調11 丘珠藤木川西団地

当記事は2014年06月04日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調11『丘珠藤木川西団地』です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

北側には農業体験テーマパーク『サッポロさとらんど』があります。
西側には札幌市内唯一の空港、『丘珠空港』があります。
そして、すぐ東側には平成25年3月21日から稼働したメガソーラー『土屋ソーラーファクトリー札幌』が隣接しています。

それにしても気になるのは、『区域外』と書かれ、白抜きにされた部分ではないでしょうか。

同様の白抜き部分が『調4 東米里東栄地区』にもありましたが、
これは、主に位置指定道路が市道になっていないことを原因とする除外です。
将来的に市に寄付されるなどして認定道路(市道)となった場合には、
白抜きの『区域外』の部分も地区計画の範囲として含まれてゆく予定
となっています。
実際の現地は、重機の作業場になっているようです。

白抜き部分の取り扱いについては、『第9回札幌市都市計画審議会 議事録』から引用します。

 この区域の敷地の面する道路が指定道路であるため,
 札幌市道として認定道路に面している敷地を対象区域にするという
 地区整備計画の区域設定の条件を満足しないことが挙げられまして,
 今後,この道路が認定道路になった段階で地区整備計画の区域に
 取り込んでいきたい
と考えております。

 また,区域外となっております部分につきましては,
 地区計画の方針の区域にも含めておりません。
 この部分につきましては,計画図をごらんいただくと,
 道路的な形状,宅地的な形状になっておりまして,
 また地番もそのように分筆されておりますが,
 道路的な形状の部分が指定道路にもなっていないことから,
 指定道路に面している敷地を対象区域にするという
 地区計画の方針の区域設定の条件を満足していないことから,区域外にしております。

・・・と、いう事なのだそうです。

バス停までは結構遠く、南端の『三角街道西支線3号線』以外の道路については、道路幅もかなり狭く、路肩が土や砂利になっている状態が大半です。


ただ、新しくて大きめな家もちらほら建っていて、広々とした環境が好きな人にとってはよいのかもしれません。

ちなみに、札幌市の東側と言えば地盤が悪いというのが定番ですが、液状化危険度図によると『液状化発生の可能性が低い』、地震防災マップによると『震度6弱』と札幌駅と同水準の評価になっています。
地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より北東約7㎞の市街化調整区域に位置し、
 昭和30年代に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
 現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
 そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
 現在の良好な住環境の維持増進を図ることを目標とする。

毎度の既存宅地制度の代替としての『建物が建てられる市街化調整区域』です。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書

決定:平成14年3月19日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調9 手稲山口地区

当記事は2014年06月08日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調9『手稲山口地区』です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

今回が現在、市内18か所指定されている市街化調整区域の地区計画の最終回となります。
なぜ最後に紹介する事になったかというのには明確な理由があり、それは単純に私があまり書きたくなかったから、という一点に尽きます。

というのも、この地区は現在開発・分譲の最中でして、札幌市が主導している東雁来の『ウェルピアひかりの』と違い、民間の営利企業が行っている開発なので、状況が確定しておらず、大変書きづらいのです。

別に何だという事はないのですが、褒めても貶しても色々面倒くさそうなので、ここまで書かずに来ました。

とはいえ、『褒める』『貶す』というのも適切な表現ではありません。
どの土地についても、地盤や駅からの距離や治安や通学利便や住宅の密集度など、色々と特徴があるもので、それらの特徴を無視して不動産とその財産価値を語る事などは不可能なのですから。

ただまぁ、色々としがらみもあるのが世の中というヤツでして、そういうしがらみの外側で自分の信じる通りに生きていたいというのが私のささやかな願いなのです。

さて、事実関係を列挙しつつ現地の写真を見てゆきましょう。
この地区は北海道開拓から平成に至るまで、畑や果樹園とされていたようです。
比較的最近の航空写真でも、開発がされている様子は見られません。
平成12年に「市街化調整区域における大規模開発制度」により開発許可を受け、開発事業が始まりました。
札幌市としては初となる大規模開発制度の利用だったようです。
ちなみに、この制度のうち市街化調整区域に関する部分は平成18年の法改正により廃止となっています。

翌年の平成13年5月17日にはこの地区計画が決定されました。
地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より北西約14kmに位置し、
 都市計画道路「下手稲通」をはさんで既成市街地に接する市街化調整区域内にあり、
 現在、民間の宅地開発事業が進められている。
 そこで、本計画では、当該事業の事業効果の維持及び増進を図り、
 敷地の細分化などによる居住環境の悪化を未然に防止し、
 緑豊かでうるおいのある良好な市街地の形成を図ることを目標とする。

当初は現在の決定区域の倍に近い面積がありましたが、濁川より東の部分については平成22年4月6日に市街化区域に編入され、同時に決定番号:113『北星置地区』として新たに市街化区域内の地区計画が決定されました。

何故その時に全体が一度に市街化区域に編入されなかったかというと、これは実に単純な話で、西側が市街化されていなかったから、なんですね。
既に宅地造成が完了し、市街化されている東側の部分のみが市街化区域となった訳です。

その後平成25年10月に地区内の南・西側の『第一工区』の造成が完了し、分譲が開始されています。
そして平成26年、西端の欠けた部分が区域に含まれました。

欠けていた部分については所有者が農家の方で、宅地開発に合意しなかった為、
このような状態が続いていましたが、昨年に入ってから、ようやく了承が取れたという経緯です。
当初地区計画決定時の第4回 札幌市都市計画審議会 議事録(平成12年10月31日)にはこのように書いてあります。
 この穴抜きの部分につきましては,今,委員もお話のように,
 一体的な土地利用を図るということでここまで調整をしてきました。
 ただ,ここの土地所有者が,調整区域の開発行為を許可する時点
 ―先ほどことしの8月というお話をしましたが,
 この時点で実は営農をしておりまして,
 今すぐに結論は出せない
というようなお話をされました。
 営農しているというのは,いわゆる作付をして秋に収穫をしたい
 その収穫が終わってから協議をさせていただきたい
 実はこういうお話をされた経緯がございまして,
 このたびの地区計画の事前説明の段階では除外をさせていただいたということでございます。
 そういうことで,この収穫も既に終えまして,
 先日から協議を再開をしているというお話を開発者の方からお伺いしております。

 当然,今後さらに協議を重ねていただきながら,協議が調った時点では,
 できるだけ早い時期に,整形といいますか,
 そこも取り込んだ形で地区計画の区域変更をするよう進めてまいりたい,
 現在このように考えております。

平成12年の収穫が終わってから…というお話から足掛け15年も粘った訳です。
土地に関してはよくある話ですが、やっぱりスゴイ話です。

下手稲通沿いの部分については、商業施設が建設される予定のようですが、現在は更地です。
平成23年9月30日付の北海道建設新聞の記事を引用しましょう。
 http://e-kensin.net/news/article/6837.html
 岩倉土地開発(本社・苫小牧)と、中山組(本社・札幌)の子会社で不動産業の三共産業(同)が、
 札幌市内の手稲山口地区で進めている大規模開発で、
 約3万4000㎡の商業用地を確保している。
 2012年春までに出店する店舗を固め、その後着工する考えだ。
 開発区域は、札幌市手稲区手稲山口465の1ほかの下手稲通沿いで、
 JR星置駅から1㌔程度離れた所。岩倉土地開発は10年ほど前、
 一帯の約28万㎡の開発許可を得て、濁川を挟んで西側のエリアを開発した。
 ホームセンターや食品スーパー、衣料品店などが立ち並んでいる。
 今回は東側エリアのうち、下手稲通に面した9万6403㎡を手稲山口東第1工区として、
 三共産業との共同事業で実施。中山組の設計施工で土地造成に着工した。
 敷地内には、宅地用地3万2668㎡のほか、商業店舗用地3万3882m²、
 業務施設用地3029㎡などを確保。
 商業用地には、スーパーマーケットや家電量販店、飲食など
 5―10店舗程度の誘致を見込む。
 業務施設用地では、社会福祉施設の設置を計画している。
 関係者によると、「商業スペースは、来春までに固めて着工したい」としている。
北・東の部分は現在農地となっており、平成27年度以降に『第2工区』として宅地造成が行われる予定とのことですが、民間の事業ですから、実際の施工開始は現在分譲中の『第1工区』の売れ行き次第、というところでしょうか。

