A-3 道の所有者を知りたいとき


道路や空き地について、『所有者を知りたい』という調査依頼を受けることは、不動産業者にとっては日常茶飯事です。

『道』についてのトラブルは、責任者(=所有者)に文句を言いたいというのが人情ですからね。
身の回りの道(土地)の所有者を知りたい時には法務局に行く事をお薦めします。
(インターネット経由でも請求可能ですが、事前にソフトウェアのインストールなどが必要です。)

どの法務局に行くか?という事ですが、その地域を管轄する法務局へ行く事をお薦めします。
原則的に、全国どこの法務局でも全国各地の登記情報を取得出来るのですが、
その道の『地番』がわからないと、所有者を調べる事が出来ません。
『地番』とは『住所』とは異なる、法務局での土地の登録番号です。
管轄法務局では『地番図』『ブルーマップ』が閲覧できるので、『地番』を調べる事が出来ます。

札幌市内の法務局の管轄と地図はこのようになっています。

<札幌法務局の管轄>
本局    管轄:中央区

南出張所  管轄:豊平区、南区、清田区

北出張所  管轄:北区、東区、石狩市


西出張所  管轄:西区、手稲区


白石出張所 管轄:白石区、厚別区、北広島市


法務局に行く時の持ち物としては、印紙代(現金)と、住宅地図のコピーなどを用意しましょう。
身分証明書などは必要ありません。

①地番を調べる
いわゆる住所(住居表示)と登記で使う地番は多くの場合、異なります。
管轄法務局であれば『ブルーマップ』を確認して、大体の位置を特定しましょう。
具体的な見方は『B-1 ブルーマップの見方』で紹介しています。


【ブルーマップ】

【地番図】

法務局では、管轄地域の『ブルーマップ』『地番図』が写真のように置いてあります。
(ブルーマップについては札幌市すべてのブルーマップがそろっている事が多いようです。)
もし置いてある場所が分からない場合には、窓口に聞いてみましょう。

ブルーマップでは一般に道の地番が書かれていませんので、地番図と照らし合わせて、道の地番を確認します。
『地番図』『道』とだけ書かれていて『地番』がないものは、『赤道』『赤線』という国有地です。
『赤道』の場合には、無条件に国有地になりますので、以下の手順は不要になります。、

②書類を請求する
 先ほど調べた地番について、このように請求します。
これは『中央区大通西2丁目10番1』の土地の登記の内容を確認する場合の申請書です。
(書き方についても、分からなければ窓口で教えてもらうことが出来ます。)

『共同担保目録』など、チェック欄があるので、一応チェックしておきましょう。
(『共同担保目録』というのは『一緒に借金のカタになっている物リスト』です。)
道の所有者について調べる限り、あまり気にする必要はありません。

 印紙の貼付覧がありますが、貼らずに窓口に提出しましょう。
(少なくとも私は札幌市内の各出張所で、印紙を貼らずに提出して注意されたことはありません。)

③印紙は窓口に指示された通りに買う
申請には印紙が必要になりますが、事前に買っておく必要はありません。
札幌市内のどの法務局にも、印紙売り場がありますし、請求してから必要な印紙代が変更になったり、法改正で手数料が変更になる場合も多いので、窓口で金額を指示されてから、その指示通りの収入印紙を買いましょう。
(登記印紙は平成23年に廃止され、収入印紙に一本化されています。
以前買った登記印紙をお持ちの方は、引き続き使用することが出来ます。)

④書類を確認する
窓口の指示通りに印紙を貼った申請書を提出すると、全部事項証明書(謄本)を手渡されます。
実際の全部事項証明書はこんな感じです。(緑色の複製防止用紙に印字されています。)

面積や地目、所有者などが記載されていますが、今回見るのは『甲区(権利に関する事項)』です。
全部事項証明書の内容については『B-2 全部事項証明書(謄本)の見方』で取り上げます。
 この部分に登記上の所有者の住所氏名が記載されています。

