旧・調9 北星置地区


当記事はこの度書き下ろしたものですが、写真は2014年の取材当時のものです。

今回紹介するのは決定番号:113『北星置地区』です。

実はこの地区、以前紹介した決定番号:調9『手稲山口地区の一部が分離して市街化区域となった地区なのです。

1つの地区計画が2つに分離される、という特殊な取扱いが執られるに至った経緯についても、紹介してゆきましょう。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。
前述の通り、元々は手稲山口地区の西側だったものが分離されて市街化区域に編入されたものです。

経緯については第55回の都市計画審議会の議事録から抜粋しましょう。
 第55回札幌市都市計画審議会議事録
 http://www.city.sapporo.jp/keikaku/info/tokeishin/documents/gijiroku55.pdf

平成12年大規模開発制度により開発許可を受ける。

平成12年12月8日、南側の商業施設群『パストラル星置』開業。

平成13年、開発業者である岩倉土地開発民事再生法の適用を受ける。
 これにより、手稲山口地区の造成がストップする。

平成16年、開発が再開される。

ホーム企画センターが北側の住宅地を『アンジェリアの街』として造成分譲。

平成22年4月6日市街化区域に編入され、同時に地区計画『北星置地区』が設定される。

・・・と、まぁ随分と波乱万丈な経緯を辿ってきた地区です。

商業施設『パストラル星置』は株式会社ラルズが土地を所有し、中核となって運営しているとの事です。

・スーパーアークス星置店(平成25年まではビッグハウス星置店)

・lala hair/海の風歯科/西松屋パストラル星置店

・カインズホームFC星置店(平成25年まではビバホーム)
・ファッションセンターしまむら星置店
・ゲオ札幌星置店 

・メガネのプリンス星置店/エンパイアークリーニング星置店

・アベイル星置店/シャンブル星置店

・ダイソー 手稲山口ショッピングタウン店/ツルハドラッグ手稲星置店
・ラーメンさんぱち星置店/auショップ星置店
北側の『アンジェリアの街』は小さな住宅街という風で、三角屋根の建物が多いように見受けられます。

この地域は穴抜き市街化調整区域としての『建物が建てられる市街化調整区域』だったものですね。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図
(この地区では解説書は公開されていません。)


決定:平成 22年4月6日の地区計画資料を基に記述しています。

今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調23 曙11条2丁目地区

当記事は2014年05月31日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調23『曙11条2丁目地区』です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

都市計画道路『曙通』に面し、医療法人福和会『札幌立花病院』を中心とする一画です。

この地区の西側、南側、北(西)側の三方は決定番号111:『手稲曙西地区』に囲まれています。

決定番号111:『手稲曙西地区』はかつて市街化調整区域だった『穴抜き市街化調整区域』で、いわゆるニュータウン『明日風のまち』です。

参考図:『手稲曙西地区』 地区計画図

星置駅徒歩33分、手稲駅までバス乗車で10分って正直どうなのか、私には分かりませんが、まー造成されてそこそこ売れているのだから住む人はいるのでしょう。

『明日風のまち』についてはそのうち取り上げるとして、『曙11条2丁目地区』はその付随的・補完的立場の地域とでも言いましょうか。
いつもより早いですが地区計画の目標を見てみましょう。
 当地区は、都心部より北西へ約13kmに位置する周辺が市街化区域で囲まれた市街化調整区域で、
 隣接する都市計画道路「曙通」や上・下水道等の都市基盤は既に整備が完了している。
 「札幌圏都市計画都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」では、
 都市の効率的な維持・整備を行うため、
 周辺が市街化区域で囲まれた市街化調整区域において地区計画制度を活用し、
 周辺市街地と調和のとれた土地利用の誘導を図っていくこととしている。
 そこで、本計画は、当地区での計画的な土地利用の誘導にあたって、
 用途地域等の指定に代わる基本的制限を定めることにより、
 緑豊かで良好な市街地の形成を図ることを目標とする。

平成22年、『手稲曙西地区』が市街化調整区域から市街化区域になったのに伴って、新たに『穴抜き市街化調整区域』になったという妙な経緯があります。

次回の都市計画決定の際に市街化区域に編入される予定ですが、オセロのようにして連鎖的に市街化区域が増えていくというのは、ちょっとどうなの、と思わないではありません。

