などにあります。

上水道の道路内配管は比較的簡単な調査項目ですが、敷地内の配管・メーターの取り扱いについては様々な規定があります。
また、上水道の手続・工事は、札幌市の指定業者しか行うことが出来ません。

水道メーターや加入料に関しては、知識のない不動産業者が担当すると数十万円単位を平気で損をしてしまいますから、水道メーターの取扱いについては、技量の確かな不動産業者か、市の水道工事指定業者に相談した方がよいでしょう。

当記事は2013年10月18日および2014年12月15日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-7 下水道台帳の見方


今回は、『A-10 下水道の配管状況を知りたいとき』で取得した『下水道台帳』の見方を紹介します。
まず、最初に触れておきたいのが『合流式』『分流式』の違いです。
両者の違いは『汚水』『雨水』を合わせて流すか、分けて流すか、という事です。 

『汚水』…トイレ、風呂、台所等から出た生活排水
『雨水』…雨水、雪解け水、屋根の雨どいから落ちた水など

分流式では、雨水はそのまま川へ流しますが、合流式では処理施設まで流れます。
札幌市では市内中心部はほとんどが合流式、郊外などの比較的新しい配管は、分流式であることが多いようです。
市のHPによると、その割合は処理区域面積の60%が合流式、残り40%が分流式との事ですが、人口のカバー率でいえば、合流式の方がもっと多いはずです。

画像をクリックするとフルサイズの画像がダウンロードされます。

札幌市の『下水道台帳』は『合流式』はピンクの線、『分流式』赤(汚水)青(雨水)の線で表されます。
上にある市役所の下水道台帳はピンク色ですから、周辺の配管は『合流式』と分かります。
そして、ガス管などは通っている北側道路(国道12号線・北1条通)には下水管は通っていないんですね。
見づらいと思いますが、西側にある下水道が60~70cm(600~700mm)、東側が80cm(800mm)です。

そして下水管と敷地との接続は通常『公共枡(ます)』で行われています。

『札下』と書いてあるものですね。札幌市下水道の略で、市の所有物です。

下水道台帳ではで表されますが、市役所の敷地に『公共枡』はないようです。

代わりに市役所の東側に小さくあるのがのマーク『私設枡』です。
『10』と書かれていますから道路へ接続する配管は10㎝(100㎜)ですね。
公共枡は札幌市の持ち物ですが、私設枡は民間の持ち物、故障があった場合、自己負担となります。
…札幌市の持つ土地にある枡が『私設枡』の扱いだなんて妙な話ですが、
古い建物に関しては実際の権利関係と資料の不整合はよくある話です。

台帳図の内容をまとめると、以下のようになります。
札幌市役所には、生活排水と雨水が一緒に流れる西側600~700㎜と東側800㎜の下水管があり、敷地からは10㎝(100㎜)の『私設枡』で東側の下水管と接続されている。
(本当は南側・大通にも下水管30cmの下水管が通っていますが用紙に入りきりませんでした)

ちなみに、『大雨でトイレやお風呂が逆流!』というのは、殆どが合流式での事故です。
近年は、大雨が増えてきていますから、下水の逆流等の問題が大きくなっていくのかもしれません。
だからといって、すぐに分流化することは札幌市の算的には難しいかと思いますが、
最低限の覚悟として、『この地域は合流式なんだな』という認識を持っておく必要はあるかと思います。

当記事は2013年10月14日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-6 都市ガス導管図の見方


さて、『A-9 都市ガスの配管状況を知りたいとき』で北海道ガスにお願いした、『都市ガス供給照会依頼書』と『道路内導管図』が戻ってきました。

『道路内導管図』はこのようになっています。

『都市ガス供給照会依頼書』には、こちらから送った依頼書に、回答の担当者名などが書かれてきます。

『道路内配管図』の見方では、図面よりも一番上の枠の内容がすべてと言って良いかもしれません。

 前面道路→あり・西150mm・北250mm
引込み管→あり・150mm
対象地区のガス種→13A

『前面道路』欄では、道路内の配管の有無と太さが記載されています。
『引込み管』というのは、道路から敷地内へ接続する配管があるかどうか、その配管の太さの事です。
どちらの道路の配管から引込んでいるのかは、図面を見ましょう。図面では北側から引込んでいますね。