 公道であれば『札幌市』『北海道』『財務省』『国土交通省』などが多いでしょう。
道が登記された当時の名称で記載されていますから、『大蔵省』『建設省』などになっている場合も多々あります。

 『位置指定道路』の場合、『私道』の場合には、 個人の住所氏名が記載されます
例えば『北海道札幌市中央区北1条西2丁目1番1号 札幌 太郎』といった塩梅です。

 この住所は登記した当時の住所氏名であって、現在の住所氏名とは限りません。
むしろ、転居などの住所変更は反映されていない事の方が多いようです。
また、当の登記名義人が既に亡くなっていて、所有者自体が変更となっている場合も多々あります。
(結婚・離婚などで登記名義人の姓が変わっている場合もあります。)

⑤所有者を知ってどうするか?
 所有者が国や都道府県、市町村であっても、それがイコール公道という事にはなりません。
 登記上の地目が『公衆用道路』であっても同様で、『公道』でない『公衆用道路』は多く存在しています。
 認定道路かを確認しなければなりませんし、道の管理者を特定しなければなりません。

 道について、法務局で色々と問い合わせをして、たらい回しにあっている方をよく見かけますが、法務局はあくまでも登記された内容だけを知る事が出来る窓口です。
 (すでに名称が変わった、『大蔵省』『建設省』などが登場するのもそのためです。)

このように、道について登記から分かる情報は、実はそんなに多くなかったりします。

⑥もし間違ってしまったら…
 もしも違う場所の登記を間違って受け取ってしまった場合には、その日のうちであれば手数料の返還を受けられる事が大半ですので、窓口に相談してみましょう。
 翌日以降は手数料の返還を受けられませんので、必ずその場で内容を確認し、わからない部分は係員さんに確認しましょう。

当記事は2013年08月26日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

A-2 公道(と特殊な私道)の詳細が知りたいとき


さて、前回『A-1 道が公道か私道か知りたいとき』で、その道が公道であるのか、市道であるのかを知ることが出来ました。

では、その市道がどのようなものなのか、詳細を調べる方法を紹介します。
用語解説のページでも紹介していますが、道路法第28条の規定によって、公道ではその管理者が必ず『道路台帳図』を作成する事になっています。

『道路台帳図』を取得する為には、その『道』がどんな『道』なのか、まず確認する必要があります。
『国道』以外の道については、札幌市役所に確認に行きましょう。


市役所の窓口と、問い合わせの具体的な内容を例示してみました。
調査に行った人の言葉を緑、窓口の対応例を紫で表記しています。

①市役所2階 道路確認担当課(011-211-2864)
「道路の確認をお願いします」
(道について知りたい旨を伝えれば、目的は分かってもらえると思います。)
「どうぞ」
「住所は中央区大通西2丁目です」
(条丁目を言うと、ディスプレイに地図を表示してもらえます)
「このあたりですか?」
「はい、(指をさして)この道です」
「分かりました。この道は…」

A『道道、市道』道路番号10-2・大通北線です。幅○m、事業計画はありません。』
B『国道』『これは国道なので、北海道開発局の管轄になります。』
C『特殊な私道』『〇〇〇〇道路第〇〇〇〇号ですね。図面は必要ですか?
D『その他』『これは公道ではありませんね。位置指定もされていません。』

…という風に答えてもらえます。(後半部は返答の一例です。)

②-A 道道、市道の場合→市役所6階 道路認定課(011-211-2457)
道道、市道といった公道だった場合には、市役所6階に行きましょう。
以前は職員に依頼してブループリントの台帳を持ってきてもらい、それをコピーするという形式でしたが、平成28年1月18日からタッチパネル端末を自分で調査して調べる形式に改められました。

道路台帳図の取得方法については別記事『A-6 市道・道道の詳細を知りたいとき』で紹介しています。

タッチパネル端末ではこのような図面を取得する事が出来ます。
うーん、ちょっと見づらいですかね。
角度は1°ずつ、縮尺は500分の1と1000分の1を選択出来ますが、建物の形などは記載されておらず、見づらさは否定できません。