さて、この地区計画は三方を市街化区域に囲まれた市街化調整区域ですが、市の文書の中ではいわゆる『穴抜き市街化調整区域』とは呼ばれていません。
民間の宅地開発事業によるものという事情もありますが、市街化区域に編入されるのは、『次の見直しの際』ではなく『実際に市街化が完了してから』の予定となっています。

実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。


(この地区計画について、解説書は公開されていません。)

【2014年06月20日追記部分】
このブログではこれまでに様々な都市計画、道路計画を紹介してきましたが、進行中の計画である場合には、当然その記事を書いた後も状況が変わっていく訳です。
そのような地域については業務に直接関係のない地域については、限界がありますが、出来る範囲で追記を加えられればと思っています。

今日は『調9 手稲山口地区』について少し追記します。
散々『面倒くさそうだから書きたくない』とボヤいた挙句、最後に回した地区計画です。

市道『下手稲通』沿いに店舗が出来る事は紹介しましたが、具体的な店名は挙げませんでした。
ブログの記事を書いている段階で、出店店舗は既に決まっていましたが、色々と気を使って経緯や背景事情を書いているうちに、店名を記載するのを忘れていました。

出店するのは『スーパーセンタートライアル星置店』で、5月頭から着工しました。
平成26年2月4日付で、札幌市からも大規模小売店舗の公告が出ています。
それによるとオープンは平成26年9月24日を予定しているようです。
また、トライアル予定地の西側についても、5月下旬から工事が始まっています。
建築主は『日本マクドナルドホールディングス株式会社』
それにしても建築現場の近くでは堆肥というか、飼料の臭いがプーンと漂ってきて、その土地の歴史は『土』に色濃く残るものだなぁと実感しました。

タイミングはずれるかもしれませんが、休日に予定が合えば、今後も寄ってみます。

【‎2014‎年‎04‎月0‎7‎日追記部分】
二店舗とも、無事に開業したようです。この辺も10年で随分便利になりましたね。

決定:平成13年5月17日 変更:平成26年2月18日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調8 新川光風園地区

当記事は2014年06月05日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調8『新川光風園地区』です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

目印は精神科『石金病院』と、道立高校の『札幌国際情報高校』

国際情報高校は、平成7年新設の比較的新しい高校です。
郊外にある高校は偏差値が低いと言われがち
ですが、かなり偏差値の高い学校のようです。
色々なサイトで偏差値ランキングを調べてみましたが東区にある市立『札幌開成高校』とほぼ同レベルのようです。

余談ですがサイトごとに偏差値の違いがありすぎて、他の高校とは比べられませんでした。
『旭ヶ丘高校』や『立命館慶祥高校』と比較すると上だったり下だったりと、よく分かりません。
…というか、北海道の高校入試は異常な制度の上に成り立っているので、偏差値自体が極めていい加減でアテにならないのですが、不動産とは全く関係ないお話になってしまいますから、今回はこの場に書くのは差し控えたいと思います。
『光風園』は恐らく団地分譲時の名称だと思われますが、例によって詳細は謎です。

液状化危険度図によると『液状化発生の可能性がある』または『液状化発生の可能性が高い』。
地震防災マップによると『震度7』と、最も揺れやすい地域と評価されています。
通常『震度7』は『震度6強』の地域の中に散発的に表れるのですが、ここまでまとまった地域が『震度7』評価となっているのは、この新川~屯田にかけたエリアのみです。
つまり、札幌では最も大きな揺れが想定されるエリアであるという事が出来るでしょう。

ちなみに、これより狭い範囲ですが、西28丁目駅の北側東苗穂6条1丁目付近にもまとまった『震度7』エリアがあります。

実際に家を建てる時には、杭を多く打つなどの対策が必要になります。
東日本大震災で、液状化現象の甚大な被害を受けた浦和地区ですが、基礎杭を大量に使用していた東京ディズニーランドは液状化の被害を免れたのは有名な話ですよね。

基礎杭の使用にはそれなりの費用が必要になります。
建築業者はその辺の事を認識しつつも、予算の兼ね合いがありますから、総工費を抑えるために地盤改良を薦めない担当者もいるようです。
地盤調査等の客観的な資料を含め、納得が出来る施工となるようにしましょう。

とはいえ、万全を期すために予算をオーバーして住宅ローン負担が重くなってもつらいものです。
建物の表面的な豪華さより地盤改良を優先すべきだという人もいますが、
それならば立地そのものを見直すという考え方もある訳で、絶対的な正解はありません。
結局のところ、最終的なリスクコントロールは自分でする以外にないのです。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より北西約8㎞の市街化調整区域に位置し、
 昭和30年代に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
 現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
 そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
 現在の良好な住環境の維持増進を図ることを目標とする。

既存宅地制度の代替としての『建物が建てられる市街化調整区域』です。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書

 

決定:平成11年12月7日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調7 北ノ沢静涼苑地区

当記事は2014年05月22日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調7『北ノ沢静涼苑地区』です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

バス停はじょうてつバス『静涼苑団地前』
『静涼苑』というのが何の事なのか、ハッキリとした根拠資料は見つかっていないのですが、
どうやらマンションやアパートの建物名のような、分譲時のネーミングのようですね。

『五輪通』がほど近く、地図上の配置としてはそんなに不便な印象はありませんが、
何せ山の中ですから、自動車がないとニッチもサッチも行きません。

『北の沢小学校』へは徒歩15分程度、『藻岩中学校』40~50分かかってしまうようです。

中学からはバス通学でしょうか。子供たちは友達と遊ぶのも一苦労ですね。

本当に静かな住宅街という風で、立地以外にはあまり特徴という特徴がありません。
南区、西区、清田区といった札幌の西方面では珍しくありませんが、若干の傾斜地になっています。
傾斜地としては『調5 真駒内駒岡団地』や『調15 石山六区地区』ほどのインパクトはありません。

建物を合法的に建築出来る土地としては、メチャクチャ安いです。

これまで、不動産の価格については抽象的な事ばかりで具体的には書いてきませんでした。
経済情勢によって毎年毎年変わるものですし、『相場』としてウェブ上に載せるのは、土地所有者にとって色々な不利益が発生する可能性が高いため、あえてそうしてきました。
しかし、公的に発表されているものについてはインターネット上でいくらでも見れる訳ですから、『土地総合情報システム – 国土交通省』の鑑定評価を引用してみましょう。
http://www.land.mlit.go.jp/landPrice_/pdf/2013/01/2013011060036.pdf

同一需給圏は南区の市街化調整区域のうち、第三者による住宅の再建築が可能な戸建住宅地域である。
需要者は札幌市の居住者が大半を占めており、同一需給圏外からの転入者はほとんど見られない。
札幌市の住宅地は居住の都心回帰傾向が鮮明であり、交通接近条件が劣る当該地域の宅地需要は脆弱である。
土地取引は少なく、需要の中心となる価格帯は見いだせない状況である。