『対象地区のガス種』の13Aというのは、天然ガスの規格です。
ガスは成分によって種類が定められていて、コンロなどの機材もガスの種類に合わせなければなりません。
(プロパンガス用のコンロは都市ガスで使うと事故の元になりますし、逆も同様です。)

図面の内容を読み解いてまとめると、
市役所の回りには西に150mmと北に250mmの道路内配管があって、
市役所には北側から150mmの配管で13Aというガスが供給されているよ。
という意味なのです。
配管の太さや引き込み位置については、北ガスや設備業者さんの領分になります。

さて、札幌市役所は都市ガスが使える事が分かりましたが、
その他、イレギュラーなケースも見ていきましょう。

①道路内に都市ガス配管があっても、引込み管がない場合
 前面道路→あり・西100mm
引込み管なし
対象地区のガス種→13A

・・・という回答が返ってきた場合には、敷地へのガスの供給がないという事です。
道路内に配管があっても、この『敷地への引き込み』がない場合は、すぐに利用する事は出来ません。
自費負担で敷地への都市ガス配管の引き込み工事が必要になります。
既に建物が建っている場合は、建物のガス設備をプロパン用から都市ガス用に変更しなければなりません。

新しい建物でも、オール電化住宅の場合には、都市ガスの引き込みはありません。
見た目だけに騙されてはいけない例ですね。

②その近辺に都市ガス配管がない場合
道路内に都市ガス配管がないエリアの場合には、返信のファックスに配管図面がついてきません。
『都市ガス供給照会依頼書』に、このような文言がスタンプされて返ってきます。
ガス導管図のない地域となります。
ご照会場所の付近に都市ガス管はありません。

これが返ってきたらそのエリアでは都市ガスの供給はまだまだ先・・・とあきらめるしかないでしょう。

③道路内には都市ガス配管はないが、近隣に配管がある場合
都市ガスの供給エリアではあるのだけれど、その道路の中に配管がない場合には、一番最初の画像の左側にある文書にチェックがされた図面が返信されてきます。
ガスの引込が可能ですが、本管延長工事(有料)が必要です
つまり、自分の土地の目の前の道路までの引込費用を負担してね、という事です。
・・・とはいえ、道路を掘って管を埋めるというのは、ベラボーに費用がかかります。
分譲業者が行う大規模な開発でもない限り、個人レベルでやる事ではありません。
よっぽどの事がない限り、すぐには都市ガスは通らないと考えてよいでしょう。
北ガスは徐々に供給エリアを広げていますから、そのうち通ってくれるのを祈りましょう。
まぁ、もし道路に配管が通っても①の状態になるだけの場合もありますが・・・
(造成工事などで、敷地までの引込費用を負担してもらえる事もあります。)

・・・だいたいこんなところでしょうか。
インフラの供給工事については、技術的な問題があるので、出来る・出来ないをすっぱり言えない場合があります。
例えば①のケースで前面道路の幅が20mくらいあって、自分の土地の側ではなく、
道を挟んで向かい側の歩道の中にしか都市ガス配管がない場合には、
道路を20mも掘って引き込み工事を行わなければならないので、
道路管理者の許可を取ったり、どの程度費用負担するか決めたりと、大変です。

都市ガスの有無は土地建物の価格に、比較的ダイレクトに影響する要因ですから、入念に調査しましょう。

当記事は2013年10月11日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-5 道路台帳図の見方


さて、今回は『A-6 市道・道道の詳細を知りたいとき』で取得した、『道路台帳図』の見方を例によって『大通』を例にして紹介します。

早速ですが、取得した道路台帳図を見てゆきましょう。


うーん、見づらい!
(クリックすると大きな画像が見られますが、それでも見づらいです。)
角度や縮尺の調整でもう少し見やすいように出力することも出来るのですが、まずはありのままの状態でお見せした方が分かりやすいでしょう。

まずは道路台帳図の性質を知るために枠外に書かれている注意から紹介してゆきましょう。

<注意>
1.この図は札幌市管理の道路台帳図の一部分を複写したもので、道路法上の道路区域を表示してあります。
2.道路区域線は、土地所有権の境界線ではありません。(官民・民民を含む)3.現地の道路区域位置とは必ずしも一致しません。
4.道路区域及び幅員・延長以外の記載事項は参考です。法的根拠を有するものではありません。
使用する場合は個々にご確認の上使用してください。
5.この図に関するお問合せは、電話ではお受けできませんので、窓口まで直接お越しください。
(所在 札幌市中央区北1条西2丁目 札幌市役所6階 道路認定課)