地区計画は『一般住宅地区』『医療・福祉地区』『沿道地区』の3つに区分されています。
『一般住宅地区』と『医療・福祉地区』は『第一種低層住居専用地域』に準じた、『沿道地区』は『近隣商業地域』に準じた建築制限となっていますが、いずれの地区においても病院や介護施設、老人ホームなどの建築が可能になっています。

『医療・福祉地区』にはすでに『札幌立花病院』がありますが、現在更地となっている土地には同病院がサービス付き高齢者向け住宅・施設などの医療関係施設を建設するようです。
『札幌市都市計画審議会』の議事録でも触れられていますが、この地区計画自体が、この建設計画との兼ね合いによるものですから、それ以上、今後の展開などについても話しようがない、というのが本当の処なのです。

『一般住宅地区』に定められている土地には、製造業の事務所や一般住宅が立ち並んでいます。

地区の南端(地図下端の鋭角的な部分)には多数の広告看板があります。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。


(この地域については解説書の公開はありません。)

決定:平成22年6月9日 変更:平成25年2月28日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調22 前田公園南地区

当記事は2014年05月10日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調22『前田公園南地区』です。

この地区は道道44号線『石狩手稲通』に面し、手稲郵便局前田公園が近くにあります。

手稲郵便局は郵便業務24時間受付の『ゆうゆう窓口』がある旧・本局です。
(郵政民営化により、『本局』という名称は使用されなくなりました。)
前回の『調20 新川北地区』同様、かなり注目度の高いエリアですね。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップではこんな感じ。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より北西へ約11kmに位置する周辺が市街化区域で囲まれた市街化調整区域で、
 隣接する都市計画道路「石狩手稲通」および「稲山通」や上・下水道等の都市基盤は既に整備が完了している。
 「札幌圏都市計画都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」では、都市の効率的な維持、整備を行うため、
 周辺が市街化区域で囲まれた市街化調整区域において地区計画制度を活用し、
 周辺市街地と調和のとれた土地利用の誘導を図っていくこととしている。
 そこで、本計画は、用途地域等の指定に代わる土地利用制限を定めることにより、
 当地区で計画されている開発事業の事業効果の維持増進や計画的な土地利用の誘導を行い、
 緑豊かで良好な市街地の形成を図ることを目標とする。

市街地の中にポツンと調整区域がある『穴抜き市街化調整区域』ですね。
次回の都市計画の見直しの際、市街化区域に編入される予定です。

上の用途地域図を見ると、かなりポツンとしている事がわかるはずです。

こういった『穴抜き市街化調整区域』は他にも
新川北地区』、『清田・新栄地区』、『曙11条2丁目地区』があります。

『穴抜き市街化調整区域』の詳細については『新川北地区』の記事を参照して下さい。

実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

(この地区計画には解説書の公開はありません。)

さて、この『前田公園南地区』の一番の特徴は、地区計画に3つの色分けがされている点です。
(市街化区域内の地区計画ではよくあるパターンなのですが、市街化調整区域では珍しいです。)
『低層住宅地区』『機能複合地区』『沿道地区』の三種類があり、
それぞれに建築出来る建物の種類は異なります。

特に『沿道地区』は、『近隣商業地域』に準じた取扱いとなっており、比較的大きな店舗が建築可能です。
この一画はすでにオリックスが『クロスガーデン手稲前田』の名称で、5店舗を建設し、
平成23年9月23日にグランドオープン、現在も各店舗が営業しています。

この土地は、個人所有で、オリックスが定期借地契約を結んだとの事です。

過去の航空写真を見ると何もない野原で、それが急に開発された為、インターネット地図で航空写真を見ると野原に店舗があるような表示になるのがシュールですね。

このほか、北側については現在更地ですが、『低層住宅地区』として、住宅街として分譲されていく見込みです。

また、
『低層住宅地区』の中に一本、『区画道路』として公道が出来る予定になっています。

手前の道路の延長線上に真っ直ぐ道路が走る予定になっています。

同様の新興住宅街である『明日風』『星置』と比較すると、手稲駅から徒歩15分と比較的中心部にあり、周囲の小中学校や商業施設も充実しているため、かなり暮らしやすいのではないでしょうか。
(まぁ、現在分譲されていませんから、結局のところ価格次第と言わざるを得ませんが…)