う~ん、手厳しい。平成25年は坪3万円台での鑑定となっています。
坪3万円というと、平地かつ地区計画のない普通の市街化調整区域と同等のイメージですね。
とにかく安く土地が欲しい!とか、西区・南区・中央区を頻繁に行き来する、という方ならば、良いかもしれませんね。
西区へは、盤渓を経由して福井・平和方面へ出て、西野へ抜ける事が出来ます。

地区計画の目標は以下の通り。

 当地区は、都心部より南西約7㎞の市街化調整区域に位置し、
 昭和40年代に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
 現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
 そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
 現在の良好な住環境の維持増進を図ることを目標とする。

既存宅地制度の代替としての『建物が建てられる市街化調整区域』です。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書

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決定:平成11年6月23日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調6 中沼地区

当記事は2014年04月22日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調6『中沼地区』です。
市街化調整区域としては珍しく、平成17年9月5日に『住居表示』が実施されています。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

中沼1~3条は今回の地区計画の区域内ですが、4~6条は地区計画の範囲ではありません
しかし、『旧事業法団地』と呼ばれる特殊な取扱いとなっており、建物の建築が可能です。
『旧事業法団地』については『調5 真駒内駒岡団地』で解説しています。

北側は中沼産業廃棄物処理センター(エコパーク)に隣接します、

南側には中沼ながしかく公園という絶妙のネーミングセンスの公園があります。

市街化調整区域だからという訳ではありませんが、中沼地区~丘珠地区は、 モエレ沼公園がある都合、自動車で通行する場合も、市内中心部へ行くためには大きく迂回したルートを取る必要があります。

また、小学校の学校区は中沼小学校で15分~20分ですが、中学校の学校区は丘珠中学校で、なんと徒歩1時間程度かかります。
モエレ沼公園の向こう側なのでバスを使うにしても、かなりの距離です。
 

商業施設はセイコーマートがあるのみで、スーパーはかなり遠いです。
東米里や南区郊外と同様に、市内の建物が建てられる土地としては最安値ランクですね。
市場での流通量はかなりのものですから、購入するのは比較的容易でしょう。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より北東約10㎞の市街化調整区域に位置し、
 昭和40年代に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
 現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
 そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
 現在の良好な住環境の維持増進を図ることを目標とする。

『既存宅地制度の代替としての地区計画』です。
はい、もう何度目にもなりますので解説は省略。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書

泥炭地なので地盤はお察しの通りですが、札幌市液状化危険度図によると、『液状化の危険性がある』と、最高ランクの『液状化の危険性が高い』ではありません。

また、『出水のおそれのある区域』に指定されています。
まぁ、周辺と比較するに地盤については東区郊外では平均的な水準と言えるでしょう。

それにしても、昔は燃料として使われていたとはいえ、『泥炭地のため火気厳禁』って看板があるのはちょっとスゴいですよね。

さて、『東区中沼○条○丁目○番○号』という住所について書きましょう。
この形式の住所は『町名整備』『住居表示』の両方が実施されている地域です。
『町名整備』とは、『中沼』や『新川』などのとても広い範囲になっている『字』(あざ・住所の括り)を小さな範囲ごとに区分して、範囲を特定しやすくする行政的手続きです。
札幌の場合は特殊で『○条○丁目』という『条丁目』形式が一般的で、北海道の他の町でも多く採用されている形式ですが、本州の方などは見慣れない住所の方式に驚くようですね。

札幌市内で『町名整備』が済んでいる地域であっても、地域の形状によっては、
例えば『旭ヶ丘○丁目』『伏見○丁目』『月寒中央通○丁目』などの『条』がないパターンも多くあります。

あるいは、『丘珠町』『雁来町』『東米里』のように、『丁目』すらないものであっても、『町名整備』は済んでいる事になっており、面積比の実施率は98.7%に上ります。
正直なところ、『町名整備』については不動産従事者以外はあまり気にする必要はありません。

一方『住居表示』が実施されているか否かは、面積比の実施率も93.3%に留まりますし、
登記情報の取得や郵便の際の住所の記入、さらにはインターネット地図の使い方にまで影響しますから、一般の方にとっても大変重要性の高い情報であるという事が出来ます。

簡単に言うと、『住居表示』が未実施の地区には、こんな不便があります。
 ①同じ住所に2つ以上の建物が存在する。
  私の経験では10軒以上の建物がすべて同じ住所だったこともあります。
 ②住所に法則性が全くない。48番の隣の家が104番だったりと不規則な配列となる。

市街化調整区域の場合、原則的には住居表示は実施されていませんが、この中沼地区や、後日紹介する星置3条1丁目、前田7条11丁目、曙11条2丁目(いずれも手稲区)など、住居表示が実施されている地域も例外的に存在しています。

また、中央区の中心部は当然市街化区域ですが、住居表示が実施されていない部分が多くあります。
他にも白石区菊水上町1条~4条の区間も『町名整備』は住んでいますが『住居表示』は未実施です。
これらの場合には『建物一つ一つが大きいので分かりやすくする必要性が高くない』とか、『あまりにも入り組んだ区画で、今後区画整理が必要な為、住居表示を保留している』などの
理由がありますが、一般の住宅街の場合には、住民は結構な不便を強いられることになります。

一方で、『住居表示』が実施されている場合には、住所が登記上の地番と異なってしまう事になるので、登記情報を取得しようという時に、ブルーマップなどで別途調べる必要があり、その点については不便です。

『住居表示』『地番』については、専門家も色々な見解を持っていますが、
統一的な回答は得られていない、というのが現状で、
この不便を解消する現実的手法も、今のところ見出されていません。

決定:平成11年3月1日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調5 真駒内駒岡団地

当記事は2014年04月27日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調5『真駒内駒岡団地』です。
地区計画の名称は、通常『○○地区』ですが、ごく稀に『○○団地の場合もあるのです。
市街化調整区域の地区計画では他に決定番号:『調11 丘珠藤木川西団地があります。

ちなみに通常の地区計画では、全114件中8件が『○○団地』です。

…まぁ、だから何だという話なのですが。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップではこんな感じです。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より南方約11㎞の市街化調整区域に位置し、
 昭和40年代に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
 現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
 そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
 現在の良好な住環境の維持増進を図ることを目標とする。

既存宅地制度の代替としての『建物が建てられる市街化調整区域』です。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書

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・・・ええと、地図を照らし合わせてみると、結構特殊な指定区域になっているのが分かりますか?
一見、指定区域の西側南東側にも住宅街が広がっているように見えますが、それらの部分は指定区域に含まれていません。
西側・南西側については更地や倉庫となっている部分も多いので、指定されていないのも分かるのですが、南東側については一般住宅が多く所在しており、市街化調整区域であるのが不思議なほどです。

これは以前紹介した『調6 中沼地区』でも同様でしたが、地区計画の設定のない市街化調整区域です。
地区計画が設定されていないのに、何故建物が立ち並んでいるのか?
実は西側・南東側は『旧事業法団地』と呼ばれる、非常に難しい扱いのエリアなのです。
昭和39年施行の『(旧)住宅地造成事業に関する法律』第4条によって、都道府県知事の許可を得た区域については、市街化区域と同様に建物を建築出来る市街化調整区域という取扱いになります。