つまり、図面は道路の認定幅員を示すもので、実際の幅(現況幅員)や建物や舗装、植栽の状況や登記の内容との整合性は保証しない、と言っています。
また、所有権や登記上の境界線は必ずしも一致していないことも明記されています。
所有者や、登記上の形や面積を知りたい場合には、法務局で登記を調べましょう。
A-8 道路の拡幅について知りたいとき』で紹介したように『市道』として認定されていても、所有権が個人にある『私有地』の場合もあるのです。

さて、それでは図面を拡大して、見てゆきましょうか。


(これもクリックすると大きな画像が見られます。)
今回は全体像から徐々に拡大してゆく、という方法をとりたいと思います。
道路に沿って、番号とともに名称が書いてある部分(赤い下線部分)は『道路番号』と『路線名』です。
実は大通は『10-0001 大通南線』と『10-0002 大通北線』の2つの道路からなっていることが分かります。
しかも、『10-0002 大通北線』には、大通公園の敷地が含まれています。
つまり、大通公園は道路法上の道路敷地なのです。

では、いわゆる『公園』ではないのか、というとそうではありません。
いわゆる『公園』の法的根拠は『都市公園法』とそれに関連する政令によりますが、大通公園は札幌市が告示する『特殊公園』に該当する為、いわゆる『公園』でもあり、道路法上の『道路』でもあるという、重複的な立ち位置にある、と言えます。

道路番号のハイフン前の最初の2桁(10-)は札幌市が管理する『区番号』で、中央区は『10』です。

次に、赤い○を付した部分、道路に対して直角に線が引かれている隣に数字が書かれているのがその部分の道路『認定幅員です。
前の画像では細かい数字までは読み取れませんから、図面中央下部を拡大してみましょう。

ここまでは市役所手前の北側を見てきましたが、北側の道路区域には大通公園が含まれていて、大変大きくなっているので、今回は例外的に南側(丸井今井の北側の道路)を見てみましょう。

太線で○を付けた部分には『20.00』と書かれていますね。
ここから、この部分の『認定幅員』は20.00mであることが分かります。

その両脇に、細線で○を付けた2ヶ所には『10.00』と書かれています。
これは『道路中心線』から道路境界までの幅員で、道路の片側の幅員を示します。
10.00mが2つで20.00mの認定幅員である、という事です。
単に道路幅員の半分の数値が書かれている訳ではありません。
例えば、7.27mの道路であれば、半分の3.635mとなるのか、と言えばそうではなく、3.64mと3.63mとなっています。
道路幅員は小数点2位(センチメートル)までの記載となっていますから、どちらかが1cm多い表記となる訳です。

また、都市計画の設定や、道路の拡幅は『道路中心線』を基準に行われますから、道路の左右で拡幅計画が異なる場合も出てきます。
全体の幅員は勿論のこと、片側の幅員についても確認をしておきましょう。

そして、道路幅員の確認が終わったら、同じ道路に確認した幅員以外の数字の記載がないか、確認しましょう。
大通は道路幅員が一定ですが、太くなったり・細くなったりしている道路の場合には、当然、その箇所によって認定幅員が変わって来ます。
道の幅が狭い部分と広い部分で変化している場合には、正確な認定幅員を算出することは出来ません。
その場合には例えば『10.21m~11.43m』といったような幅のある表記になります。

平面図の他に、タッチパネル端末では、『断面図』や『告示図』『標高図』などを閲覧できる場合があります。
『告示図』や『標高図』は特殊な図面で一部の道路にしか存在していませんが、『断面図』についてはすべての道路に用意されていますから、内容を紹介してゆきましょう。

断面図では、車道・歩道での幅員の内訳や舗装の材質と厚さをみる事が出来ます。

画像の丸井今井正面道路の幅員は20mですが、うち6mが歩道、12mが車道、2mが(大通公園側)歩道という内訳がわかります。
下に記載してあるのは舗装の厚さと、舗装を構成する材料、ロードヒーティングの有無などです。
ざっくり言えば舗装は厚ければ厚いほど耐久性があり、薄ければ剥がれて砂利が露出してしまう危険性が高くなります。
一般に幹線道路については舗装が厚く、住宅地の入り組んだ道路などでは舗装が薄いと言われています。