6階の窓口で職員に依頼をすると、平成28年1月以前に利用していた古い様式の道路台帳図の写しの交付を受ける事が出来ます。

こちらは、建物や道路内の電柱、排水口などが記載されており、非常に分かりやすい図です。
ただし、あくまでも旧式の図面ですから、最新の状況は反映されておらず、道路の内容や幅、周辺の状況は現実と異なっている可能性があります。

新様式も旧様式も代金は1枚20円。
また、「現在の道路幅と将来の道路計画での道路幅が違う」事もあります。
基本的には2階で道路の確認をした際に、道路を広げる予定がある場合には、教えてもらえます。
くれぐれも図面の数字だけ見て内容を早合点しないようにしましょう。

道路の境界点がどこにあるのか、拡幅計画の詳細を知りたい場合の方法は、また別途記事を用意します。
大通を例とした具体的な資料の見方は『B-5 道路台帳図の見方』で解説します。

②-B 国道の場合
国道の場合には、札幌市の管轄ではなく、北海道開発局の管轄になります。
最初から国道と分かっている場合(が殆どだと思います。)には、わざわざ市役所に行く必要はありません。
国道の場合の問い合わせ窓口、問い合わせ方法は『A-7 国道の詳細を知りたいとき』で紹介します。

②-C 位置指定道路の場合
お調べの道が『位置指定道路』等の特殊な私道だった場合は、
2階の同じ窓口で『位置指定図』をもらう事が出来ます。
図面は1件の申請につき何枚でも300円。大体は2枚で済むので、若干お高いですね。
この図面では『位置指定道路の範囲』『位置指定を申請した人』『位置指定された時期』などが分かります。

こちらも以前は手書きの古い図面が大半を占めていましたが、平成25年から札幌市が調査・再作成した図面に次々と置き換えられていっています。

・・・と、まぁ結構見栄えの良い、しっかりとした図面が用意されています。

昔のブログでは、『位置指定図なんて全然アテになりません』というような事を書いていたのですが、5年も経たないうちに状況が大きく変わってしまいました。
ちなみに、全然アテにならない昔の図面というのはこんな感じです。

ほら、アテにならないでしょう?

次々と新しい位置指定図に置き換えられていますが、権利関係が複雑な物など、まだすべてが置き換えられた訳ではないようです。
このような図が出て来た場合には、不動産業者や土地家屋調査士に調査を依頼した方がよいでしょう。

②-D その他
一般の方が『道』と認識している土地が、市役所2階で登録されていない事があります。
『私道』や『河川区域』である事が考えられます。
『法43条ただし書の空地』などという、呪文のような言葉を言われる場合も…
特例的に建物が建てられる取扱もありますがとりあえず『公道』ではありません。

法務局で所有者を調べて、所有者が『札幌市』であれば『市有地』です。
市役所14階の管財課で、どの部署が所有している土地なのかを調べてもらえます。
各部署へ出向いて、その土地の管理状況について教えてもらう必要があります。
 『北海道』『国』の場合でも、市が管理している事が多くあります。
とりあえず市役所で聞いてみるのもよいでしょう。
ちょっと無責任でしょうか。公道でない公有地の管理についてはケースバイケースで、はっきり言えない部分があるのです。

道路の所有者については『A-3 道の所有者を知りたいとき』、公道の管理者については『A-4 公道の管理者を知りたいとき』で紹介しています。

法務局で所有者を調べて、所有者が個人や会社の名前であれば『私有地』です。
通行地役権』『囲繞地通行権』などで通行する事が出来る場合もありますが
できれば利用・通行しない方が懸命だと思います。
私道の場合の取り扱いは『A-5 私道の管理者を知りたいとき』で紹介しています。