『旧事業法』は、昭和43年『都市計画法』が施行されることで廃止された法律であって、現在の都市計画法の前身の一つである、と言えます。
わずか4年ばかりの間で、市の職員によると100ヶ所程度の指定があるそうで、その指定内容はインターネット等へは公開されておらず、札幌市役所本庁舎の宅地課へ直接確認しなければなりません。

ちなみに、地区計画エリア外である西側には入所式障碍者支援施設『南陽荘入所部』が所在しています。

さて、『真駒内駒岡団地』の地区計画エリア内に話を戻しましょう。

名前の由来は真『駒』内の『岡』にある事からで、住所は『駒岡』ではなく、あくまで『真駒内』の番地地区です。

『駒岡清掃工場』を通過した森の中にポツンと所在しています。

 写真中央の遠くに見える紅白の煙突が、清掃工場のものです。

駒岡団地は山の中にある関係もあり、かなり急な坂道が多くなっており、冬場は通行止め一方通行となる道路が多くあります。
この事からも、除排雪状況は万全とは言い難い状況ということは分かるかと思います。
無理に除雪をしようとすれば重機が頓挫して通行不能になったり、交通規制をしなければ出合い頭事故なども増えますから、やむを得ない処理であると言えるでしょう。

小学校の学校区は『駒岡小学校』
『駒岡』の名前が付いているので、ほぼこの地域の子供かと思いきや、どの学区からも入学が出来る『特認入学指定校』となっている為、児童の88%はこの地域以外の子供だそうです。
平成26年4月1日現在の児童数は83名、6学級で1学年1学級という事になりますから、クラス替えはありません。

中学校の学校区は地下鉄真駒内駅のそばにある『真駒内中学校』
最寄りの中学校は『常盤中学校』ですが、中学生でも山道を歩いて登校してクマにでも会ったら一大事ですから、
真駒内までバス通学をしてもらうのが賢明という事でしょう。
バスは1時間に1本かそれ以下、冬季でなければ12分程度で真駒内駅に着くようです。

ハッキリ言ってしまえば、色々な意味でかなり厳しい立地です。
わずかに流通の事例もありますが、南区郊外には市街化区域内であっても、石山や簾舞、藤野、常盤といった安価な土地があるので、苦戦してしまうようです。

色々な意味で取扱いが難しい土地となりますから、売却をご検討の際は、不動産業者の中でも、知識の豊富なプロに依頼した方が良いでしょう。
四角い住宅地や中古マンションしか扱った事のない素人に任せるのは、大変危険です。

決定:平成10年11月20日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調4 東米里東栄地区


当記事は2014年04月08日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調4『東米里東栄地区』です。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

東米里の下水処理場(水再生プラザとスラッジセンター)の南側にある、
道央自動車道を挟んだ一帯が地区計画区域です。
道央道自体は国道のため地区計画区域には含まれていません。

東米里の中では、もっとも市街化区域に近いエリアで、以前紹介した『東米里花園地区』に比べて、小中学校には近付きましたが、それでも20分以上はかかります。

コンビニは一応ありますが、スーパーとなると少し足を延ばす必要があります。

立地という面では、正直便利とは言い難い土地柄ですが、その分お安く流通していますから、職場に近い方などはよいのではないでしょうか。
正直、住宅を建築出来る土地としては、南区の奥地と並んで、かなり安価な水準です。

道道626号線がすぐ近くですから、自動車のアクセスはそう悪くもありません。

流通量も土地・戸建ともにそこそこ出回っているように見受けられます。
地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より東方約7㎞の市街化調整区域に位置し、
昭和30年代に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
現在の良好な住環境の維持・増進を図ることを目標とする。

う~ん、安定のテンプレ感ですね。
既存宅地制度の代替としての『建物が建てられる市街化調整区域』です。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書

・・・という私の注意書きもテンプレ化してきましたね(^^;)

ちなみに東米里花園地区と同様『第一種災害危険区域』に指定されています。

最後に、水再生プラザという名前の下水処理場が近くにありますので、今回は、『市街化調整区域工事分担金』について紹介しましょう。
市街化調整区域で下水道を利用した排水施設を設置する時は、原則1戸70,000円の分担金が賦課されます。
トイレなどの排水施設の数によっては、増額となりますが、設備基準を見ていると、よっぽどの豪邸か集合住宅でなければ、定額ですね。

これは地区計画が定められている市街化調整区域でも例外ではありませんから、住宅を建築しようという時には、注意しておきましょう。

市街化区域で既に下水道が完備されている地区では、このような負担は発生しませんが、市街化区域であってもまだ下水道が完備されていない区域で、札幌市が新たに配管埋設工事を行って下水道を設置するような場合には、『市街化区域受益者負担金』というものが、3年12回分割で賦課されていきます。
こちらの金額は実費をもとに札幌市が算出します。

市街地で育った方や、集合住宅に住んでいる人にはピンと来ませんが、下水道も重要なインフラであって、整備するための費用が必要だということですね。

決定:平成10年7月31日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調3 東米里花園地区


当記事は2014年04月05日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

市街化調整区域の地区計画について、現地の写真や地図を交えて、あれこれ書いていこうという趣旨で、一つ一つ現地を実際に確認した上で、記事を書いて行こうと思います。

さて、一番最初はやはり札幌市白石区『東米里』です。
と、言うのもわが社のお客様は旧上白石村地区(菊水~東米里)に特に多く、このエリア無くして現状の規模の商売はないと言っても過言ではない、繋がりの深い土地なのです。

都合、東米里にある物件の取引も何度か経験しているため、個人的に市街化調整区域と聞いて一番最初に思い浮かぶのが、東米里地区なのです。

東米里には、市街化調整区域の地区計画としては最多の3エリアが指定されていますから、
個人的な思い入れを除いても、重要なエリアという事が出来ます。

最初にご紹介するのは決定番号:調3『東米里花園地区』です。
地区計画の範囲はこんな感じです。

で、Googleマップはこんな感じ。

どちらにも中央に大きな建物がありますが、これが『東米里小中学校』の跡地。
平成23年に閉校し、翌24年には解体されましたから、現在は存在しません。
現在は平成18年に学校敷地内に設置された『米こめ公園』だけが残っています。
(米米CLUBを連想させるネーミングセンスですね)

東米里にはほかに白陵高校、下水処理場、ごみ焼却場などもありますが、東米里小中学校(跡)を中心にコンビニ、お寺、簡易郵便局のある
『東米里花園地区』は東米里の中心と言ってもいいかもしれませんね。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より東方約8㎞の市街化調整区域に位置し、
昭和40年代に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
現在の良好な住環境の維持増進を図ることを目標とする。

 

…という訳で、いわゆる既存宅地の代替としての『建物が建てられる市街化調整区域』です。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書

地区計画に従えば住宅が建築出来る地域にはなりますが、東米里は札幌市内でも北区・手稲区の一部に並んで地盤が弱く、雨などで増水しやすい地区です。
そのため、床の高さを一定以上にしなければならない『第一種災害危険区域』に指定されています。
法令上の制限ではありませんが、地盤が弱いので、杭を多く打たないと、建物がもろくなります。
自動車で走ると、地盤沈下によりアスファルトの凹凸がかなり大きい事が分かると思います。

コンビニは近くにありますが、スーパーは遠く、校区の小中学校も徒歩30分程度かかりますから、子育て世代や車のない世帯にとっては、ちょっと敬遠したい土地柄かと思います。
また、新規建築の場合には、原則、住宅に類するものしか建築出来ませんから、
工場などの事業用地としても難しい土地でしょう。
低予算で広い庭が欲しい、車が複数台あって大きなガレージが欲しい、などという方には、よいかもしれませんね。