予算の関係上、舗装のランク付けがされています。
大通は交通量も多い札幌の象徴的道路ですから『高級舗装』で施工されています。

さて、ここまで道路台帳が読めれば、まぁ宅建士の最低水準程度には達していると言えるでしょう。
(まー、その最低基準を満たさない宅建士も世の中には沢山いる訳ですが。)

更に詳細な内容については、道路認定課の窓口で聞くように書かれていますが、実際には各道路センターや市役所7階の管理測量課に回されてしまう事が多々あります。
また、役所との交渉についてはある程度のコツが必要になってくる局面もありますから、専門家に依頼するのも一つの手段かと思います。

当記事は2013年09月08日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-4 地積測量図の見方


今回は『全部事項証明書』、『地図に準ずる図面』に続いて、第三の法務局資あ料『地積測量図』を見てゆきます。

用語解説でも紹介していますが、『地積測量図』は『全部事項証明書』に記載される面積の根拠となる図面です。

つまり、地積測量図は土地がその形・その大きさになった際に作成されます。
多くの場合、『分筆』または『合筆』を行った場合に作成されたものが殆どです。
『分筆』というのは一つの土地を複数に切り分ける作業(法的行為)です。
『合筆』というのは、複数の土地を一つの土地に統合する作業(法的行為)です。
登記された不動産の単位『筆』と言い、それを分けたり・合わせたりするから『分筆』『合筆』と言うのです。
他にも、登記されている面積を変更する『地積更正登記』などで作成された地積測量図もあります。

地積測量図については最新のものが取得出来るほか、過去の変遷を追ってゆくことも可能です。

今回も例に出すのは大通り北側・市役所前面の道路『中央区大通西2丁目10番1』の最新の地積測量図です。


画像をクリックするを大きなサイズでご覧いただけます。
さて、まずは画像右下にある法務局の受付印を見ましょう。

『札幌法務局 処理 37.3.12 第   号』と書かれています。
昭和37年3月12日に分筆の受付をしましたよ、という意味です。
『第  号』という部分については、本来は受付番号が記入されるのですが、
記入漏れなのか、当時の札幌市の処理で記入不要なのか、ちょっとわかりません。
1つの土地について複数の地積測量図がある場合には、この日付と受付番号が一番新しいものが有効な図面です。
平成の世になっても、昭和37年のものが最新の図面だというのですから、すごい話ですね。

このように、まずは日付を確認するようにしましょう。

次に、図面上には地積測量図には申請した人(申請人)、測量し図面を作成した人(作成者)が書かれています。
右下に記載の申請者は札幌オリンピックを誘致した札幌市の『原田 与作』市長です。
左下に記載の作成者は『札幌市技師 ○○○○』と書かれています。(公人でない為、指名は削除しています。)
過去の地積測量図には技師とか測量士といった肩書で作成者が記載されていることがあります。
現在は法改正によって、土地家屋調査士だけが、登記に使う図面を作成出来ることになっています。
この図面を作成した人、登記を申請した人を見ることで、どのような権利関係にあったのか、類推することが出来ます。

ここから図面の内容に移ります。
右下の市長の名前の下に『尺貫法による表示』とある通り、昭和41年までの図面はm単位で記載されていない事が多いです。
有名な話ですが、昭和26年に施行された計量法によってメートル法の使用が義務付けられたものの一向に普及せず、昭和41年以降、かなり強権的に移行させた経緯があります。
詳細な換算法については『尺貫法』で検索して下さい。

この土地は『B-2 全部事項証明書(謄本)の見方』で調べたように、
『昭和37年3月12日に10番という土地を10番1、10番2、10番3の3つに分けたよ』という土地で、今回紹介した地積測量図は、まさに昭和37年に分筆した際の記録なのです。
長方形だった『10番』の土地が『据置地 10-1』『10-2』『10-3』に分けられています。
それぞれの辺の長さが記載され、下の部分で面積が計算されています。
計算式はだいたい小学生レベルの加減乗除で『10-2』3畝10歩『10-3』4畝19歩となっています。
そして『据置地 10-1』は元の『10番』の面積から『10-2』『10-3』の面積を差し引いて
4反4畝という面積で計算されています。
1反≒300坪≒991.74㎡、1畝はその1/10ですから、現在登記簿に書かれている面積
『4363㎡』4.4畝×991.74㎡という換算式で計算されている事がわかります。

