当記事は2015年1月13日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。
シリーズ:『新築』と『瑕疵担保履行』
◇『新築住宅』ってどういう意味?定義は?
◇『新築』と判定される具体的ケースと詳細な取り扱い
◇業界の俗説『登記をすると新築でなくなる』の嘘
◇新築住宅の『住宅かし保険』の概要を分かりやすく解説します
◇中古住宅の『住宅かし保険』は新築住宅の場合とどのように違うのか
◇重要事項説明書の『瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要』ってなんなの?
さて、ここまでは『品確法』に基づく『新築住宅』の定義を3回に渡り掘り下げてきました。
『品確法』では、『欠陥住宅からの消費者保護』を目的として、
売主に引渡し後10年間の瑕疵担保責任(欠陥の保証)を義務として課しています。
『品確法』は平成11年6月23日に公布された法律ですが、
実は、欠陥の保証をするにあたってはこの法律だけでは不十分だったという事情があります。
それがヒューザー・姉歯耐震偽装問題に端を発した欠陥マンション問題です。
ぶっちゃけ『10年間の保証をする義務は課したけど、具体的にどう保証するかは決めていなかった』のです。
建築会社や分譲会社が倒産した場合に、
消費者を保護する手立ては殆どなかったという状況があります。
そこで満を持して登場したのが『特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律』です。
(平成19年5月30日公布、平成21年10月1日施行)
この法律では、建築業者や不動産業者に対して、
『10年間の保証義務をきちんと果たせるようにする』事を目的としています。
①法務局に供託金を預けるか②瑕疵保険に加入するのいずれかの方法が定められています。
『品確法』の瑕疵担保責任は一般消費者が新築住宅を転売する際にも課されますが、
『瑕疵担保履行法』の義務は、一般消費者が売主の場合には該当しません。
①の方法では住宅の引き渡しから10年間、法務局に所定の供託金を預託する事が必要になります。
まぁ、大変多額の現金を10年間寝かせておかなければならない事になります。
②の方法では、国土交通大臣が指定する5つの『住宅瑕疵担保責任保険法人』の
『住宅瑕疵担保責任保険』のいずれかに加入し、保険料を納入します。
これがいわゆる『住宅かし保険』で、
法人によって『すまいまもり保険』『住宅あんしん保証』などの商品名があります。
※ 過去に『たてもの株式会社』も瑕疵保険の引受を行っていましたが、
平成23年9月14日付で国交省へ廃業届が出され、
平成23年11月16日に破産決定されました。
既に引き受け済みの保険契約については、
『株式会社住宅あんしん保証』が引き継いでいます。
①供託か②保険かを選択するのは、義務を負う業者ですが、
2000万円もの現金を10年間寝かしておくよりは、
幾許かの保険料を支払う、というケースの方が多いようです。
(マンションなど比較的まとまった戸数の場合には、
供託方式が選択される場合もあります。)
これにより、住宅の購入者が取得した新築住宅の欠陥について
10年間の保証を受けられる制度的担保が確立したと言えます。
(まぁ、この保険制度については色々と批判もあるようですが、
この場では割愛します。)
さて、この『かし保険』は新築の場合には事業者に加入義務があり、
新築以外の場合には、任意保険として加入する事が出来ます。
次回は、新築の場合と中古の場合の『住宅かし保険』の違いを紹介します。
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