北側には、札幌市営の前田公園団地があります。
そこまで古い団地ではありませんが『団地』という単語に抵抗がある方(たまにいます)は、避けた方がよいかもしれません。

決定:平成22年4月6日 変更:平成25年2月28日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますの で、ご注意下さい。

調9 手稲山口地区

当記事は2014年06月08日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調9『手稲山口地区』です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

今回が現在、市内18か所指定されている市街化調整区域の地区計画の最終回となります。
なぜ最後に紹介する事になったかというのには明確な理由があり、それは単純に私があまり書きたくなかったから、という一点に尽きます。

というのも、この地区は現在開発・分譲の最中でして、札幌市が主導している東雁来の『ウェルピアひかりの』と違い、民間の営利企業が行っている開発なので、状況が確定しておらず、大変書きづらいのです。

別に何だという事はないのですが、褒めても貶しても色々面倒くさそうなので、ここまで書かずに来ました。

とはいえ、『褒める』『貶す』というのも適切な表現ではありません。
どの土地についても、地盤や駅からの距離や治安や通学利便や住宅の密集度など、色々と特徴があるもので、それらの特徴を無視して不動産とその財産価値を語る事などは不可能なのですから。

ただまぁ、色々としがらみもあるのが世の中というヤツでして、そういうしがらみの外側で自分の信じる通りに生きていたいというのが私のささやかな願いなのです。

さて、事実関係を列挙しつつ現地の写真を見てゆきましょう。
この地区は北海道開拓から平成に至るまで、畑や果樹園とされていたようです。
比較的最近の航空写真でも、開発がされている様子は見られません。
平成12年に「市街化調整区域における大規模開発制度」により開発許可を受け、開発事業が始まりました。
札幌市としては初となる大規模開発制度の利用だったようです。
ちなみに、この制度のうち市街化調整区域に関する部分は平成18年の法改正により廃止となっています。

翌年の平成13年5月17日にはこの地区計画が決定されました。
地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より北西約14kmに位置し、
 都市計画道路「下手稲通」をはさんで既成市街地に接する市街化調整区域内にあり、
 現在、民間の宅地開発事業が進められている。
 そこで、本計画では、当該事業の事業効果の維持及び増進を図り、
 敷地の細分化などによる居住環境の悪化を未然に防止し、
 緑豊かでうるおいのある良好な市街地の形成を図ることを目標とする。

当初は現在の決定区域の倍に近い面積がありましたが、濁川より東の部分については平成22年4月6日に市街化区域に編入され、同時に決定番号:113『北星置地区』として新たに市街化区域内の地区計画が決定されました。

何故その時に全体が一度に市街化区域に編入されなかったかというと、これは実に単純な話で、西側が市街化されていなかったから、なんですね。
既に宅地造成が完了し、市街化されている東側の部分のみが市街化区域となった訳です。

その後平成25年10月に地区内の南・西側の『第一工区』の造成が完了し、分譲が開始されています。
そして平成26年、西端の欠けた部分が区域に含まれました。

欠けていた部分については所有者が農家の方で、宅地開発に合意しなかった為、
このような状態が続いていましたが、昨年に入ってから、ようやく了承が取れたという経緯です。
当初地区計画決定時の第4回 札幌市都市計画審議会 議事録(平成12年10月31日)にはこのように書いてあります。
 この穴抜きの部分につきましては,今,委員もお話のように,
 一体的な土地利用を図るということでここまで調整をしてきました。
 ただ,ここの土地所有者が,調整区域の開発行為を許可する時点
 ―先ほどことしの8月というお話をしましたが,
 この時点で実は営農をしておりまして,
 今すぐに結論は出せない
というようなお話をされました。
 営農しているというのは,いわゆる作付をして秋に収穫をしたい
 その収穫が終わってから協議をさせていただきたい
 実はこういうお話をされた経緯がございまして,
 このたびの地区計画の事前説明の段階では除外をさせていただいたということでございます。
 そういうことで,この収穫も既に終えまして,
 先日から協議を再開をしているというお話を開発者の方からお伺いしております。