ここで一連の計算を見て分かると思うのですが現在の登記簿上の面積である4363㎡『4反4畝』の根拠となったのは『10番』の頃の面積からの差し引きで、昭和37年の段階で、『据置地 10-1』についての測量を行っていないのです。
これを『据置計算』といい、確かに作業は楽なのですが、誤差が大きくなってしまうので、現在では原則的に、分筆する前の土地『10番』と分筆後の土地それぞれを測量して面積を計算することになっています。

地積測量図は新しいものになるにつれ信頼性が増してゆきますが、古いものについては殆どアテにならないものと受け取って下さい。
登記全般に言える事ですが、地積測量図に書いてある内容が真実であると、公的に証明されている訳ではありません。

私は賭けてもいいのですが、この土地を現在測量すると、かなり大きな面積の誤差が発生します。
そのくらい、登記されている面積と実際の面積との相違は、不動産業者にとってはありきたりな事なのです。

その他の地積測量図では、いろいろなメモが記入されています。
『地図に記入済み』とか『住所変更』とか『○年○月○日 合筆済』とか…
更には作成した調査士のメモや法務局が後で付け足したイレギュラーな書き込みもあり、注意が必要です。

地積測量図については時代によって様式も代わり、特に古いものについてはかなり自由に作ってあるので、かなりの注意を持って利用するのがよいでしょう。

当記事は2013年09月03日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

 

B-3 地図・地図に準ずる図面の見方


『地図』または地図に準ずる図面では、土地のだいたいの形と、地番、隣接関係を調べることが出来ます。
『地図』とだけ言うと紛らわしいですから、『地図に準ずる図面』という呼称にまとめます。

『地図に準ずる図面』って何よ?という疑問については用語集を参照。

早速、図面を見てゆきましょう。

これだけではイメージが掴めないでしょうから、Googleマップと照らし合わせてみましょうか。

『10-1』が今回調べている、大通の北側部分です。
その北側が『10-3』札幌市役所の入り口付近、さらに北側『10-7』は市役所庁舎と駐車場部分です。

西側にある『9』と『10-2』は札幌大通郵便局(NTT東日本ビル)です。
東西には『道』と書かれていますね。
(『道』と書いてある部分については『A-12 登記がない・地番がない土地ついて知りたいとき』で紹介しています。)

実際の住宅地図やブルーマップと、地図に準ずる図面を照らし合わせて、所在を調べます。
1つ(=1筆といいます)の土地に複数の建物が建っていたり、1つの建物が2筆以上の土地にまたがって建築されている事も多々ありますので、注意が必要です。

そして、地図を準ずる図面を見る上での最大の注意点ですが、『9番』(郵便局)『1-7』(市役所)の線の上に記載されている『● ● ●』です。

これは『字界(あざかい)』といって住所の切れ目を表記するものです。

具体的には郵便局は『大通西2丁目』なのですが、お隣の市役所は『北1条西2丁目』なのです。
同じ区画で隣同士なのに、字(住所の区切り)が異なる事があるのです。不思議ですよね。

『字界』についてもはっきりとした決まりはなく、ケースバイケースというのが現状のようです。
区画整理を実施したせいで、4丁目のはずの区画の土地が登記記録では5丁目になっている『飛び地』があったりと、
整理したのか散らかしたのか訳がわからないような事例も結構あるのです。
このような場合、『B-1 ブルーマップの見方』でも書いていますが、ブルーマップや地番図では微妙な『字界』が間違って表記されている事があります。

公務員の皆さまにはその辺、きちんと考慮して業務を執行してもらいたいものですが、一度役所が決めた事については、現状に合わせて変更する事は難しいようです。
国の機関である法務局と、札幌市とで見解が異なる事もあり、公式な書類で住所が二重になっている例もあります。

住所の境界である『字』については、近年でも、割と曖昧な取り扱いが多いような印象を受けます。
毎度毎度で申し訳ないのですが、トラブルになった場合には個別に協議する以外の方法がないのです。
詳細な調査や問題解決の為の業務についてはプロにご依頼下さい。

当記事は2013年08月30日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

B-2 全部事項証明書(謄本)の見方


さて、『A-3 道の所有者を知りたいとき』で取得した書類の中身をもうちょっと詳しく見てみましょう。

大通の北側部分『札幌市中央区大通西二丁目10番1』の全部事項証明書の内容を一部写したものです。

全部の内容について網羅的な説明はやっていくとキリがありませんので、他のサイトを見て頂くとして、ここでは最低限の謄本の読み方と『道』を調べる為に必要な部分を解説していきます。

