当記事は2015年1月21日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。
シリーズ:『新築』と『瑕疵担保履行』
◇『新築住宅』ってどういう意味?定義は?
◇『新築』と判定される具体的ケースと詳細な取り扱い
◇業界の俗説『登記をすると新築でなくなる』の嘘
◇新築住宅の『住宅かし保険』の概要を分かりやすく解説します
◇中古住宅の『住宅かし保険』は新築住宅の場合とどのように違うのか
◇重要事項説明書の『瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要』ってなんなの?
この仕事をしていると…と言いますか、どんな仕事をしていても、
同業者と共同で仕事をする、
税理士事務所に勤務していた頃は専ら税務署(国税庁)
同業者と仕事をするのは、
ごくごく限られたシチュエーションだけでしたが、
不動産業では複数の不動産業者が仲介をする『分かれ』=『
(手数料の両受けを狙う『両手』に拘泥しなければ)
つまりは同業者と仕事をするのはごくごくありふれたシチュ
『共同仲介』といって、何をするかと言えば、
双方の条件の折衝や売買の段取りや銀行融資の調整など多岐に渡り
取引において最も重要な業務として、書面の作成業務があります。
主には『売買契約書』と『重要事項説明書』
その他にもそれに付随した書類のやりとりが必要になります。
『売買契約書』と『重要事項説明書』の作成…
双方の担当者が何度も面談して綿密に打合せをして…
売主側か買主側、いずれか一方の業者が素案を作成し、
双方でやりとりし、不明点があれば確認し、
取引条件の交渉内容がきちんと書面に織り込まれているか、
…といった風に、
(その際に、必要があれば共同で現地調査をしたり、
作成するのは、
(売主側の方が当然その物件についてよく知っているから、
さて、
当ブログの記事は私の気分次第で題材をチョイスしている傾向が強
特に不動産業界の気に食わない話題については私怨丸出しで取り上
そして、今日のお話も私怨です。
重要事項説明書の『瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要』
前提条件として『重要事項説明』というのは、不動産の買主・
その契約を結ぶかどうかに影響し得る『重要な事項』
この書面の作成と買主・
『重要な事項』というのは、
取引条件…特に支払や融資や保証、
国が定めた以外の事項であっても、
そして、国土交通省が定める『重要な事項』のうちの一つが、
『瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要』なのです。
それでは、この項目で説明するべき内容というのは、
不動産流通近代化センターが運営する情報サイト『
http://www.fudousan.or.jp/
瑕疵担保(かしたんぽ)責任の履行に関する措置
売り主が講ずる瑕疵担保責任の履行に関する措置について説明され
瑕疵担保責任の履行に関する措置とは、売り主が倒産などにより、
瑕疵担保責任を負うことができない場合でも、
保険への加入などにより瑕疵担保責任を履行するという制度です。
平成21年10月1日より、新築住宅の売り主には、
瑕疵担保責任の履行に関する措置を講ずることが義務化されました
*瑕疵担保責任:宅地または建物に、
契約の締結当時に隠れた瑕疵(欠陥など)があった場合に、
売り主が買い主に対して負う責任のこと。
ざっくり言うと、
『万一、不動産に何か欠陥があった時、
保証するための準備として、
…という項目なのです。
『保証するための準備』とは、法務局に供託金を収めたり、
住宅かし保険に加入するといった事で、
この『保証をするための準備』
一方で、土地の売買の場合では、『保証すること』はあっても
『保証するための準備』をする事は実務上、まずありません。
中古住宅や中古マンションの場合も基本的には土地と同様で、
例外的に、任意で住宅かし保険に加入している場合には、
この項目に記載される事になりますが、
保険へ加入しての取引はまだまだ少数派のようです。
(ごめんなさい、
話を戻して『瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要』とは、
それは『保証するための準備をしているかどうか』という事です。
『保証自体をするか否か』では、ないのです。
この二つを混同している不動産業者が、大変多くて、
『保証自体はするけど、保証の為の準備(保険加入など)
瑕疵担保責任の履行に関する措置は、『講じない』
こちらが作成した『重要事項説明書』に対して、
『瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要が”講じない”
瑕疵担保責任は負って頂けないんですか?それでは困るのですが…
『瑕疵担保責任は”負わない”とするべきで、”講じない”
などと言う確認・質問を受ける事が多々あり、
オドレはホンマに宅建主任者か?!と思いながら、
もう数年前の話ですが、
『事前に買主様にも説明しておいて下さいね』
重要事項説明の最中に『
買主様が機嫌を損ねてしまった、という経験もあります。
『期限内の瑕疵担保責任は負いますが、
…つまり、保険への加入などは行わないという意味です。』
と、すかさず口を挟んだものの、
買主さんが一度抱いた疑念というのはすぐには消えないもので、
『瑕疵担保責任の期間が過ぎてしまったらどうするのですか?』
などと、ミもフタもない事を言われるものですから、
『この期間を取引条件として価格などが決定されていますから、
土地に関する法令的・実務的な調査は弊社でも既に実施していますが、
ご不安であれば期間内に土壌汚染や地中埋設物に関する調査を行な
と、言って、
(その後、その更地には無事住宅が建築され、
もちろん、土壌汚染や地中埋設物のリスクが高い場合には事前に説明します。)
この項目、必要な取引の時以外には省略してしまいたいのですが、
『講じない場合には講じない事を説明する』
省略する事は出来ず、
記載ミスや誤字脱字程度の事はともかくとして、
法令に関する理解そのものの問題になると、
この項目は平成21年の『住宅瑕疵担保履行法』の施行に伴い追加されたものです。
ですから、経験が長く、勉強不足の宅建主任者は知らない項目かもしれません。
不動産会社の担当者がこの項目の内容について正確に答えられるかどうかが、
その担当者のスキルを図る一つの目安になるかもしれませんね。
ハウスメーカーや工務店の場合には日常的に出てくる項目ですから、
それらの住宅営業マンがこの項目を知らなければ、論外と言えるでしょう。
それ以外の不動産業者の場合は経験か知識のどちらかが不足していると言えます。
普段賃貸ばかりやっていて売買の経験が浅いであるとか、
土地の取引ばかりしていて建物の取引実績が少ないであるとか、
ほとんど現場以外の仕事をしていて実務を知らないであるとか、
まぁ、そういった事情が考えられますが、どのような事情にせよ、
この項目の詳細を知らない場合、ちょっと頼りないと言えるかと思います。