決定:平成10年11月20日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調2 川下地区


当記事は2014年04月28日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調2『川下地区』です。

東米里以外では唯一の白石区内の市街化調整区域内の地区計画ですが、実は東米里地区自体が、古くは『川下地区』という地名だったりします。
(今まで紹介してきた地区計画は『東米里花園地区』/『東米里東栄地区』/『東米里厚生地区』です。)

ちなみに現在の川下の西側にある『川北』も昔の『川下地区』の一部。
川下の『川』とは、『厚別川』の事で、『下』はその下流であるという事を意味しています。

そもそも札幌市の南西側、つまり現在の白石区・厚別区は『大谷地原野』という広い地名で括られていて、その中に『川下』『北郷』『厚別』などの地区を含んでいたのです。(ざっくりとした説明ですが…)
文献によっては『大谷地原野』≒『川下』のように書いてあり、
『川下』というのは、現在の厚別区を含む大きな括りであったようです。

現在の川下の南側にある東川下地区については、昭和55年に住居表示が実施され、川下1条~5条に区分されましたが、川下の北側については市街化調整区域で住居表示は実施されていません。
川下の『南』にあるのに『東』川下地区というのは、昔はもっと『川下地区』が西に広かったからなんですね。
市街化調整区域部分の住所は白石区川下○○○○番地○○といった具合になっています。

そんな、川下地区の北側、市街化調整区域の一部に指定されているのが、今回紹介する『川下地区』です。
川下地区というと、広義にこのような意味がありますから、本来的には『川下地区』などと名付けるべきだったのかもしれません。

地区計画の範囲はこんな感じ。

Googleマップはこんな感じ。

現地は南北に走る2本の大き目な道路(西側:川下線・東側:川下3号線)に挟まれています。
その間にアミダくじのような東西の道路があり、そこが地区計画の区域となります。

現地には古い建物もありますが、新しい建物が結構多いですね。
元々の地主さんが積極的に分譲を進めているのでしょう、小奇麗な新興住宅街という印象です。

北側の道路や南北の通路には歩道がなく、各所に亀裂が入っており、舗装の状態は良くありません。

一方で真ん中の道路は、最近舗装を直したようで、歩道もあり、道路状況は良好です。
南側の半分だけ通った道も、ほぼ北の道路と同様ですね。

『出水のおそれのある区域』に指定されており、やはり例によって地盤はよくありません。
写真は4月頭に撮影したもので、雪も少なくなっていますが、
排水溝がオーバーフローしていることからも、水はけが良くない事がわかるはずです。

小学校は『川北小学校』徒歩15分程度、中学校は『北都中学校』徒歩20分程度。
生活利便としては、少し離れると北郷や川下の条丁目地区などがあり、そこまで不便とも言えません。
価格もお安いですから、まぁ、アリなのかな、という立地ですね。

ただ、JR函館本線の線路が白石~森林公園の経路でこの一帯を迂回している事からも、やっぱり地盤の問題というのがあって、数十年安心して住める建物を建てるには、基礎杭を多く打つなど、ある程度の費用を掛けた施工が必要となりますからご注意下さい。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より東方約8㎞の市街化調整区域に位置し、
昭和40年代に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
現在の良好な住環境の維持増進を図ることを目標とする

例によって既存宅地制度の代替としての『建物が建てられる市街化調整区域』です。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書


決定:平成10年7月31日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

調1 上篠路小鳩地区


当記事は2014年04月06日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。

今回紹介するのは決定番号:調1『上篠路小鳩地区』です。
何と市街化調整区域の地区計画の第一号のエリアなんですね。

地区計画の範囲はこんな感じ、新川伏籠川の合流地点にある区域です。


ほいで、Googleマップはこんな感じ。


川の合流地点にあり、『篠路光真(こうしん)幼稚園』が目印です。

日々目にする販売資料でもそれなりに活発に流通しているイメージでしたが、実際に現地に行ってみると、かなり新しくオシャレな家が多くあり、市街化調整区域とは思えない、という印象があります。
川に近い開けた立地で開放感があり、こういった風致が好きな人も多いでしょう。

このエリアの土地の詳細な調査を行なった事がない為、詳細は不明ですが、
近くの『小鳩団地入口』というバス停がありますから、過去に団地として分譲された地区が都市計画法の施行によって市街化調整区域に編入された経緯があるのかと思います。
『上篠路小鳩地区』の由来は団地の名称からでしょうね。

この地区だけでなく、地区計画が定められた市街化調整区域は、過去に位置指定道路であったものも、殆どが札幌市道になっていますが、舗装状態が若干悪かったり、道路幅が狭かったり、歩道がなかったりします。
まぁ、これは市街化調整区域に限ったことではありませんが…

 

小学校は徒歩10分程度、中学校は20分程度、JR篠路駅まで20分以内
篠路駅の反対側、西口側は新興のショッピング施設が多くあります。
土地の価格は一般の住宅街に比べて低く設定されていますから、
この立地が気に入って、諸々の説明に納得出来れば、よい物件と言えるでしょう。

地区計画の目標は以下の通り。
 当地区は、都心部より北方約9㎞の市街化調整区域に位置し、
昭和40年代に道の位置の指定を受けた道路によって構成される一団の地区であり、
現在、比較的良好な住宅市街地を形成している。
そこで、本計画では、地区の特性に応じた土地利用と建築物等に関するルールを定め、
現在の良好な住環境の維持増進を図ることを目標とする。

ほぼテンプレートですね。
既存宅地制度の代替としての『建物が建てられる市街化調整区域』です。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。

計画書 ・ 計画図 ・ 解説書

ところで、このエリアは床の高さを一定以上としなければならない、『出水のおそれのある区域』に指定されています。
札幌の北側郊外はだいたい指定されているイメージですね。
伏籠川といえば、過去には国交省(建設省)『特定都市河川』に指定されていた河川。
氾濫することで有名だったようですが、現在は河川改良がおこなわれ、指定も解除されました。
とはいえ、大雨が降ったら多少は氾濫するかもしれないぜよ、という事でしょう。

この土地は川に挟まれていますし、北区と言えば地盤が弱いというイメージだったので、液状化現象や耐震問題で、かなり気を使わなければならないと思っていたのですが、札幌市 地震防災マップによると、液状化現象発生の可能性は極めて低いのだそうです。
正直、とっても意外な結果で、驚いています。

決定:平成10年7月31日 変更:平成18年3月31日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。

E-9 『よく分からない土地』の所在を知りたい!