当記事は2013年08月31日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

A-1 道が公道か私道か知りたいとき


札幌における不動産調査の実務を不動産業者以外の方にも分かりやすく紹介した、というのが、平成24年に開設した旧ブログが評価された点です。
今回、新たにサイトを立ち上げるにあたって、最新の情報を反映した上で、『不動産調査の実務』というカテゴリを設け、再掲載することとしました。

まず、道について調べる時に重要となるのは、その道が『公道』なのか『私道』なのか、という事です。
用語の欄で説明した通り、私道とは『公道でない道』ですから、つまりは『公道か否か』を調べるのが最初のステップ、という事になります。

その道が『公道』なのか否かを調べるには、市役所の窓口で問い合わせるのが本来の形ですが、札幌市の場合には窓口に出向かずに、インターネットである程度の情報を収集出来ます。
東京都特別区など一部の自治体でも同様のサービスはありますが、札幌市のものは特によく出来ていて、使いやすいと思います。

札幌市 都市計画情報提供サービス
https://www.city.sapporo.jp/keikaku/web-gis/

道路以外の土地についても建築基準法や都市計画法に関する制限を確認する事が出来ます。
ただし、下調べとしては良いのですが、窓口に出向いて実際の資料を見ないと大きな落とし穴に嵌ってしまう可能性がありますので、ご注意を。

以下に実際の操作画面のキャプチャを例示し、操作方法を説明します。
著作権法上の引用の規定に基づくものであり、著作権を侵害する意図がないことを申し添えます。

①URLを開くと説明や免責事項が書かれていますので、一度目を通してからページ最下部にある『同意する』をクリックします。

②色々な方法で検索する事が出来ますが、『住所から検索』をお勧めします。
区・字・丁目を選択肢から選んで、『決定』をクリックします。

③最初に表示される地図はかなり見づらいはずです。
 地図の下の縮尺を『1/5000』から『1/2500』へ変更し、
 左側の『地図の設定』を『認定道路』にすると、かなり見やすくなります。

④認定道路(≒公道)が青い線で表示されます。
調べたい道をクリックしましょう。

⑤画面左側に道路の番号と名称、『認定幅員』が表示されます。
ただし、1本の道の途中で道路の幅が変化している場合には、その振れ幅を記載しているので注意して下さい。
画面では道路幅員として10.91m~85.54mと表示されています。

土地と道路が本当に接続しているのか、道路の形はどうなっているのか、
幅が一定でない場合の、実際の認定道路幅員については、市役所で確認する必要があります。

また、札幌市の管理する道路のみ表示されるシステムですので、市道と道道の場合は幅を知る事が出来ますが、国道の場合にはを知る事は出来ません。
ただ、今回のテーマは『公道かどうか』を調べることですから、十分に用は足りていると言えます。

ちなみに、地図上で青が道道と市道、黄色が国道ですが、他にもこんな表示があります。

平成26年3月24日のシステム更新によって、公道以外も表示出来るようになりました。
調べ方についてもお知らせしましょう。

③で『認定道路』と設定した部分を『指定道路等』で設定します。
すると、画面のように、橙色、黄緑色、水色の線が表示されます。
ただし、当然位置指定道路等が地図上にない場合には表示されません。
また、『指定道路等』を選択中には、公道をクリックしても情報は表示されません。

あとは同じように橙色、黄緑色、水色の線のうち調べたいものをクリックすると、指定道路等の情報が表示されます。

これらの『指定道路等』は、いずれも公道ではありませんから、注意して下さい。

また、道路以外の土地などについても、クリックをすると都市計画法などの制限を見る事も出来ます。
地盤や山崩れなどの災害関係の情報が掲載されているので、参考になると思います。

余談ですが、南区にある私の実家は『土砂災害危険区域』に指定されていて、評価額が落ちる要因になっています。
ほかにも『出水のおそれのある区域』『第○種災害危険区域』などの指定があり、
北区、東区、白石区、手稲区等に土地をお持ちの方は地盤について調べるとちょっとガッカリしてしまうかもしれませんね。

