REINSに掲載されていない物件があるってホント?


さて、前回『REINS(レインズ)って何なの?』では、
REINSがある事で売主・買主ともに開かれた市場での取引が出来る、と説明しました。

それでは、すべての中古マンションがREINSに登録されているかと言えば、そうではありません。
REINSに登録されていない物件というのもあります。
この仕事をしているとお客様からこんな依頼を受けることがあります。
『他社さんのHPに掲載されてる物件、仲介してもらえませんか?』
そう言われて調べてみると、確かに他社のHPに掲載されているのにREINSへの登録がない。

そんな物件はこのような事情から登録がされていないのです。
 ① 業者が売主で、登録の義務がない物件
 ② 一般媒介契約なので、登録の義務がない物件
 ③ 登録義務はあるけど、約1週間の登録期限まで登録しない物件
 ④ 登録期限を過ぎているけれど、違反して登録をしていない物件
 ⑤ そもそも存在しない物件=『おとり物件』

①~③は合法ですが、④と⑤は違法行為です。
(まぁ、正直③は売主さんへの背信行為で極めてセコい行為だと思っていますが。)

REINSへの登録というのは、売主がその業者だけに売却を任せる事と引き換えに、
他の業者からも広く買主を募集する義務を業者が負う
という側面がありますから、
業者が売主である①や、他の業者にも依頼出来る一般媒介の②は、義務とはなりません。
(義務ではありませんが、任意でREINSへ登録することはよくあります。)

③は、前述した約1週間の期限までに自社で買主を見つけて、
売主からも買主からも手数料を受ける『両手』とするための手法です。
一応違法行為ではありませんから、大手業者でも横行している手口です。

④は、これも『両手』を目的に、REINSへの登録をしていない場合ですが、こちらは違法です。
売主から『REINSに登録しないで欲しい』と言われた場合には、一般媒介を結ばなければなりません。
というか、一般の方はREINSを閲覧出来ませんから、
売主さんは登録してもらっていないことを知らないことの方が多いでしょう。

⑤は非常に悪質で、存在しない売り物件を広告してしまう、というパターン。
これを不動産業界の俗語で『おとり物件』と言います。
(まったく実態がないケースから、既に成約しているものを延々と掲載しているケースなど様々です。)
SUUMOやathomeなどの一般向けサイトを見ていると非常に好条件な物件なのに、
物件の外観写真や間取りしか掲載されておらず、内装の写真がない事が多いです。
酷いケースでは間取の画像すら掲載されていない事もあります。
いや、もっと酷いのは内装の写真もあるのにおとり物件、というケースでしょうか。

土地や一戸建てであれば、一目瞭然ですからおとり物件もやりづらいのですが、
マンションであれば号室さえ伏せておけば、
インターネットなどを経由して間取図や面積、管理費などを調べる事が出来ますから、
本当に売りに出ているか否かを第三者が判断するのは難しいものなのです。

何故こんな事をするのかと言えば、購入見込み客を捕まえるため、という目的があります。
客:『HPに掲載されている○○マンションのお部屋なんですけど…』
業者:『あ~、つい先日契約してしまったんですよー。
    今、マンションは非常に人気があって、すぐに売れて行ってしまうんです。』
客:『そうなんですかー』
業者:『お客様のご希望条件を聞かせて頂ければ、次から優先的にお知らせしますよ』

なーんて話になるんだそうです。
正直、そんな風にして購入希望者を集めても上手く行く気がしないのですが、
事実として、『あからさまにおとり物件だな』という物件に出会う事はちょくちょくありますから、
集客の手法として、もしかしたら有用なのかもしれません。(やろうとは思いませんが)

以上、REINSに掲載されない物件の5種類を紹介しました。
合法なケースにせよ、違法なケースにせよ、あえてREINSに掲載しないという事は、
買主側に業者が付いてほしくない、という意思の表れでもあります。

そのような物件をあえて購入しようという時は、買主側の業者を立てられなくとも、
契約条件や物件の内容など、ある程度身構えて取引に臨んだ方がよいでしょう。

当記事は2015年7月11日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。