当記事は2014年06月08日の記事を再編したものです。当時の記録を残す為、表現等は原則的に当時のものを優先しています。
今回紹介するのは決定番号:調9『手稲山口地区』です。
地区計画の範囲はこんな感じ。
Googleマップはこんな感じ。
今回が現在、市内18か所指定されている市街化調整区域の地区計画の最終回となります。
なぜ最後に紹介する事になったかというのには明確な理由があり、それは単純に私があまり書きたくなかったから、という一点に尽きます。
というのも、この地区は現在開発・分譲の最中でして、札幌市が主導している東雁来の『ウェルピアひかりの』と違い、民間の営利企業が行っている開発なので、状況が確定しておらず、大変書きづらいのです。
別に何だという事はないのですが、褒めても貶しても色々面倒くさそうなので、ここまで書かずに来ました。
とはいえ、『褒める』『貶す』というのも適切な表現ではありません。
どの土地についても、地盤や駅からの距離や治安や通学利便や住宅の密集度など、色々と特徴があるもので、それらの特徴を無視して不動産とその財産価値を語る事などは不可能なのですから。
ただまぁ、色々としがらみもあるのが世の中というヤツでして、そういうしがらみの外側で自分の信じる通りに生きていたいというのが私のささやかな願いなのです。
さて、事実関係を列挙しつつ現地の写真を見てゆきましょう。
この地区は北海道開拓から平成に至るまで、畑や果樹園とされていたようです。
比較的最近の航空写真でも、開発がされている様子は見られません。
平成12年に「市街化調整区域における大規模開発制度」により開発許可を受け、開発事業が始まりました。
札幌市としては初となる大規模開発制度の利用だったようです。
ちなみに、この制度のうち市街化調整区域に関する部分は平成18年の法改正により廃止となっています。
翌年の平成13年5月17日にはこの地区計画が決定されました。
地区計画の目標は以下の通り。
当地区は、都心部より北西約14kmに位置し、
都市計画道路「下手稲通」をはさんで既成市街地に接する市街化調整区域内にあり、
現在、民間の宅地開発事業が進められている。
そこで、本計画では、当該事業の事業効果の維持及び増進を図り、
敷地の細分化などによる居住環境の悪化を未然に防止し、
緑豊かでうるおいのある良好な市街地の形成を図ることを目標とする。
当初は現在の決定区域の倍に近い面積がありましたが、濁川より東の部分については平成22年4月6日に市街化区域に編入され、同時に決定番号:113『北星置地区』として新たに市街化区域内の地区計画が決定されました。
何故その時に全体が一度に市街化区域に編入されなかったかというと、これは実に単純な話で、西側が市街化されていなかったから、なんですね。
既に宅地造成が完了し、市街化されている東側の部分のみが市街化区域となった訳です。
その後平成25年10月に地区内の南・西側の『第一工区』の造成が完了し、分譲が開始されています。
そして平成26年、西端の欠けた部分が区域に含まれました。
欠けていた部分については所有者が農家の方で、宅地開発に合意しなかった為、
このような状態が続いていましたが、昨年に入ってから、ようやく了承が取れたという経緯です。
当初地区計画決定時の第4回 札幌市都市計画審議会 議事録(平成12年10月31日)にはこのように書いてあります。
この穴抜きの部分につきましては,今,委員もお話のように,
一体的な土地利用を図るということでここまで調整をしてきました。
ただ,ここの土地所有者が,調整区域の開発行為を許可する時点
―先ほどことしの8月というお話をしましたが,
この時点で実は営農をしておりまして,
今すぐに結論は出せないというようなお話をされました。
営農しているというのは,いわゆる作付をして秋に収穫をしたい,
その収穫が終わってから協議をさせていただきたい,
実はこういうお話をされた経緯がございまして,
このたびの地区計画の事前説明の段階では除外をさせていただいたということでございます。
そういうことで,この収穫も既に終えまして,
先日から協議を再開をしているというお話を開発者の方からお伺いしております。
当然,今後さらに協議を重ねていただきながら,協議が調った時点では,
できるだけ早い時期に,整形といいますか,