それでも、そういった区域に指定されている事を知っているか否かが、将来的な展望に大きな影響を及ぼすことがありますから、出来る限り調べておくようにしましょう。

当記事は2013年08月23日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

『道』に関する12の用語


『道』に関する用語の解説をまとめました。
旧ブログでは1ワード1記事でしたが、思い切ってまとめ、単語ごとにリンクを貼る形式としました。

索引
公道】 【私道】 【位置指定道路】 【登記】 【全部事項証明書】 【地図・公図・地図に準ずる図面】 【地積測量図】 【道路台帳図】 【位置指定図】 【通行地役権】 【囲繞地通行権】 【幅員

 

【公道】(こうどう)
道路法』で国や自治体によって指定された道路を指します。
札幌市にある公道は『高速道路』『国道』『北海道道』『札幌市道』の4種類です。

基本的には誰もが通行出来る道路ですが、一部には自動車が通行出来ない道路や舗装がされていない道路も残っています。
また、公道だからといって全てに除雪が入っている訳ではありません。

 

【私道】(しどう・わたくしどう)
公道』ではない『道』のうち、国や自治体以外の、民間の個人や法人が所有する『道』です。

 不動産流通上は『通路』と呼んだりもします。
『市道』と区別する為に『わたくしどう』と言う事もあります。
(『市道』は『いちどう』と言う方もいますが、私は『札幌市道』と言っています。)
具体的に『こういう条件を満たせば私道』という決まりはなく、定義は慣習的なものです。
通路として長年使われていて、砂利やアスファルトなどが敷設されており、車両が通行している『私道』もありますが、あくまで私有地ですから、『位置指定道路』の指定や『通行地役権』の設定がない場合には、原則的に他人が通行してはいけません。
建物が建っていない土地の通行について、具体的な罰則を受けたという話はあまり聞きませんが…
何か構造物を設置したり、いつも無断駐車などをしていると大きなトラブルになります。

 

【位置指定道路】(位置指定道路)
『公道』に接していない(=建物が建てられない)価値の低い土地を、建物が建てられる価値のある土地にする、魔法の道路です。
 札幌市(特定行政庁)に建築基準法に基づく届出を行い指定を受けると、建築基準法では同じ幅の公道とほぼ同じ扱いとなり、建物を建築する事が出来るようになりますが、あくまでも『私道』ですから、管理責任は札幌市ではなく、土地の所有者にあります。
(除雪、アスファルト舗装、上下水道やガスの配管、不法投棄など…)指定を受けた道 路は、通行の制限をしてはならない事になっていますが、自動車の通行について制限してもよいという判決も過去に出ており、一部には実際に車止めなどが設置されている位置指定道路もあります。
他の頁でも触れていますが、最終的な判断はケースバイケースです。万全を期すためには、位置指定道路の土地の持ち分を取得していれば、自動車の通行や維持管理についてもある程度融通が利くようになります。
持ち分を取得している場合でも、上下水道やガスなどの配管工事で、道路の掘削が必要となる場合には、他の共有者の掘削許可を取らなければならない場合があり、その際に他の共有者から礼金を要求される事もあるようです。
『お互い様』で済ませられればいいのですが・・・また、札幌市の除雪もありませんので、札幌では位置指定道路に係る除雪のトラブルは大変多くなっています。
札幌市の指定の手引きでは『将来にわたり適切に維持管理をしていかなくてはなりません。』とありますが、一度指定してしまったものに対する行政からの指導はまったくと言っていいほど行われていません。
そのような事情も鑑みて、一般に流通している物件も、公道に接しているものより位置指定道路に接しているものの方が割安な価格設定になっています。ほとんどの場合、通行料は発生しませんが、使用料や維持管理費用を求められる可能性もゼロではありません。
位置指定道路が悪という訳ではありませんが、公道と等価値ではない、という点は留意して下さい。

 