よくわからない土地を相続してしまう事は、一般家庭でも割とよくある事のようです。
バブルの時期に買ってしまったものや、お爺さんの代以前から何故か持っている山、などがありがちでしょうか。
山というほどではなくても、ちょっとした土地の所在が不明という事はよくあります。

よくわからない土地を相続してしまうと、ある程度のリスクが発生しますが、よくわからない賃貸住宅(アパート等)を相続してしまった時よりは、ずっと低リスクです。
(賃貸住宅の場合、敷金の金額や契約書の内容について確認しなければなりませんし、入居者がありもしない約束をしていたと言い張って来る場合もあります。)
分譲マンションを相続してしまった場合も、毎月の管理費・修繕積立金がかかりますから割と面倒です。

固定資産税がかかるような土地であれば、毎年の負担も馬鹿にならないでしょうが、
『よくわからない土地』というのは、大抵、山奥か地の果てにあるものです。(偏見)
山奥や地の果てにある土地には、多くの場合、固定資産税がかかりませんから、比較的気楽です。

それでも、不法投棄や不法占有、土壌汚染があった場合には、土地所有者に負担がかかってきますし、
将来的に永遠に税金がかからないままでいるという保証もありません。

本格的に寝かせておいて放置を決め込む!というのも一つの方法ですが、
所有者が2代、3代変わっていくと、相続によってネズミ算式に共有者が増えていって、最終的には対応が不可能になります。
せめて土地の所在くらいは分かっておこうかな、という方の為に、一般の方でも可能な範囲で調べ方を紹介します。

そもそも固定資産税が課されていない場合には恐らく『地番』すら分かりませんので、
その自治体の税務課や市税事務所に名寄せしてもらう必要があります。
(自治体すら分からないのであれば、もうお手上げです。)

固定資産税の課税台帳や古い権利証があれば、『地番』が分かります。
地番さえ分かれば、いきなり法務局に行って調べる事も可能です。
さて、全く手がかりがなく、『そういう土地があるらしい』という情報だけがある場合・・・
例えば『札幌市南区のどこかの山奥に、土地を持っているらしい』
そして『出来る限り費用をかけずに、その土地の概要を知りたい』
・・・そんな時はこれから紹介する方法のように調べていきましょう。

①税務課・市税事務所に聞いてみる。
固定資産の課税台帳が届かない場合(=非課税の場合)には、管轄の窓口に行きます。
市税の管轄は『A-16 私道の課税について知りたい① 固定資産税・都市計画税』で紹介しています。

納税者の住所氏名を伝えます。転居があった場合には転居前の住所も、相続があった場合には、亡くなった方の住所氏名も伝えましょう。
多少時間はかかるかもしれませんが、その自治体での課税があれば名寄せが可能です。
亡くなった方の課税記録を知るには、本人の身分証明書と亡くなった方の『戸籍』等で、本人との関係性が証明されていることが必要になります。
例えば、父親の名義になっている土地の場合には、父親の戸籍に、自分の名前が子として記載されていて、自分自身が間違いなくその本人であることを示すために、身分証明書などを提示します。
『戸籍』は亡くなった方の本籍地で取得する事が出来ますが、直接の親子関係ではない場合などは、複数人分取得する必要がある場合があります。
専門家に依頼したい場合には司法書士あたりが通常でしょうか。
また、課税の内容や正確な金額を知るには、手数料を払って証明書を取得する必要があります。
 固定資産の課税台帳がある場合には、それを持参して管轄の窓口に行けばおおまかな地形図が出てくる場合があります。
納税者本人であっても、通常、地形図をもらう事は出来ません。
また、郊外の土地の場合は法務局の登記記録をもとに課税している場合が殆どで、法務局の情報以上のものではありません。
航空写真をもとにした地形図などを見せてもらえるようなら、手書きで写しを取らせてもらいましょう。

こうして、よくわからない土地の『地番』を知る事が出来ます。

②法務局から洗い出してみる。
その土地が所在している管轄の法務局に行きましょう。
(法務局の管轄は『A-3 道の所有者を知りたいとき』で紹介しています。)
まずは出番となるのが毎度おなじみ『ブルーマップ』です。
山林や原野であってもブルーマップには律儀に地番が載っています。
B-3 地図・地図に準ずる図面の見方
(ブルーマップの具体的な見方は
B-1 ブルーマップの見方で紹介しています。)

山の中でもビッチリと『地番』が記載されています。流石ゼンリンさん!
(ただし、記載されている地番はあくまで目安であり、誤っている可能性があります。)
ちまちまと青い文字を探して、そこからおおよその位置を割り出しましょう。
ブルーマップでは小さい土地や、道となっている部分は、地番が省略されている場合もあります。
どうしてもお探しの地番が見つからない時は、次のステップに進みましょう。

次に『地図に準ずる図面』『地積測量図』を取得し、土地の形を確認します。
(それぞれ『B-3 地図・地図に準ずる図面の見方』『B-4 地積測量図の見方』参照して下さい)

③航空写真を見てみる。
最後に、Googleなどの航空写真サービスを使って、現地の状況を確認しましょう。
あほか!と思うかもしれませんが、実際、市役所は航空写真で土地の現況を確認しているんです。

Googleマップの航空写真


意外かもしれませんが、たとえ山の中であっても、過去に人が使っていたり、車の出入りがあった土地というのは数十年以上経ってもその痕跡が残っている事が多いのです。
また、登記上の境界(筆界)も、自然の地形に従っている事が多くあります。
ですから、航空写真から川や獣道を見つけ、地図に準ずる図面と照らし合わせてゆくと、驚くほど地形と筆界が一致することがあります。

ただし、土地同士の正確な境界については『分かりません』どころか『ありません』というのが妥当なくらいで、多くの場合では取得した当初から境界の設定や測量などしていないはずです。
境界を特定するには膨大な測量費用が発生しますし、隣の土地も同じような状況になっているでしょうから、隣の土地との境界を決めるために、別の家の相続人を把握しなければならないという地獄のような状況が待っています。

④所在を知ってどうするの?
活用の予定がなければ出来れば手放してしまいたい、低価値の不動産ですが、
自治体にとって寄附を受け付ける事は税収は減る、管理コストはかかるで良い事なしですから、
なかなか寄附を受け付けてもらえません。
これを手放すには、地元の物好きな不動産屋や隣地を所有している人ににタダ同然で売るなどの方法があります。
詳しくは『E-5 市街化調整区域にある土地を売却したいとき』や『E-6 市街化調整区域の土地を捨てたい!』で解説しています。
それ以外は・・・まぁ、裏ワザ的な方法になってしまうのでしょうね。
まぁ、差し当たって不都合がなければ、無理に手放さなくてもよいかもしれません。

・・・こんな記事では『結局はっきりとしたことは分からんし、対策も取れないのじゃないか!』と言われてしまいそうですね。
はっきりとした事を調べるためには、土地家屋調査士など測量の専門家へ測量を依頼する必要が出てきます。
正直、都心の価格の高い不動産を測量してもらうより、ずっと費用がかかる割に、得るものは少ないです。
今回は『出来る限り費用をかけずに、その土地の概要を知りたい』をコンセプトに、最低限の情報収集方法を紹介しました。

しかし、知ると知らないとでは大違い。
放っておいて駐車場資材置き場にされる程度ならまだよいのですが、ガラ捨て場になっていたり、廃車置場になっていたり、不法投棄されていたり、といったこともよくあります。
どんなに使わない土地でも年に1度くらいは見に行っておくのがよいと思いますよ。

他にも、色々な調査方法やテクニックがあるのですが、その辺は企業秘密にさせておいて下さい。

当記事は2013年10月10日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-8 市街化調整区域と『私道』

繰り返しになりますが、『市街化調整区域』とは際限ない開発を抑制する為に、その名の通り、市街化を調整する区域です。
市街化調整区域では、一部の例外を除き、原則的に建物を建築する事ができません。
『一部の例外』とは『E-4 市街化調整区域と『地区計画』』で紹介した地区計画が代表的です。

目的としては乱開発を防ぎ、自然環境を守るというお題目もありますが、道路整備や上下水道などのインフラや行政サービスを最小限に絞る、という目的もあります。
建物が密集しているのも問題ですが、あまりバラバラに建ってしまうと、さまざまな行政サービスの費用がベラボーにかかってしまいますから、自治体としては、ある程度まとまった区域に住んでいてもらった方が効率的なのです。