そこも取り込んだ形で地区計画の区域変更をするよう進めてまいりたい,
現在このように考えております。
平成12年の収穫が終わってから…というお話から足掛け15年も粘った訳です。
土地に関してはよくある話ですが、やっぱりスゴイ話です。
下手稲通沿いの部分については、商業施設が建設される予定のようですが、現在は更地です。
平成23年9月30日付の北海道建設新聞の記事を引用しましょう。
http://e-kensin.net/news/article/6837.html
岩倉土地開発(本社・苫小牧)と、中山組(本社・札幌)の子会社で不動産業の三共産業(同)が、
札幌市内の手稲山口地区で進めている大規模開発で、
約3万4000㎡の商業用地を確保している。
2012年春までに出店する店舗を固め、その後着工する考えだ。
開発区域は、札幌市手稲区手稲山口465の1ほかの下手稲通沿いで、
JR星置駅から1㌔程度離れた所。岩倉土地開発は10年ほど前、
一帯の約28万㎡の開発許可を得て、濁川を挟んで西側のエリアを開発した。
ホームセンターや食品スーパー、衣料品店などが立ち並んでいる。
今回は東側エリアのうち、下手稲通に面した9万6403㎡を手稲山口東第1工区として、
三共産業との共同事業で実施。中山組の設計施工で土地造成に着工した。
敷地内には、宅地用地3万2668㎡のほか、商業店舗用地3万3882m²、
業務施設用地3029㎡などを確保。
商業用地には、スーパーマーケットや家電量販店、飲食など
5―10店舗程度の誘致を見込む。
業務施設用地では、社会福祉施設の設置を計画している。
関係者によると、「商業スペースは、来春までに固めて着工したい」としている。
北・東の部分は現在農地となっており、平成27年度以降に『第2工区』として宅地造成が行われる予定とのことですが、民間の事業ですから、実際の施工開始は現在分譲中の『第1工区』の売れ行き次第、というところでしょうか。
さて、この地区計画は三方を市街化区域に囲まれた市街化調整区域ですが、市の文書の中ではいわゆる『穴抜き市街化調整区域』とは呼ばれていません。
民間の宅地開発事業によるものという事情もありますが、市街化区域に編入されるのは、『次の見直しの際』ではなく『実際に市街化が完了してから』の予定となっています。
実際の制限の内容については札幌市HPのPDFファイルを参照して下さい。
(この地区計画について、解説書は公開されていません。)
【2014年06月20日追記部分】
このブログではこれまでに様々な都市計画、道路計画を紹介してきましたが、進行中の計画である場合には、当然その記事を書いた後も状況が変わっていく訳です。
そのような地域については業務に直接関係のない地域については、限界がありますが、出来る範囲で追記を加えられればと思っています。
今日は『調9 手稲山口地区』について少し追記します。
散々『面倒くさそうだから書きたくない』とボヤいた挙句、最後に回した地区計画です。
市道『下手稲通』沿いに店舗が出来る事は紹介しましたが、具体的な店名は挙げませんでした。
ブログの記事を書いている段階で、出店店舗は既に決まっていましたが、色々と気を使って経緯や背景事情を書いているうちに、店名を記載するのを忘れていました。
出店するのは『スーパーセンタートライアル星置店』で、5月頭から着工しました。
平成26年2月4日付で、札幌市からも大規模小売店舗の公告が出ています。
それによるとオープンは平成26年9月24日を予定しているようです。
また、トライアル予定地の西側についても、5月下旬から工事が始まっています。
建築主は『日本マクドナルドホールディングス株式会社』。
それにしても建築現場の近くでは堆肥というか、飼料の臭いがプーンと漂ってきて、その土地の歴史は『土』に色濃く残るものだなぁと実感しました。
タイミングはずれるかもしれませんが、休日に予定が合えば、今後も寄ってみます。
【2014年04月07日追記部分】
二店舗とも、無事に開業したようです。この辺も10年で随分便利になりましたね。
決定:平成13年5月17日 変更:平成26年2月18日の地区計画資料を基に記述しています。
今後、地区計画について内容やエリアの変更がある場合がありますので、ご注意下さい。
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