【接道義務】(せつどうぎむ)
土地が『建築基準法上の道路』(≠公道)と接している長さや、その道路の幅によって建築できる建物の大きさや形に違いが出てきます。
『建築基準法上の道路』に接していない土地では原則、建物を建築する事が出来ません。
(幅員4m以上の道路に2m以上接することが要件になっています。)建物の建てられない土地は、市場価値が著しく低いので、不動産業界では『土地の価値は道の価値』とも言われています。
税務や土地評価で利用する『路線価』も同様の考え方を取っており、より幅の広い・利便性が高い道路と接している土地ほど、高く評価されます。
場合によっては、『建築基準法上の道路』に面しない場合でも特例として建物を建築できる場合が、これは例外中の例外と言えるでしょう。

 

【登記】(とうき)
『不動産登記』とは、その土地の面積や所在、所有者などを記録した書面を法務局が保管し、誰でも見られるようにする制度で、土地の権利関係の整理や安全で円滑な不動産取引を目的として定められた制度です。
このブログでは土地の『不動産登記』を単に登記と呼びます。(ほかには商業登記などがあります) 具体的に法務局に保管されている書類の写しとして交付を受けられるのは『全部事項証明書』『地図に準ずる図面』『地積測量図』などです。よく誤解があるのですが、『登記簿に書かれている内容のすべてが真実ということを国が保証している訳ではない』事に注意して下さい。登記簿に書いてある事は『だいたいそうらしいけど、本当の所はわからない』というのがぶっちゃけた所です。
特に、権利関係の登記は義務ではなく、『他の人にこの土地が自分のものだと分かってもらう為にする』ものです。
しつこいですが、役所が保管しているものですが公に認められたものではない(公信力がない)という事は、くれぐれも肝に銘じて下さい。面積や所有者など、間違った記載内容も往々にしてありますし、間違っていたとしても、法務局は責任を負ってくれません。 自分で書いていて、本当にこれで安全で円滑な不動産取引が出来るのか分からなくなってくる文面ですが、だからこそ、不動産のプロである宅建士が必要なのです。
取引の際には不動産の権利証や本人確認書類、実地調査などを組み合わせて、慎重に確認をしてゆく必要があります。
 

【全部事項証明書】(ぜんぶじこうしょうめいしょ)
登記簿に記録されている内容の全部を写した証明書ですよ、というものです。
(現実の所有者、面積、権利関係などの内容の証明書ではありません。

いわゆる『登記簿謄本』(トウキボトウホン)です。平成16年に不動産登記法が改正され、この呼び名に改められました。
ただ、全部事項証明書というと長くて言いづらいので、業界では単に『トーホン』と呼ぶ方が多いようです。

書かれている内容全部ですから、過去に誰が所有していたなどの、過去の出来事も記載されています。
ほかに現在事項証明書や所有者事項証明書などありますが、これらは一部を抜粋した証明書(登記簿抄本)ですよ、ということです。
ちなみに『謄本』が全部の写し、『抄本』が一部の写し、という意味です。
窓口申請の場合は、1通600円の手数料がかかります。
申請料は時代によって変遷しており、私が大学生~新社会人の頃は一番高く、1通1000円でした。(登記のコンピュータ化・オンライン化に費用がかかった為だと言われています。)

 

【地図・公図・地図に準ずる図面】(ちず・こうず・ちずにじゅんずるずめん)
一般用語としては馴染み深く、よく目にしている『地図』ですが、不動産登記法上の『地図』を見たことがある人は、あまりいないはずです。

 登記法上の『地図』は正確な測量に基づいて、土地の所有者の確認を得た図面を言います。
平成16年改正の不動産登記法で定められたもので、札幌市では現在順次作成中です。

まだ作成している最中ですから、法務局に行っても『地図』が作成されていない場合の方が多いのです。
その代わりとして存在するのが『地図に準ずる図面』です。(これを『公図』と呼ぶこともあります。)
法務局で窓口申請の場合は、450円の手数料がかかります。