市街化調整区域は札幌のどの区にもあり、山奥や郊外の過疎地の地区が指定されています。
既に住宅街や商店街になっている地区は、一般に『市街化区域』に指定されます。
最初に書いた通り、『市街化調整区域』では、札幌市から建物建築の許可が下りません。
プレハブ小屋などが建築されている場合もありますが、それらの大半は建築基準法違反の建物です。
実質的に『建物が建てられない土地』ですから、市場価値はとても低くなります。

建物が建てられないとはいっても、取引が禁止されている訳ではありません。
不動産流通の世界では、建物を建てない前提の土地『資材置き場用地』とか『作業場用地』『家庭菜園用地』として売られています。
最近では『太陽光発電用地』なんていうのも、ちらほら出てきています。

そんな事情がある『市街化調整区域』、実は
公道がとっても少ないのです。

道路整備や上下水道配管を整備・維持する費用もばかになりませんから、通行の為の、昔からある最低限の公道だけが残り、新たに整備されることはまずありません。

とはいえ、そこに土地を所有する人は、自分の土地に行くための『道』が必要です。
ですから、『市街化調整区域』には『私道』がとても多いのです。
これらの『私道』は、一般的には民有地で、民間の個人や法人が所有するものです。
公道ではありませんから、当然、冬の除雪も自前、砂利やアスファルトでの道路整備も自前です。

そして、大原則では『私道』を通行するには、その私道の所有者の許可が必要です。

しかし、郊外の過疎地ですから、実際には誰彼構わず自動車で通行しているのが実情です。

法律上、建物が建築出来ない土地にプレハブ小屋が建っていたりと、『市街化調整区域』は、人の目が少ない事もあって、無法地帯になってしまっている面があります。

ただし、建物の建築も、私道の通行も、あくまでも慣習で咎められていないだけです。

市街化調整区域に建物を建築すると、札幌市から取り壊し命令を受ける事がありますし、私道についても、看板や柵などで通行禁止にされてしまう恐れがあります。

滅多にある事ではありませんが、可能性はゼロではありません。
『市街化調整区域』の土地建物を購入・売却・貸借しようとする場合には、リスクがあるという事を覚悟しておきましょう。
私は、実際に建築基準法違反の取壊し命令や通行禁止の事例を目にしています。
宅建業者は取引の際の『重要事項説明書』で、こういった事を説明する義務がありますが、

お客さんを安心させるためなのか、宅建業者の担当者が、
『実際、建物取壊し命令なんて絶対にありませんよ』だとか
『囲繞地通行権があるので、自動車で通行しても全然問題ありませんだとか、
書面の外で無責任な事を言う場合もままあるようです。

同業者として恥ずかしい限りですが『とりあえず成約させて、仲介手数料が貰えればそれでいい』という不動産業者は、とても多いのです。
特に営業成績だけを気にするような営業マンの場合には要注意ですね。

市街化調整区域に限った事ではありませんが私道については、その所有者の所在や、私道の範囲法的性質について慎重に調査・告知する必要があります。
無責任に大丈夫だと言うのではなく、法律に則ってどういう事になるのか、ということを誠実に説明する必要があります。
また、私道の所有者がどこの誰でいつどのように取得したのかによって、その私道の性質は大きく変わって来ます。
例えば、私道の所有者が明治から登記されていないのであれば、現代になって権利を主張してくる、という可能性は非常に低い一方で、私道の使用許可を得る必要があるような局面では、対応が難しくなります。

この辺りをきちんと調査・告知出来る不動産業者でなければ、特に難易度の高い市街化調整区域の土地の取引を任せるには値しないと言っていいでしょう。

不動産の取引は信頼できるプロからしっかりと説明を受け、進めていきましょう。

当記事は2013年11月10日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-7 市街化調整区域と『昭和の世界観』

『市街化調整区域』について定期的に紹介しているために、『市街化調整区域』の処分に困った皆様がよくご覧になっているこのブログですが、そもそも皆さんが『市街化調整区域』を何故持っているのかというと、大きくは下記のいずれかの理由によるものでしょう。

◇先代や先々代などの親族が過去に購入したものを相続した
◇法人が過去に事業として買ったものが残り続けている

だって、自分で買ったものなら覚悟か諦めがあるでしょうから。

E-6 市街化調整区域の土地を捨てたい!』で紹介したように、不動産の所有権を放棄するというのは実はとっても面倒な事だったりする訳で、そうすると『何でこんなものを買ったんだ!』という恨み節も出てくる訳です。

…と、言う訳で、過去の人々が市街化調整区域の購入に至った背景を紹介しましょう。
特に札幌市内において分散して保有されている市街化調整区域は、昭和30年代から昭和40年代にかけて分譲されたものが大半を占めます。

後になってみれば、いわゆる『原野商法』そのものなのですが、昭和50年代以降、バブルの頃の原野商法とはまた毛色が違い、単純に詐欺と断ずる事が出来ない側面もあります。

どんな風に分譲がなされたかと言うと、当時の広告媒体は新聞広告が主だったようです。
新聞や交通機関の吊広告を見て、分譲業者の営業マンに会うと、

と、こんな風な公図と地積測量図を見せられて、

『こン辺もそんうち道路が通って街ンなって値上がりすっべ』
とか何とか言っちゃって、財テク的に買ってしまったケースもありますし、
『今はサいるけど、老後は札幌サ引っ越すべ』
というように、市外にお住まいの方が老後の為に購入したというケースもあります。
この場合、現地を見たことがないケースも多々あったようです。

どちらにせよ、それらの分譲地は当時から原野だった訳で、市街化による値上がり期待があったことだけは間違いありません。

現に原野や田畑であった土地が市街化されて財産を築いた方も多くいる以上、正直、売り手に悪意があったのか否かは当人でなければ分かりませんし、当時の時代性を考えると、何が正しかったのかという事は、断言出来ません。

特に昭和30年代の取引については、都市計画法制定の以前ですから、分譲を行った側も騙そうという意識はあまりなかったのではないかと思います。

しかし、そういう場合であっても、位置指定道路は申請されている場合が多いので、位置指定道路の申請や整地を行なっておらず、ただ分筆だけして分譲したものについては、個人的には若干意図的にやったんじゃぁないかなーという感想もなくはありません。
勿論、平地ではなく山林や急斜面の土地を長方形に区画している場合には、時期がどうだろうが詐欺でしかないのですが。

また、札幌周辺では昭和43年施行の都市計画法に基づき、昭和45年には線引きが実施されていますから、その前後に取引がされたものについては、犯意のある『原野商法』か、購入者が安易に『市街化出来る』と思い込んでいたケースです。

ここで購入者の責任をとやかく言うつもりはないのですが、インターネットの登場までは地方と都市、プロとアマの情報格差は凄まじいものがありました。

都市計画法に関する周知の徹底にはかなりの時間がかかった背景がありますし、議員に言えば市街化区域に出来る』というような与太話は未だに耳にします。
ですから、ある程度の割合において、購入者の勘違いというケースもあるのではと思います。

さて、犯意ある『原野商法』によって、まったくの原野を購入した場合であっても実際に財テクが功を奏して、大きな財産となった例も、ないではありません。

手稲区の住宅地は、元々畑だったものを画像のように区割りして販売したものがあります。
清田区などは、元々畑でも、羊ヶ丘通りや国道36号線の関係で、そのような例があったらしいという例を耳にしたことがあります。

結局のところ、昭和の土地がらみの財テクは運による部分が強かったと言えるのかもしれません。

 ※ 画像は本文の内容とはあまり関係ありません。

当記事は2014年07月04日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-6 市街化調整区域の土地を捨てたい!