 当然,今後さらに協議を重ねていただきながら,協議が調った時点では,
 できるだけ早い時期に,整形といいますか,
 そこも取り込んだ形で地区計画の区域変更をするよう進めてまいりたい,
 現在このように考えております。

平成12年の収穫が終わってから…というお話から足掛け15年も粘った訳です。
土地に関してはよくある話ですが、やっぱりスゴイ話です。

下手稲通沿いの部分については、商業施設が建設される予定のようですが、現在は更地です。
平成23年9月30日付の北海道建設新聞の記事を引用しましょう。
 http://e-kensin.net/news/article/6837.html
 岩倉土地開発(本社・苫小牧)と、中山組(本社・札幌)の子会社で不動産業の三共産業(同)が、
 札幌市内の手稲山口地区で進めている大規模開発で、
 約3万4000㎡の商業用地を確保している。
 2012年春までに出店する店舗を固め、その後着工する考えだ。
 開発区域は、札幌市手稲区手稲山口465の1ほかの下手稲通沿いで、
 JR星置駅から1㌔程度離れた所。岩倉土地開発は10年ほど前、
 一帯の約28万㎡の開発許可を得て、濁川を挟んで西側のエリアを開発した。
 ホームセンターや食品スーパー、衣料品店などが立ち並んでいる。
 今回は東側エリアのうち、下手稲通に面した9万6403㎡を手稲山口東第1工区として、
 三共産業との共同事業で実施。中山組の設計施工で土地造成に着工した。
 敷地内には、宅地用地3万2668㎡のほか、商業店舗用地3万3882m²、
 業務施設用地3029㎡などを確保。
 商業用地には、スーパーマーケットや家電量販店、飲食など
 5―10店舗程度の誘致を見込む。
 業務施設用地では、社会福祉施設の設置を計画している。
 関係者によると、「商業スペースは、来春までに固めて着工したい」としている。
北・東の部分は現在農地となっており、平成27年度以降に『第2工区』として宅地造成が行われる予定とのことですが、民間の事業ですから、実際の施工開始は現在分譲中の『第1工区』の売れ行き次第、というところでしょうか。

さて、この地区計画は三方を市街化区域に囲まれた市街化調整区域ですが、市の文書の中ではいわゆる『穴抜き市街化調整区域』とは呼ばれていません。
民間の宅地開発事業によるものという事情もありますが、市街化区域に編入されるのは、『次の見直しの際』ではなく『実際に市街化が完了してから』の予定となっています。

実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。


(この地区計画について、解説書は公開されていません。)

【2014年06月20日追記部分】
このブログではこれまでに様々な都市計画、道路計画を紹介してきましたが、進行中の計画である場合には、当然その記事を書いた後も状況が変わっていく訳です。
そのような地域については業務に直接関係のない地域については、限界がありますが、出来る範囲で追記を加えられればと思っています。

今日は『調9 手稲山口地区』について少し追記します。
散々『面倒くさそうだから書きたくない』とボヤいた挙句、最後に回した地区計画です。

市道『下手稲通』沿いに店舗が出来る事は紹介しましたが、具体的な店名は挙げませんでした。
ブログの記事を書いている段階で、出店店舗は既に決まっていましたが、色々と気を使って経緯や背景事情を書いているうちに、店名を記載するのを忘れていました。

出店するのは『スーパーセンタートライアル星置店』で、5月頭から着工しました。
平成26年2月4日付で、札幌市からも大規模小売店舗の公告が出ています。
それによるとオープンは平成26年9月24日を予定しているようです。
また、トライアル予定地の西側についても、5月下旬から工事が始まっています。
建築主は『日本マクドナルドホールディングス株式会社』
それにしても建築現場の近くでは堆肥というか、飼料の臭いがプーンと漂ってきて、その土地の歴史は『土』に色濃く残るものだなぁと実感しました。

タイミングはずれるかもしれませんが、休日に予定が合えば、今後も寄ってみます。

【‎2014‎年‎04‎月0‎7‎日追記部分】
二店舗とも、無事に開業したようです。この辺も10年で随分便利になりましたね。

決定:平成13年5月17日 変更:平成26年2月18日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。