『地図に準ずる図面』は、全国的には明治6年~14年に行われた地租改正事業の際に作成された地図を元に作成されたアバウトな図です。
その頃、北海道は開拓真っ只中ですから、大半はもう少し時代が下ってから作成されていますが、アバウトである事に変わりはありません。
『地図に準ずる図面』は、おおまかな位置関係と地型を表示するもので、必ずしも正しい記載内容ではありません。

アテにするのはだいたいの位置関係と地型だけにしてください。
『地図に準ずる図面』に記載されている内容を全面的に信じると、トラブルの元になります。

また、地型だけを見ると『道のような形の土地』がある場合もありますが、
その『道のような形の土地』が本当に『道』なのかは、『道路の内容を知りたいとき』で確認しましょう。

地図に準ずる図面の具体的な見方については『0402 地番図・地図に準ずる図面の見方』で紹介しています。

 

【地積測量図】(ちせきそくりょうず)
地積測量図』とは、その土地の形や面積とその計算根拠が記載された図面で、
法務局で取得することができます。
窓口申請の場合は、450円の手数料がかかります。

地積測量図は作成された年代によって記載内容がかなり違います。
古い測量図になると、測量については素人の私が見ても『おいおいアバウト過ぎるだろ』と言いたくなるような測量図がたくさんありますが、
こちらも法改正と測量技術の進歩によって近年の物になるにつれ、GPS等を利用した、高度な図面になっていきます。
(一般に、昭和52年9月3日以前の地積測量図は信憑性が低いと言われています。)

法務局に保管されていますが、殆どの場合、元になったのはあくまで民間の土地家屋調査士が作成し、提出した書類です。
ですから、登記全般に言えることですが『間違いがないと公に認められたものではない』という事を肝に銘じて下さい。

過去に土地家屋調査士が計算した面積でも、改めて測量すると、誤差があることもままあります。
近年の測量であれば、電子機器を利用して一定の測量方法に従って測量しますので、どの土地家屋調査士さんが行っても、ほぼ同じ面積になります。

その土地の精密な境界線の位置などを知りたいときは、土地家屋調査士などに測量を依頼する必要があります。

地積測量図の具体的な見方については『0403 地積測量図の見方』で紹介しています。

 

【道路台帳図】(どうろだいちょうず)
『道路台帳図』は公道の所在、範囲を記載した図面です。
道路法第28条によって道路管理者が作成することを義務付けられています。
つまり、公道であれば必ず道路台帳があるということです。

札幌市の場合は、国道以外の公道(道道と市道)について6階『道路認定課』で交付を受けられます。
台帳のコピーは1枚20円。具体的な取得方法は『0302 道路の内容を知りたい時』を参照して下さい。
札幌市以外の自治体の場合は、市道のみ各自治体の道路窓口、道道は北海道開発局での交付になります。
台帳のコピー手数料も、その自治体によってまちまちになっています。
道道の台帳コピー費用は、私は支払った事がありませんが、窓口によっては請求されるかもしれません。

札幌市の道路台帳はどれも比較的新しく、近隣の建物も記載されていて分かりやすいものが多いのですが、
自治体によってはかなり精度にばらつきがあり、高い手数料を払ってとてもアバウトな図面を渡された時は、本当にイラッとします。
自治体経営が厳しい世の中ですから、測量のための予算が付かないのもやむを得ない事として寛容な精神を持ちましょう。

札幌市の道路台帳図の取得方法については『0302 道が公道なのか知りたいとき<窓口編>』、具体的な道路台帳図の見方については『0404 道路台帳の見方』で、それぞれ紹介しています。

 

【位置指定図】(いちしていず)
位置指定図』は『位置指定道路』の範囲を図面にした、『道路台帳図』と似た性質を持つ書類です。
位置指定道路は特定行政庁に申請し、指定される特別な私道ですが、その申請の際に提出される、位置指定道路の範囲や周辺の状況などを記載した書類が、元々の『位置指定図』でした。
古い図面ほどアバウトな出来で、新しい図面については、大半が土地家屋調査士の作成したものですから、信憑性があります。
・・・と、いうのが従来の話ですが、札幌市では、平成25年5月頃から、旧来の位置指定図を再調査して、新たに『指定道路調書』の公開を開始しました。