『市街化調整区域の土地を売りたい』をテーマにして一連の記事を書いてきましたが、やっぱり処分が難しい土地が多い訳です。

まー、だからこそ敢えて分類していこうという趣旨な訳ですが、どうしても、どうにもならない場合には『土地を捨てる』という選択肢が頭に浮かぶはずです。
管理費、修繕積立金がかかる分譲マンションについても同様ですね。
老朽化した分譲マンションやバブルの頃建築されたリゾートマンションが安値で売りに出ている、なんて話題も多く聞きます。

自分自身が買ったものであればまだ諦めが付きますが、親族が昔勝手に買ったものの後始末をする、というのは心情的に大きな負担となります。
売りに出そうにも難しい・・・不動産を捨てるにはどうすればいいんでしょうか?

・・・あ、相続登記しなければいいんだ。

・・・という事にはなりません。
不動産登記法における登記義務と民法における相続発生による所有権移転は、
別問題ですから、相続登記をしなくとも、民法上の所有権は移転してしまいます。

民法第167条2項で『債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。』と定める通り、所有権には消滅時効がない訳で、どんなに放っておいても、どんなに手続きや納税をしなくとも、所有権はなくなりません。
(他人に時効取得された場合や他者に差し押さえ後、競売された場合は、所有権が移転します。
また、債権は民法167条で10年の消滅時効が定められています。)

また、民法239条2項では『所有者のない不動産は国庫に帰属する』とされていますが、国は寄附や放棄に応じてくれず、所有権移転登記を受けてくれませんから、自分が『放棄した』と意思表示をしたとしても、まったくの無意味なのです。

とはいえ、固定資産の課税や自治体からの各種通知は、通常、登記された内容に従って郵送で送達されますし、あくまで聞いた話ですが、市役所のレベルではそれ以上に所有者を調べはしないようです。
(恐らく、同じ自治体に居住している等で住民票等から相続人の所在が明らかな場合は対応も違うでしょうが…)

あとは例えば父Aと母B、子Cがいて、複数の財産があるような場合、父Aが所有する土地を一旦母Bが相続して、母Bが亡くなった際に相続放棄してしまう、という手法もそこそこ有名です。
その場合、その土地は最終的には国有地になりますが、相続人全員が相続放棄をするのって、結構手続きが面倒臭いんですよね。
何より、他の財産がある場合には、『相続放棄』は使えません。
わざわざそこまでして捨てる必要があるのかというと、疑問です。

一番合法的かつ合理的な方法として『欲しい人に捨て値で売る』というのもあります。
近隣で土地を使用しているような方に売り払ってしまう。
ただし、安易に贈与してはいけません。
大抵の場合、所有権移転を登記する為に、費用が発生するからです。
また、贈与の場合には、受け取る人に贈与税も掛かってしまいます。

その土地の所有者として登記されている内容が、現在の自分の氏名住所であれば問題ありませんが、もし異なる場合には『相続登記』『住所変更登記』が必要です。
自分自身で必要書類を集めて申請するのであれば実費は数千円ですが、プロである司法書士に依頼すると数万円の費用が必要になります。
まぁ、それも廃物処分費用と捉えて、タダであげてしまうというのもアリです。

買取り出来る物件は限られていますが、『捨て値でも良い』と割り切っていただけるのであれば、当方でもこちらの問い合わせフォームから具体的に地番を記載の上、ご連絡頂ければ対応致します。
ご自身で『相続登記』や『住所変更登記』を行なうコツなどをお知らせして、支出を最小限にするお手伝いをしています。

『捨て値で売る』・・・これが一番平和裏な方法なのですが、そこまでして手放したい土地というのは、はたして欲しいという人がいるのか、という問題も出てきてしまいますよね。

中学校の歴史の授業でも習う通り、フランス革命以後、『私有財産の保護』つまり『財産権の保障』は市民の権利として重要な位置を占めますが、日本では特に明治以後、さらに戦後GHQの政策により土地の所有権は強く保護されており、分化し過ぎた土地の権利は、ある意味『田分け』的状況に陥っていて、整理する事が不可能なところまでいってしまいました。

イギリスをはじめとした各国では、土地はあくまで国家のもので、各所有者はその利用権を一時的に借りているという考え方のようですが、今更、日本でその考え方に沿った改革を行うことは困難でしょう。
永久的所有権から限定的利用権に切り替えようという学者さんは多いですが、民主主義をとる限り、これを改めるというのは現実的ではないように思います。

遠くない未来、戦争や大恐慌があれば国家による強制収用なんてことになるかもしれませんね。
或いは国家という体制が破綻した場合には、そんなことになってしまうかもしれません。

当記事は2014年05月27日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。

E-5 市街化調整区域にある土地を売却したいとき

市街化調整区域についての検索サイトの順位が少しずつ上がってきました。
まぁキーワード単体ではまだまだですが、何かしら引っかかってくるでしょう。

さて、市街化調整区域の土地は多くの人にとっては不要なものです。
『断捨離』ではありませんが、処分したいとお考えの方も多いようです。
それが何十万円にでもなれば、儲けモノという発想も合理的です。
しかしまぁ、これがなかなか難しいもので、『いくらでもいいから売りたい』で売れないのが不動産。

マンションなどは典型的で、毎月管理費と修繕積立金がかかりますから、タダでも引き取り手がいないマンションが多くあります。
中古建物の場合でも、固定資産税や将来の解体費用の負担がありますから、タダでも収支がマイナスになる事も少なくはありません。

ただ、土地の場合であれば、固定資産税さえかからない土地なら、本当に数万円の手取りになってもよい、という覚悟が本当にあれば、処分をする事自体は需要のない築古マンションよりはまだ可能性があると言えます。
ただし、往々にして『いくらでもいい』というのは言葉の綾で、本心ではないですからね、なかなか上手くいかないものです。
(固定資産税の取り扱いについては『A-16 私道の課税について知りたい① 固定資産税・都市計画税』で紹介しました。)

さて、それでも処分の可能性を知りたいという方、多くいらっしゃいます。
しかも、インターネットを使って、自分で調べたい、という方が多いのが現代的ですね。
だって不動産屋に相談するの気まずいし、逆に営業にあったら面倒だし、『E-2 不動産業者は市街化調整区域を扱いたくない』という記事もあったし・・・

そういうニーズに応えたいと思います。
私も暇な時、時間をたっぷり頂いて、という事であれば全く問題ないのですが、繁忙期、結論を急いでいるお客様に市街化調整区域を持ち込まれると、正直、笑顔で対応する自信がありません。
(繁忙期が過ぎるまでお待ち頂ければ、それでいいんですけどね。)

市街化調整区域の土地について、『売れる/売れない」の『クラス分け』『場合分け』の目安として『市街化調整区域の土地 処分難易度ランキング』を策定しました。

私の私見による場合分けですが、まぁ、誰も文句は言わんでしょう。
だって市街化調整区域だし。

これにプラスして、旧ブログでは、自分の所有する土地の市場的な位置を診断する為に、簡単なYES/NO形式で、調査方法も併せて紹介する『市街化調整区域の土地の処分のためのフローチャート』を紹介していました。

しかし、実はこれが欠陥品で、重要な項目が漏れていたのです。
いやはや、ブログを移転して改めて思うのですが、当時不動産歴1年程度でかなり知識が不足していた、というのが実感出来ます。
取引件数を重ねた今となっては、かつてのコンテンツは面映ゆい部分もあります。

そのうち、増補改訂を加えた『市街化調整区域の土地の処分のためのフローチャート』を公開出来れば・・・と考えています。

当記事は2014年03月31日の記事を最新の状況を反映し改稿したものです。