<表題部(土地の表示)>…上から1つ目の枠
①地番
そもそもこれが分からなければ全部事項証明書を取る事が出来ませんので、取得した時点では判明していると思いますが、この書類には 『10番』と『10番1』の2つの地番が記載されています。
左下の部分に『*下線のあるものは抹消事項であることを示す。』とある通り、
下線のある『10番』は現在無効な地番で、有効な地番は『10番1』ということです。

②地目
地目とは、その土地の用途を登記する項目です。
不動産登記法で定められた23種の地目のうちのどれかが記載される事になっています。
公道の場合は『公衆用道路』、私道の場合には『公衆用道路』『雑種地』『原野』『宅地』などが多いでしょう。
この例では、郵便局敷地になっていますね。
これは、この土地が道路になる前、札幌郵便局・電報局の敷地だったことに由来します。

古い登記には現行のルールが適用されず、修正しなくても罰則など殆どありませんので、昔のまま放置されている場合が多いです。
しかも、『郵便局用地』は不動産登記法に定められている23種類の地目に該当しない、レアな地目です。

札幌で一番有名な公道がイレギュラーの塊だったりする事からも分かるとおり、登記されている内容がアテにならない事はとても多いのです。

また『公衆用道路』という地目でも、『公道』ではない事も多々あります。
公道』か否かは、登記ではなく、各役所で確認しましょう。

③地積
これも下線があるものが、無効な内容。下線のないものが有効な内容ですから、
4363㎡が現在の登記上の面積ということになります。
宅地・鉱泉地の場合は1/100㎡未満で切捨、それ以外の場合は1㎡未満を切捨します。
この例では4363.○○○…というところを、1㎡未満で切捨しているのです。

また、この面積の計算は登記を行った時点で測量した結果に基づくもので、
現在の面積と一致している保証はどこにもありません。
最近登記を行った土地であれば信頼性は高いですが、古いものでは尺貫法からの換算なので、まったくアテになりません。
B-4 地積測量図の見方』で触れますが、4363㎡の換算前の数字は『4反4畝』です。
・・・単位からしてアテにならなそうな気配がひしひしと伝わってきませんか?

原因及びその日付
この項目には登記をした内容と、その日付が記録されています。
不動産の売買や相続、差押のほか、複数に分けたり(分筆)、1つにまとめたり(合筆)といった記録が書かれています。
この例に書いてある『①③10番1ないし3に分筆』というのは、
『昭和37年3月12日に10番という土地を10番1、10番2、10番3の3つに分けたよ』という意味です。
『ないし』は『…から…まで』という意味で、『いずれか』という意味ではありません。

その下の欄の『昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記』というのは、
紙媒体の登記記録をコンピュータの記録に移し替えました、という意味で、通常は気にする必要はありません。

<権利部(甲区)>…上から2つ目の枠
こちらは、シンプルで『昭和33年に札幌市が所有者として登記されました。』という意味です。
『移記』についても表題部の取り扱いと同じです。
『順位1番の登記を移記』と書かれていますが、この番号によっては、
昔の権利関係を知る為に紙媒体の頃の登記簿を調べなければならない場合があります。
一般の方が現在の登記内容を知りたいだけであれば、気にする必要はありません。

2つめの枠の下に『登記記録の乙区に記載されている事項はない。』と書かれている通り、
3つ目の枠『権利部(乙区)』という記載がある場合があります。
『道』の調査の場合にはあまり出てきませんが、私道の場合には、稀にみられます。
内容としては『借金のカタになっている』『担保不動産である』という記載です。
機会があれば解説しますが、今回は省略します。
私道については借金のカタになっている事、割とありますが、その解決策については機会があれば・・・

最後に、最終段落の文章がとっても大事です。
『これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。』
つまり、『この書類の内容は登記にある内容と全く同じですよ』、と保証しているのです。
現実の権利関係と全く同じですよ、とは保証していません。

登記記録と、所有者や面積、借金のカタになっているかという現状については、法務局は関知していません
ので、ご注意下さい。

さらに、インターネットの『登記情報提供サービス』で取得する登記データには、この一文がありません。
電子データについては登記内容の保証もしませんよ、という事なので、公的な手続は電子データで行えない事が殆どです。

登記の役割や効力はどんなものなのか、感覚として理解して、有効に活用しましょう!

当記事は2013年08月29日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。