従来は、一度指定された位置指定道路の状況は、図面上更新されず、古いままでしたが、国土交通省の働きかけによって、全国的に整備が行われて来た経緯があるようです。
国土交通省 建築基準法上の道路情報の整備について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk5_000001.html

位置指定道路情報のインターネット公開も全国的に進んでいるようで、札幌市では平成30年3月からインターネットでダウンロードが可能となる予定です。
それまでは市役所2階の『道路確認担当課』で位置指定図のコピーの交付を受けられます。
手数料は1件(何枚でも)300円。具体的な取得方法は『0302 道路の内容を知りたい時』を参照して下さい。

いやぁ、平成24年の旧ブログ開始当初から、5年足らずで位置指定道路についての状況が大きく変わって来ました。(古いまま更新されない書類→市役所による再作成→インターネット公開)
紹介し甲斐があるというものですね。

ところで、とある自治体では市内に2ヶ所しか位置指定道路がないそうです。1ヶ所も指定されていない自治体も沢山あるのでしょうね。

 

【通行地役権】(つうこうちえきけん)
その土地の一部または全部を通行する権利。
主に通行地役権という言葉を使う場合には、権利の登記をしている場合が多いですね。
土地の一部について通行地役権を認める場合には、『地役権図面』で、通行可能な部分を登記してあります。(こちらも法務局で取得可能。)

通行される土地『承役地』と通行して行く先の土地『用役地』の所有者が変更した場合であっても、登記がしてあれば、地役権の効力は原則的に継続します。
(登記していない場合には、効力が継続しない場合があります。また、『所有者が変更した場合には効力が切れる』というルールで登記することも可能です。)
期間や使用料を設定して契約する事が出来ますが、登記の内容には反映されません。

自動車による通行が認められるかどうか、という事については明文化されていません。
裁判例によっては、自動車の通行権が認められたり、通行妨害の排除が認められたケースもあります。
(トラブルとなった場合、最終的には訴訟で決着するしかない問題になってきます。)

 

【囲繞地通行権】(いにょうちつうこうけん)
道路に接していない土地『袋地』の所有者が、自分の土地に行くために、『公道』と接している土地『囲繞地』を通過することができる権利です。
不動産業者でも逆に覚えている方が多いのですが、囲んでいる方の土地が『囲繞地』で、道路に接していない土地は『袋地』と言います。

登記がなかろうが、契約関係がなかろうが認められる権利ですが、無償ではなく、原則では使用料を支払うのが前提となっています。

また、一部の判例では、自動車の通行が認められた例もありますが、通行出来るのは原則人間だけで、自動車の通行は出来ません。

どうしても困った場合には、弁護士への相談により解決が必要ですが、使用料などの件もありますので、正直、あまりアテにし過ぎない方がよい権利です。

 

【幅員】(ふくいん)
道路の幅のことです。道路法に定める道路区域には、車道部分だけでなく、歩道や街路樹の部分を含みます。
たとえば大通は大通公園の部分も含めた全体が道路区域ですし、高速道路や橋などの高架がある場合には、高架も側道(脇道)も合わせて一体の道路区域とされている場合が多いです。

 『認定幅員』は公道の管理者(札幌市または北海道開発局)が指定する道路の幅で、 道路台帳図に記載されていますが、いろいろな事情によって実際の幅と異なる場合があります。

その、実際の幅を現況幅員』と言い、建物を建てる際に行う建築確認の手続きでは現況幅員が優先されます。
実際の道路幅と認定幅員が異なる場合や、公道に塀や建物が張り出している際は、建築確認の許可が下りない場合がありますので、ご注意下さい。